内藤陽介 Yosuke NAITO
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 泰国郵便学(24)
2013-03-17 Sun 18:03
 ご報告が遅くなりましたが、財団法人・日本タイ協会発行の『タイ国情報』第47巻第1号ができあがりました。僕の連載「泰国郵便学」では、今回は1963年後半、サリット政権からタノーム政権への移行期について取り上げました。その中から、きょうはこの切手をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

        タイ・国王36歳誕生日

 これは、1963年12月5日に発行された“国王陛下36歳誕生日”の記念切手です。

 1959年以降のサリット政権の時代の一つの特徴として、1932年の立憲革命によって大きく損なわれた王室の権威を復権させ、国王を中心とする“タイ国家”というイメージを浸透させたことが挙げられるのは、以前にもご紹介したとおりです。

 さて、サリットは、1963年12月8日、55歳で病没しますが、その直前の12月5日、そうしたサリット政権の特徴を象徴するかのような切手が発行されました。すなわち、国王36歳誕生日の記念切手です。

 タイでは伝統的に干支で年齢を表し、一周する12年ごと、60年ごとに盛大に祝う習慣がありますから、国王36歳の誕生日もその対象となりうるのですが、国王の誕生日にそれを直接的に寿ぐ記念切手が発行されたのは、今回が初めてのことでした。

 タイにおいて歴代国王の誕生日に祝賀のセレモニーが行われるようになったのは、モンクット王(ラーマ4世、在位1851-68)以降のことで、当時の記念式典は王宮ならびにワット・プラケオで1回ずつ、計2回行われていました。

 これに対して、ナショナル・デーとなった現在の国王誕生日では、式典の規模も大幅に拡大され、通常、12月3日から6日まで4日間の日程が組まれています。

 すなわち、初日の12月3日には国王は国軍の閲兵式を行い、翌4日にはドゥシット地区のチットラダー宮殿の玉座の間で各界の代表を前に誕生日のスピーチを行います。誕生日当日の5日には、午前中、王宮内のアマリン宮殿で王族ならびに国民代表からの祝辞を受け、国軍から祝砲を受けます。午後には、タイ仏教の高僧に称号を与えてから彼らの説教を聞き、式典に参列した王族には金品が下賜されます。また、当日は一般国民による祝賀の記帳も行われます。そして、最終日の6日には、アマリン宮殿で僧侶に対する喜捨の後、国王は彼らの説教を聞き、チャオプラヤー川に動物を放してタンブン(功徳を積む行為)を行います。さらに、7日には、外国大使を招いて、政府主催の祝賀パーティーが行われるのが通例です。

 このように、国王の誕生日を祝う祝賀イベントが大々的に行われるようになったのは、1960年にサリットみずから、タイにとっての“ナショナル・デー”は国王誕生日であると宣言してからのことであり、36歳の誕生日という節目の年に記念切手を発行したこととあわせて、祝祭を通じて、国王の権威を国民に対して可視化しようという政権の意思が明瞭にうかがえます。

 また、今回ご紹介の切手の左上には、タイの王家であるチャクリー家の象徴、“スダルシャナ(ヴィシュヌ神の力の象徴である円盤状の武器)の中にあるトリシューラ(シヴァ神が持つ三叉戟)”が描かれています。これは、タイの国王がヴィシュヌ神の生まれ変わりであり、仏陀の生まれ変わりでもあることを意味するデザインですが、そうしたシンボルを国王と並べて描くことにより、国王が、文字通り“神聖にして侵すべからざる存在”であることを表現しようという意図が込められていると考えてよいでしょう。

 さて、今回の記事では、このほか、サリット政権の時代のインドシナ情勢の変化と、タイ国内における米軍基地の展開などについてもまとめております。機会がありましたら、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。


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