内藤陽介 Yosuke NAITO
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 FLASH 4月2日号
2013-03-19 Tue 17:44
 きょう(19日)、光文社の雑誌『FLASH』4月2日号が発売になりました。同誌に掲載の「新シリーズ『いま』を究める!FLASHグラビア新書Vol.12」では、“「趣味の切手」進化論!”と題して、7ページの切手特集が組まれています。(下の画像は雑誌の表紙と特集の扉です。以下、画像はクリックで拡大されます)

        FLASH 切手特集号表紙     FLASH 切手特集扉

 で、その特集記事には、僕も登場して“世界のオモシロ切手”として、各国の事情を示す切手などをご紹介しています。その中から、こんなモノをご紹介します。

        フセイン抹消カバー

 これは、2003年のイラク戦争(そういえば、明日=20日は、イラク戦争の開戦10周年でしたな)により、サダム・フセイン政権が崩壊した直後の6月29日(消印は“92日”になっていますが)、バグダードで差し出された市内便で、フセイン政権時代に発行されたフセイン65歳誕生日の記念切手が、肖像部分をペンで抹消して使用されています。

 1991年の湾岸戦争後、イラクが受諾した停戦決議(決議687)では、イラクは大量破壊兵器の保持してはならないとされ、UNSCOM(国際連合大量破壊兵器廃棄特別委員会)がイラクの兵器の保有状況、製造設備などを調査することになりました。当初、イラク側は、UNSCOMの調査に比較的協力的でしたが、UNSCOMの主任査察官が米国の諜報関係出身者であり、調査に米国の意向が反映されたことに反発。次第に、調査に対して協力しなくなり、偽装工作や査察妨害などが行われるようになりました。これに対して、米国は安保理決議688を根拠としてイラク北部に飛行禁止空域を設定しただけでなく、1992年にはフランス、イギリスと協調してイラク南部にも飛行禁止空域を設定。これに反発したイラクは、地対空ミサイルの配備や軍用機による意図的な空域侵犯を行い、米英が制裁としてイラク軍施設を攻撃するという構図が繰り返され、UNSCOMは1998年末で活動停止に追い込まれました。

 一方、1995年ごろから、イラクに対する経済制裁に対しては国際社会からも不満の声が高まるようになります。

 そもそも、湾岸戦争の直前、食糧自給率が3割程度しかなかったイラクに対して、食糧を含む輸出入を禁ずることに対しては、経済制裁が開始された当初から、人道上の理由で反対する声が欧米でも少なくありませんでした。また、潜在的な域内大国であるイラクとの経済関係を遮断することは周辺諸国にとって多大な経済的犠牲を強いることにもなっていました。さらに、産油国イラクとの交易再開を求める声は、終戦から3年以上経過すると、西側諸国の間でも無視できないものとなっていましたし、戦争被害に対する補償や国連自身のイラクでの活動に必要な資金をまかなうためにも、イラクに一定の石油を輸出させ、その代金を活用すべきだという案は国連にとっても魅力的なものでした。

 このため、1995年4月、半年間に20億ドルを越えない範囲での石油輸出を許可し、食糧・医薬品などの人道物資の輸入を認めるという国連安保理決議986号が採択されます。当初、イラク側は、経済制裁の完全解除を求めて同決議を拒絶しましたが、1996年に入ってこれを受諾し、同年12月からイラク産原油の輸出が再開されました。以後、イラクは、ロシア、フランス、中国を味方につけて国連との交渉を有利に進め、その結果として、イラクに対する経済制裁は次第になし崩しとなっていきます。そして、石油輸出の上限が廃止された1999年以降、イラクは実質的に国際経済への復帰を果すことになりました。

 こうして、イラク情勢は安定に向かうかと思われましたが、2001年、イラクを露骨に敵視するブッシュJr政権が発足すると、再び、イラクと米国の関係は緊張。米国は、イラク側が停戦条件に違反して大量破壊併記を秘密裏に製造しており、国際テロ組織アルカイダを支援している疑いがあるなどと主張し(ただし、戦後になって、大量破壊兵器は存在しなかったことが明らかになり、フセイン政権とアルカイダとの関係は立証できませんでしたが…)、国連の査察を受け入れないことを理由として、英国などとともに多国籍軍を構成し、2003年3月20日、対イラク戦争の開戦に踏み切りました。

 イラクに侵攻した多国籍軍は、4月10日までに首都バグダードを制圧するなど、開戦後約3週間でイラクの主要都市を攻略し、フセイン政権を崩壊させました。そして、5月1日、ブッシュJr大統領が“大規模戦闘終結宣言”を発し、イラクはアメリカ・イギリスを中心とする有志連合の軍事占領下に置かれ、連合国暫定当局(CPA)によって統治されることになりました。今回ご紹介のカバーは、そうした時期のもので、新体制下での切手発行が間に合わなかったための暫定的な使用例です。

 その後、フセインは2003年12月に逮捕され、1982年に自国のシーア派住民を大量殺害したことが人道に対する罪にあたるとして死刑判決を受け、2006年12月に処刑されましたが、イラク国内はスンニ派とシーア派、クルド人勢力の対立から治安が極端に悪化し、テロが横行する状況となりました。

 こうしてみると、“民主化”によって国民の言論の自由は保障されたものの、人々が生命の危険を身近に感じるようになっている状態と、秘密警察による監視の目が張りめぐらされた恐怖支配ではあっても、宗派対立が抑え込まれて治安はよい状態とでは、はたして、どちらの方が国民にとって幸福であるのか、評価の分かれるところでしょうな。

 さて、今回の『FLASH』の切手特集では、昭和30-40年代に発行された記念切手の現状や中国の切手バブルの話、そして、各国事情が反映された“世界のオモシロ切手”の話など、盛りだくさんの内容となっております。雑誌は全国書店はもとより、駅売店・コンビニなどでも実物をお手に取っていただけますので、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。


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 4月から、下記の通り、首都圏各地のよみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)で一般向けの教養講座を担当します。詳細につきましては、各講座名(青色)をクリックしてご覧いただけると幸いです。皆様のご参加を心よりお待ちしております。(掲載は開催日順)

・よみうりカルチャー荻窪
 4月2日、5月7日、6月4日、7月2日、7月30日、9月3日
 (原則・毎月第1火曜日)13:00~14:30
 予算1日2000円のソウル歴史散歩

・よみうりカルチャー川崎
 4月12日、5月10日、6月14日、7月12日、8月30日、9月13日
 (原則・毎月第2金曜日)13:00~14:30
 切手で歩く世界遺産


 【世界切手展BRASILIANA 2013・出品募集期間延長!】

 今年11月、ブラジル・リオデジャネイロで世界切手展 <BRASILIANA 2013> が開催される予定です。当初、現地事務局への出品申し込みは2月28日〆切(必着)でしたが、〆切日が3月31日まで延長されました。つきましては、2月14日に締め切った国内での出品申し込みを再開します。出品ご希望の方は、3月20日(必着)で、日本コミッショナー(内藤)まで、書類をお送りください。なお、同展の詳細はこちらをご覧ください。


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