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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 アザワド独立宣言から1年
2013-04-06 Sat 11:00
 2012年以来のマリ北部紛争で、2012年4月6日に北部アザワド地域が“独立”を宣言してから、今日でちょうど1年です。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

        トンブクトゥ宛返戻便

 これは2012年7月26日、アルゼンチンのアロイトからトンブクトゥ宛に差し出された書留便ですが、トンブクトゥを含む北部マリへの郵便の逓送は不可能として差出人に返戻されたカバーです。カバーには、送達不能である旨を記した付箋が貼られ、返戻途中の10月31日付のバマコの中継印が押されているほか、裏面には12月1日に差出地のアロイトに戻ったときの着印もあります。

 1960年の独立以来、マリ国内では北部を中心に遊牧系のトゥアレグ人による反乱が断続的に発生していましたが、2009年の停戦合意の後、一部のトゥアレグ人はこれを潔しとせず、リビアに逃れて傭兵部隊に加わっていました。ところが、2011年10月、カダフィ政権が崩壊すると、マリないしはニジェールからリビアに逃れていたトゥアレグ人傭兵の大半は、旧カダフィ政権の崩壊後の混乱に乗じて彼らが持ち出した高性能の武器とともに、リビアを逃れてアザワド地域に帰還。2011年11月には“アザワド解放全国運動”を結成し、2012年1月以降、マリ北部、トンブクトゥ、ガオ、キダル3州をあわせたアザワドの独立を目標とした武装闘争を再開しました。

 なお、MNLAはあくまでも世俗主義的な立場からアザワド地域のマリからの独立を目指す組織として結成されたもので、彼ら自身がイスラム原理主義国家の樹立を目標として掲げていたわけではありません。また、MNLAの軍事組織には1990年代ならびに2006―09年のトゥアレグ人反乱に参加した古参兵やリビアからの帰還兵が参加しているものの、彼らの目的はトゥアレグ人に限定した民族運動ではなく、マリ政府によって抑圧されているアザワド地域の全住民(ソンガイ人、アラブ人、フラニ人、トゥアレグ人など)を等しく解放する運動であり、あらゆる民族集団が参加しているというのが建前です。

 MNLAによる最初の本格的な攻撃は、2012年1月16日から17日にかけて、ガオから東に250キロ、マリ領内の東端に位置するメナカで発生。ついで、1月17日、MNLAはアゲルホクとテッサリトを攻撃します。翌18日、マリ政府はこれら3ヵ所を直ちに奪還したと主張しましたが、1月24日にはMNLAがアゲルホクを再度占領するなど、戦況は一進一退の状況が続きました。

 しかし、2月1日、マリ政府軍が“戦略的撤退”を実行すると、MNLAはメナカを制圧。アゲルホクの戦闘では政府軍兵士数十人が亡くなり、2月6日には北部の拠点都市であったキダルがMNLAによって占領されます。さらに、3月11日、MNLAはテッサリトとその空港を制圧。マリ政府軍はアルジェリアとの国境地帯まで撤退を余儀なくされたのに対して、勢いを増すMNLAはディレならびにグンダムに進攻。トンブクトゥまでわずか125キロの地点にまで到達します。

 一方、北部での紛争が激化する中で、政府軍の内部では、叛乱を鎮圧するための武器や資材が不足していることや、多くの兵士が戦死し、あるいはMNLAの捕虜となっていることについて、トゥーレ政権に対する不満が鬱積。こうした中で、2012年3月21日、前年末に国防大臣に就任したばかりのサディオ・ガサマ准将がバマコ郊外のカティの駐屯地を視察に訪れたものの、その時のガサマの対応に不満を爆発させた兵士がクーデターを起こし、トラオレ政権は崩壊してしまいます。

 混乱の中で、マリ北部ではMNLAが攻勢を強め、4月3日にはトンブクトゥが陥落。これにより、北部の主要都市を掌握したMNLAは、6日、キダル、ガオ、トンブクトゥの3州にほぼ相当する地域をアザワド国家としてマリから独立することを、彼らの公式ウェブサイトで宣言しました。

 なお、4月6日のアザワド独立宣言まで、MNLAと各種のイスラム勢力はバマコのマリ政府という共通の敵を前に共闘関係にありましたが、独立宣言以降、両者は北部支配の主導権をめぐって対立。MNLAはイスラム勢力に敗退し、2013年のフランスによる軍事介入まで、北部の諸都市はイスラム原理主義者の支配下に置かれることになります。

 さて、現在、4月下旬の刊行を目指して制作作業をしている拙著『マリ近現代史』では、2012年以降のアップ・トゥ・デートな情報もできるかぎり盛り込むよう努力しました。来週明けには、いよいよ輪転機もまわり始める予定で、東京・浅草で月末に開催のスタンプショウでは、実物をご覧いただける予定です。27日の15時からは会場内の特設コーナーで刊行記念トークも行いますので、ぜひ、遊びに来てください。


 ★★★ イベントのご案内 ★★★

・4月14日(日) 15:00- 東京五輪と切手
 於 東京国立近代美術館 ギャラリー4(2F)
 現在開催中の展覧会東京オリンピック1964 デザインプロジェクトの4月のギャラリートークに内藤が登場します。展覧会本体も、東京五輪関連の切手原画の展示をはじめ見ごたえのある内容ですので、ぜひ、遊びに来てください。(展覧会へ入場するための観覧券は必要になります)

・4月27日(土) 15:00- 『マリ近現代史』出版記念トーク
 於 東京・浅草 都立産業貿易センター台東館6階特設会場
 スタンプショウのイベントの一つとして、出版記念のトークを行います。書店に並ぶ前の先行販売はスタンプショウ会場内が最初となります。入場は完全に無料です。

 ★★★ 予算1日2000円のソウル歴史散歩 ★★★   

 4月から、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で予算1日2000円のソウル歴史散歩と題する一般向けの教養講座を担当しています。開催日は5月7日、6月4日、7月2日、7月30日、9月3日(原則第一火曜日)で、時間は各回とも13:00~14:30です。講座は途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


 ★★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★★

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