内藤陽介 Yosuke NAITO
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 リヤドで洪水
2013-05-02 Thu 11:55
 先月26日から25年ぶりの豪雨に見舞われているサウジアラビアで、昨日(1日)までに、首都リヤドをはじめ複数の都市で洪水が起き、13人が死亡、4人が行方不明となっているそうです。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

        リヤド・50年間の発展

 これは、2008年にサウジアラビアで発行された“リヤド、50年間の発展”の記念切手で、切手発行当時のリヤドの風景が取り上げられています。

 アラビア半島中部、ディライーヤの支配者だったサウード家は、18世紀の半ば、イスラムの純化を主張するムハンマド・イブン・アブドゥル・ワッハーブと盟約を結び、ワッハーブの宗教改革運動の保護者としてアラビア半島で勢力を拡大し、第1次サウード王国を建国しました。しかし、いわゆる原理主義的な性格を持つワッハーブ派の勢力拡大は周辺諸国の脅威となり、エジプトの太守、ムハンマド・アリーは討伐軍を派遣し、首都ディライーヤを攻略。第1次王国は崩壊します。

 このため、サウード家は拠点をディライーヤから近隣のリヤドに移し、1824年に第2次サウード王国を再興しましたが、同国は、1892年、ナジュド北部を支配していたラシード家に攻略され、国王はクウェートに亡命。リヤドもラシード家に占領されてしまいます。

 その後、クウェートのサバーハ家とサウード家はラシード家を共通の敵として戦い、1902年1月、サウード家のプリンスであったアブドゥル・アズィーズ・イブン・アブドゥル・ラフマーン(通称イブン・サウード)は少数の手勢を引き連れてリヤドに潜入。マスマク城を奇襲して総督のアジュランを殺害し、リヤドの奪還を果たしました。その後、イブン・サウードはリヤドを拠点として、アラビア半島で勢力を拡大し、1932年に現在のサウジアラビア王国を樹立しました。

 これにより、リヤドは正式に王国の首都となりましたが、当時のリヤドは、依然として中世の都邑といった色彩が濃厚で、近代国家としてのインフラ設備は無いに等しい状況でした。リヤドの都市開発が急速に進むのは、1940年代に入り、本格的な油田開発が進められるようになってからのことで、潤沢なオイルマネーを背景に、現在では、今回ご紹介の切手にあるように、高層建築が建ち並ぶ近代都市へと変貌を遂げました。

 ただし、急激な都市開発の一方で、サウジアラビア全体が通常は雨がほとんど降らない砂漠地帯ということもあって、都市部の排水施設(普段はその必要性が認識されることはほとんどありません)の整備は遅れており、そのため、ちょっとした雨でも洪水が発生するという事態が繰り返されています。2009年にはジェッダで洪水が起きて100人以上が死亡しているほか、2010年にはリヤドで洪水が起き、少なくとも2人が死亡しているのは、そのごく一例にすぎません。

 さて、現在、ロシアと中東を歴訪中の安倍首相は、きのう(現地時間30日)、サウジアラビアのサルマン皇太子と会談し、日本の原発輸出を可能にする原子力協定締結交渉入りに向け、事前の事務レベル協議を開始することで合意するとともに、海上自衛隊がサウジアラビア海軍に掃海技術の向上で協力することを想定した“安全保障対話”新設でも一致したことが話題となりましたが、その会談場所は首都のリヤドではなく紅海沿岸のジェッダでした。もちろん、ジェッダもサウジアラビアの重要都市であることには違いないのですが、今回は、首都のリヤドが洪水被害に見舞われたという事情もあったのでしょう。これを機に、原発のみならず、都市の排水システムなどのインフラ整備についても、わが国の技術が輸出できるようになると良いですな。
 
 なお、末筆ながら、今回の洪水で亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、一日も早い復旧をお祈りしております。

 
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