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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 切手に描かれたソウル:崇禮門
2013-05-04 Sat 09:52
  ご報告が遅くなりましたが、『東洋経済日報』4月26日号が刊行されました。僕の月1連載「切手に描かれたソウル」では、放火で焼失した崇禮門(南大門)の修復が完了し、きょう(4日)、記念式典が行われるということで、崇禮門の切手の中から、この切手をご紹介しました。(画像はクリックで拡大されます)

       韓国・第21回UPU大会議招致

 これは、1992年に発行された「第21回万国郵便連合会議誘致(決定)」の記念切手で、中央に崇禮門が描かれています。

 もともと、崇禮門は漢城(現ソウル)に遷都した李成桂が都城を築いたことにより、1398年に完成しました。その後、世宗時代の1448年と成宗時代の1479年に改築され、2階建てとなりました。これは、ソウル南境の冠岳山が炎の形に似ているため、山からの火気を妨げようという風水思想によるものです。

 1907年、皇太子時代の大正天皇の行啓を機に、ソウル市内の街路整備のため、門の両側に続いていた城壁は撤去されましたが、門だけは道路上に残されました。なお、文化財としての崇礼門の価値が注目されるようになったのも日本統治時代のことで、1934年、朝鮮総督府は、これ以上の市街地の開発により門が取り壊されることのないよう、宝物第1号に指定しています。

 1950年に勃発した朝鮮戦争では、ソウルは計4回、破壊されましたが、崇禮門は奇跡的に一部の損傷にとどまり、焼失を免れました。その後、1961年の大規模な解体・改修工事を経て、1962年12月20日、あらためて、現存する韓国最古の木造建築(当時)として、大韓民国の国宝第1号に指定されました。

 門への立ち入りは、ながらく禁止されていましたが、2005年5月、門の南側に芝生の広場が造成されて間近に見られるようになり、さらに、翌年3月からは門をくぐれるようになっていました。ところが、2008年2月、放火により、石造の門を除いた木造の鐘楼部分の大半が焼失してしまいます。犯人の男は、都市再開発事業による家の立ち退きの件で補償額が少ないことに不満を持ち、大統領府や区役所に陳情したものの受け入れられなかったため、世間の注目を集めたかったと自供していますが、何とも迷惑な話ですな。

 その後、復元工事が開始され、当初予定では2012年末までの工事完了だったものが、作業が遅れ、ようやくこのたび工事完了となりました。ちなみに、どういうわけか、日本国内ではほとんど報じられていないのですが、復元に使われた丹青の顔料と接着用の膠または漆は日本製です。このため、韓国国内には、日本製品を使っての国宝の修復に対する反対論も強かったのですが、結局、韓国の国産品・技術では代替できず、担当者は「国宝で実験はできない」との理由で、反対論をおさえたそうです。

 さて、崇禮門は、ソウルのみならず韓国伝統文化のシンボルとして、大韓民国成立直後の1949年7月に発行された50ウォン切手以来、しばしば、切手にも取り上げられていますが、その中から、今回は、1992年に発行された「第21回万国郵便連合会議誘致(決定)」の記念切手をご紹介しました。

 万国郵便連合の大会議は原則5年に1度、各国持ち回りで、全加盟国を集めて郵便関係の条約改正について討議する会議で、1994年8月の第21回会議はソウル江南のコエックスを会場として開催されました。今回ご紹介の切手は、その会議の開催に合わせて発行されたものではなく、会議の招致が決定したことを記念したものです。日本の感覚からすると、会議が実際に行われ、無事に終了するかどうかも分からない時点で記念切手を発行するというのは、ちょっと気が早いような気もしますが、まぁ、そのあたりはお国柄なのでしょう。

 さて、記念切手には、会場のCOEXとソウルのシンボルとしての崇禮門、さらに南山のNソウル・タワーが描かれているのですが、タワーを背に崇禮門を望む構図だと、COEXはタワーよりも後ろに見えるはずですし、逆に、COEXから崇禮門の方向を見るのなら、タワーはその間に位置しているのが本来の配置です。

 もちろん、切手の図案はデザインの都合上、必ずしも現実の地理に忠実である必要はないのですが、遠くに見えるNソウル・タワーを目印に、ソウルの街歩きをした経験からすると、ちょっと不思議な気分になりますな。

 さて、ソウルの街歩きといえば、4月から、毎月1回、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で予算1日2000円のソウル歴史散歩と題する一般向けの教養講座を担当しています。今回は、来週火曜日、7日の開催で、仏誕節(日本の花まつりと異なり、韓国では旧暦で行われるため、ことしは5月17日になります)にちなんで、仏教・仏像関係の話題をいろいろとご紹介する予定です。講座はお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


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