内藤陽介 Yosuke NAITO
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 アラブの都市の物語:アンマン
2006-03-18 Sat 18:25
 NHKのアラビア語会話のテキスト4・5月号が発売になりました。僕の連載「切手に見るアラブの都市物語」は今年度も継続ですので、よろしかったら、書店でチェックしてみてください。

 で、今回のお題はヨルダンの首都・アンマンですが、今日は、テキストではスペースの都合で一部分しかお見せできなかったカバー(封筒)の全体像をお見せしましょう。(画像はクリックで拡大されます)

アンマンのカバー

 このカバーは、1924年12月、建国間もないトランスヨルダンの首都・アンマンからエジプト宛に差し出されたもので、ヒジャーズの切手に“東ヨルダン政府”と加刷された切手が貼られています。

 第一次大戦後、オスマン帝国が崩壊し、英仏が帝国のアラブ地域を分割していく過程で、東地中海南部を勢力圏に収めたイギリスは、1921年、ヨルダン川東岸地域に委任統治領としての“トランスヨルダン(ヨルダン川東岸を意味する)”を創設。大戦中、いわゆるアラブ叛乱でオスマン帝国との戦いで重要な役割を果たしたハーシム家のアブドゥッラーをアミール(首長)として、アンマンに政府を樹立しました。

 イギリスの政治的意図から人工的に創設された国家、トランスヨルダンは、当初、総人口が約40万人しかおらず、自立した独立国の運営をまかなえるだけの資源もなければ産業もありませんでした。このため、1927年にいたるまで正刷切手(オリジナル・デザインの切手)を発行することができず、イギリスのエジプト遠征軍の切手やヒジャーズ(アラビア半島北西部、紅海沿岸に樹立された国家。国王は、最初はアブドゥッラーの父・フサイン、ついで兄のアリー)の切手に“東アラブ政府”または“東ヨルダン”といった文字を加刷した暫定的な切手が用いられていました。

 今回ご紹介しているカバーはその実例というわけですが、なにせ人口40万の小国ですから、実際に郵便に使われたカバーで気の利いたものを手に入れようとすると、それなりに苦労します。このカバーも、消印がイマイチ読みにくいところがあって、完璧な状態とはいいがたいのですが、まぁ、当面は仕方のないところでしょう。

 NHKのテキストでの連載も今年で3年目。今年度が終わると、取り上げた都市の数は18になります。できれば、あと2年くらい連載を続けて30都市を取り上げたうえで、イランやトルコの都市なんかも加えて「切手で見るイスラム都市の物語」といった感じの本を作りたいのですが、NHK出版さん、乗ってくれないですかねぇ。
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