内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ピークトラム125年
2013-05-30 Thu 18:15
 香港のピークトラムが1888年5月30日に営業運転を開始してから、今日でちょうど125年になりました。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

       ピークトラム100年

 これは、1988年、英領時代の香港で発行されたピークトラム100年の記念切手です。

 1867年、香港の英総督府は、市街地後方、址旗山(ヴィクトリア・ピーク)の標高1700フィート(約518メートル)の地点にあった軍の保養所を接収し、総督の別荘、マウンテン・ロッジとしました。この別荘を中心に山の斜面が切り崩されて道が作られ、背後にイギリス人の家が建ち始めます。また、1873年には観光客をあてこんで、ヴィクトリア・ピーク・ホテルも開業しました。

 当初、香港の“山の手”の住人たちは、海沿いの市街地との往復にはセダンチェアとよばれる籠(小型シートの余白に描かれています)を使っていましたが、やはり不便であったため、スコットランド高原鉄道の技師であったフィンドレイ・スミスが中心になって、山頂と市街地を結ぶケーブルカーの建設が計画されます。ちなみに、スミスは、ピーク・ホテルの開業に関わっていただけでなく、自身も、現在の山頂駅に隣接する土地を購入して住んでいました。まさに、“必要は発明の母”といえましょう。

 スミスは、ピーク・ホテルの経営者で、香港で手広く事業を営んでいたフィニアス・ライリーを後援者につけ、1881年5月20日、香港総督のジョン・ポープ・ヘネシーに“植民地のいっそうの繁栄”と“人口の増加”を理由としたトラムの建設計画を提出するとともに、建設資金調達のため、7月2日付の官報で建設債券を公募。その後、用地買収などの準備期間を経て、1885年9月から建設工事が開始され、1888年5月28日、山頂纜車、すなわちピークトラムが開通しました。

 ピークトラムはセント・ジョンズ教会ちかくの花園道(ガーデン・ロード)駅=山頂駅の間を結ぶケーブルカーで、その距離は1.3キロ、標高差は363メートル、斜度は最大27度です。

 当時、車輌の部品は全てイギリス製で、スコットランド人のスミスが組み立てました。運転手や車掌など、機械を動かすスタッフは全員がイギリス人で、住民の圧倒的多数を占める中国人に対してイギリス人の能力を見せつけていました。ちなみに、トラムの運行は15分間隔で、山頂までの所要時間は約8分でした。

 1888年5月28日には、香港総督のウィリアム・デボーら要人を乗せた1番列車が運行され、翌29日には開業記念として希望者が無料で乗車できました。このため、正規の営業開始は5月30日からということになります。

 なお、トラムの開通に先立ち、1887年、総督府はピーク居住法令を発し、中国人をはじめ有色人種の山頂への居住を実質的に禁止しています。現在の感覚からすると露骨な人種差別ということになるのでしょうが、この時代、高温多湿の香港では、しばしば、中国人街がコレラやペストなどの伝染病の発生源となり、実際に、現地駐留のイギリス兵も少なからず亡くなっていましたからねぇ。まぁ、気持ちはわからないでもないですな。

 ちなみに、拙著『香港歴史漫郵記』では、ピークトラムとその歴史についても詳しくご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


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 於 東京・浅草 台東民会館 9階ホール
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