郵便学者・内藤陽介のブログ
 切手というモノを、ちょっと違った角度から眺めてみると、あなたの知的好奇心をくすぐる新たな発見がイロイロあるのです。そんな切手の面白さを綴っていこうと思っています。
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 キューバ・リブレ
 野球のWBCは日本がキューバを下して優勝しましたね。日本人として素直に嬉しいです。

 というわけで、勝者の余裕というわけでもないんですが、キューバ・チームの健闘とスポーツマンシップに則ったさわやかな態度(いや、別に準決勝で対戦した某国のことを問題にしたいわけじゃないんですが)を称えて、キューバがらみのモノの中から、こんな1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

自由キューバ

 スペインの植民地支配に対するキューバの第一次独立戦争は1868年から1878年まで続きました。その間の1874年、革命派は革命資金を捻出するため、キューバ国旗を描いた“自由キューバ”の切手を発行することを計画。アメリカのフィラデルフィアでここにご紹介しているような切手を制作しました。
 
 ところが、国旗の下に記された“自由キューバ”のスペルが、“CUBA LIBRA (正しくはCUBA LIBRE)”となっていたため、この“切手”は実際に発行されず終わっています。

 どうでもいいことですが、僕なんかは、“キューバ・リブレ”といえば、ラムをコーラで割ったカクテルを思い出してしまいますが、これは、1898年の米西戦争でアメリカがキューバの独立を“支援”したことにちなんでつくられるようになったものです。もっとも、スペインから独立した後のキューバは、1957年のカストロによる革命まで実質的なアメリカの植民地支配下に置かれてしまうわけで、この辺の事情については、ご興味がおありの方は、拙著『反米の世界史』もご覧いただけると幸いです。

 ちなみに、今回の“切手”が発行された1874年は、キューバで初めて野球の公式戦が行われた年でもあります。記念すべき第1試合は、同年12月、サマンサス球場で行われたハバナ対マタンサスの対戦で、結果は51対9でハバナが勝ったそうです。それにしても、51点というスコアが出てくる試合って…。やってる選手たちも、見てる観客も、さぞかし、しんどかったでしょうね。

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プロフィール

内藤陽介 (ないとう・ようすけ)

Author:内藤陽介 (ないとう・ようすけ)
 1967年、東京都生。東京大学文学部卒業。郵便学者。日本文芸家協会会員。切手の博物館・副館長。切手などの郵便資料から、国家や地域のあり方を読み解く「郵便学」を提唱し、研究・著作活動を続けている。
 主著:<解説・戦後記念切手>シリーズ(日本郵趣出版、現在、第6巻まで刊行)、『北朝鮮事典』、(竹内書店新社)、『外国切手に描かれた日本』(光文社新書)、『切手と戦争』(新潮新書)、『反米の世界史』(講談社現代新書)、『皇室切手』(平凡社)、『これが戦争だ!』(ちくま新書)、『満洲切手』(角川選書)、『香港歴史漫郵記』(大修館書店)、『タイ三都周郵記』(彩流社)ほか著書多数。最新作は『韓国現代史:切手でたどる60年』(福村出版)

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