内藤陽介 Yosuke NAITO
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
World Wide Weblog
 キューバの革命記念日
2013-07-26 Fri 10:53
 きょう(7月26日)は、1953年にキューバ革命の端緒となったモンカダ兵営襲撃事件が起きた日で、キューバでは革命記念日とされています。今年は事件から60周年の節目の年でもありますので、きょうはストレートにこの切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

       モンカダ兵営襲撃

 これは、1960年にキューバで発行されたキューバ革命1周年の記念切手のうち、モンカダ兵営の襲撃場面を取り上げた1枚です。

 米西戦争の後、キューバは実質的に米国の支配下に置かれ、砂糖やタバコなどの主要産品は米国資本が独占していました。このため、植民地社会にしばしば見られる政治家の腐敗・汚職の蔓延ともあいまって、真の独立を求めるキューバ人の反乱や反米暴動が起こると、アメリカはそのたびに軍隊を送り込んで、これを力ずくで抑えこむという状況が続いていました。

 特に、1933年8月、マチャド独裁政権の打倒を叫ぶ民衆蜂起の混乱に乗じて、陸軍軍曹のフルヘンシオ・バティスタが一挙に陸軍の実力者となると、翌1934年、米国はバティスタを支援して、彼の独裁体制を構築。以後、バティスタとその一派は、第二次大戦前後の約20年間にわたって政権を独占し、キューバの富はバティスタ政権・米国政府・米国企業・マフィアという4者によって独占され、米国に対する隷属の度合いはますます高まっていきました。

 このように抑圧されつづけたキューバ人の不満が爆発したのが、1953年7月26日、当時27歳の青年弁護士、フィデル・カストロひきいる165名の青年たちがキューバ第2の兵営であるモンカダ兵営を襲撃した事件で、今回ご紹介の切手には、その時の場面が描かれています。

 もっとも、バティスタ政権の打倒を目標として兵営を襲撃したカストロたちでしたが、彼らが期待した一般市民による反バティスタ蜂起は起こらず、逃げのびたカストロ本人も逮捕・投獄されてしまいました。しかし、襲撃事件に参加した若者に対する政府側の残虐行為(たとえば、襲撃に加わり、逮捕されたアベル・サンタマリーアは、生きたまま目をくりぬかれ、虐殺されています)が明らかになるにつれ、国民の間に、しだいに反バティスタ気運が盛り上がっていきます。

 裁判に際して、弁護士であったカストロは、被告人でありながら自らの弁護を担当し、最終弁論を「歴史は私に無罪を宣告するであろう」との有名な台詞で締めくくったものの、禁錮十五年の判決を受け、ピノス島のモデーロ監獄に収監されました。しかし、彼が獄中で執筆した手記『歴史は私に無罪を宣告するであろう』が密かに出版されると、カストロらに対する恩赦を求める運動が市民たちの間に広がり、1955年5月、バティスタも渋々ながらカストロの釈放を認めざるを得ませんでした。

 こうして釈放されたカストロは、再起を期していったんメキシコに亡命。そこで、たまたま、“アメリカ帝国主義からラテンアメリカを解放する”との理想を抱いてメキシコシティに来ていたアルゼンチン出身の青年医師、エルネスト・ゲバラと知り合い、意気投合します。こうして、カストロとチェ(“仲間”を意味するゲバラの愛称)・ゲバラという黄金コンビが誕生し、彼らは、反政府組織“7月26運動(M-26-7)”を軸に、革命運動を展開することになります。

 なお、ゲバラとカストロの肖像が近年のキューバの切手においてどのように扱われているかという点については、拙著『事情がある国の切手ほど面白い』でも1章を設けてご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


 ★★★ 内藤陽介の次回作(予告) ★★★

 『蘭印戦跡紀行』広告


 ★★★ 内藤陽介の最新作 ★★★

       マリ近現代史
         『マリ近現代史』

 北アフリカ・マリ共和国の知られざる歴史から混迷の現在まで、
 切手・絵葉書等で色鮮やかに再現したオールカラーの本格的通史!
 
 amazone-honhontoネットストアHonya ClubJBOOK7ネット・ショッピング紀伊國屋書店版元ドットコムブックサービス文教堂丸善&ジュンク堂書店楽天ブックスなどで好評発売中!


 ★★★ 予算1日2000円のソウル歴史散歩 ★★★   

 毎月1回、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で予算1日2000円のソウル歴史散歩と題する一般向けの教養講座を担当しています。開催日は7月30日、9月3日(原則第1火曜日)で、時間は各回とも13:00~14:30です。講座は途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★

 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。
スポンサーサイト

別窓 | キューバ | コメント:1 | トラックバック:0 | top↑
<< 朝鮮戦争休戦60年 | 郵便学者・内藤陽介のブログ |  プリンス・ジョージ>>
この記事のコメント
#2351 管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2014-08-31 Sun 19:49 | | #[ 内容変更] | ∧top | under∨
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
copyright © 2006 郵便学者・内藤陽介のブログ all rights reserved. template by [ALT-DESIGN@clip].
/