内藤陽介 Yosuke NAITO
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 朝鮮戦争休戦60年
2013-07-27 Sat 11:22
 1953年7月27日に朝鮮戦争の休戦協定が調印されてから、ちょうど60年になりました。というわけで、きょうはストレートにこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

       北朝鮮・祖国解放戦争勝利

 これは、休戦協定調印翌日の1953年7月28日、北朝鮮が発行した“祖国解放戦争勝利”の記念切手で、メダル風にデザインされた金日成の肖像の下に、勝利を喜ぶ人民が描かれています。この切手には目打ありと無目打があるのですが、今回ご紹介のモノのように、一部だけ目打が入っているという妙に中途半端な状態のモノも報告されています。まぁ、武力南侵を行い、朝鮮半島を統一するというのが北朝鮮側の“祖国解放戦争”の大義名分だったことを考えると、所期の目的を達成できなかったという点において、北朝鮮側が“勝利”を口にするのはおこがましいようにも思うのですが、そのあたりは彼ら独特のレトリック(屁理屈ともいう)ということで…(笑)。

 さて、朝鮮戦争の休戦交渉(朝鮮軍事会談)は、1951年7月10日、開城ではじまりました

 当初、国連軍側は、1ヵ月程度で交渉は妥結するものと楽観視していましたが、会談は議題の設定をめぐって最初から難航。①議題の採択、②非武装地帯の設定と軍事境界線の確定、③停戦と休戦のための具体的取り決め、④捕虜に対する取り決め、⑤双方の関係各国政府に対する通告、という5項目を議題とすることが決定されたのは7月26日のことでした。

 しかし、その後も、軍事境界線は、現在の勢力圏の北側にすべきとする国連側と、あくまでも38度線にすべきとする共産側との溝は埋まらず、交渉はただちに暗礁に乗り上げます。そして、8月22日、共産側は、国連軍機による開城上空の侵犯を理由に会談の打ち切りを通告。以後、10月25日に板門店に場所を移して会談が再開されるまで、会談は中断となります。

 再開された休戦会談は、紆余曲折の末、11月27日になって「現在の接触線を基にする」との国連側の主張に沿って、「議題の採択」に次ぐ第2の議題(実質的な第1議題)であった「非武装地帯の設定と軍事境界線の確定」の問題が妥結。その後も、第3の議題であった「停戦と休戦のための具体的取り決め」や第4の議題であった「捕虜に対する取り決め」などをめぐり、会談は紛糾が続き、1953年7月に休戦協定が調印されるまで、1076回にも及ぶ会談が延々と繰り返されました。

 一方、休戦の機運が高まるに連れ、韓国政府は不満を募らせるようになります。

 そもそも、韓国側にしてみれば、朝鮮戦争は北朝鮮の侵略によって始まったものでしかありません。したがって、侵略者に対して徹底的な勝利を収めないかぎり、何の罪もないまま、多大な犠牲を強いられた国民を納得させることは困難です。さらに、朝鮮戦争の休戦交渉は、基本的には、国連軍という名の米軍と、共産軍との間で進められており、当事者であるはずの韓国はほとんど蚊帳の外に置かれているのも同然の状態にありました。

 こうしたことから、休戦が近づくに連れ、韓国内では休戦反対のデモがしばしば発生。大統領の李承晩も、休戦に対しては絶対反対の立場を取りつづけ、米国は“頑固な老人”に大いに手を焼くことになります。

 結局、1953年6月17日、韓国警備隊は捕虜収容所から、中国・北朝鮮への送還が決まっていた“反共捕虜(中国・北朝鮮への帰還を望まない捕虜)”を釈放するなど、最後の抵抗を試みたものの、米国側が、米韓安全保障条約の締結、韓国軍の20個師団増設、戦後復興に対する援助などの代償として、韓国側も休戦に反対しないことを約束させ、ようやく、休戦のための条件が整えられました。

 こうして、1953年7月27日、板門店の休戦会談本会議場において、国連軍首席代表のハリソンと朝鮮人民軍(朝鮮人民軍)代表の南日との間で休戦協定が調印されました。また、国連軍総司令官のクラーク、朝鮮人民軍総司令の金日成、中国人民志願軍総司令の彭徳懐は、それぞれ、後方の司令部で休戦協定に署名しています。

 しかし、韓国側は、休戦に反対派しないが署名もしないとの李承晩の姿勢を反映して、協定の調印を拒否。こうした“休戦”に対する南北の姿勢を反映するかのように、北朝鮮が“勝利”を祝う記念切手を発行したのに対して、韓国ではそうしたものは発行されていません。

 なお、朝鮮戦争と関連のマテリアルについては、拙著『韓国現代史:切手でたどる60年』でもいろいろとご説明しておりますが、同書の刊行からすでに5年。その後に入手したマテリアルもかなりありますので、そろそろアップデート版を作りたいところですが、昨今の出版事情ではなかなか難しいのが現実です。本来なら、今年のこのタイミングに合わせての刊行がベストだったのですが、残念ながら間に合いませんでしたので、まぁ、気長に時機を待つとしますかね。


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