内藤陽介 Yosuke NAITO
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 切手に描かれたソウル:ワールドカップ競技場
2013-07-29 Mon 08:30
 サッカーの東アジア杯は、きのう(28日)、ソウルの蚕室総合運動場(いわゆるオリンピック・スタジアムです)で最終戦が行われ、日本代表が2-1で韓国代表を下し、東アジア杯初優勝を飾りました。で、ご報告が遅くなりましたが、『東洋経済日報』7月19日号に掲載の「切手に描かれたソウル」では、刊行日翌日の7月20日からソウルでサッカー東アジア杯が開かれたことにちなみ、大会初戦が行われたワールドカップ競技場の切手をご紹介しました。(画像はクリックで拡大されます)

       ソウル・ワールドカップ競技場

 これは、2002年に行われた日韓共催のサッカー・ワールカップに先立ち、2000年11月24日に発行されたワールドカップの競技場の切手のうち、ソウルのワールドカップ競技場を取り上げた1枚です。まぁ、実際に競技場が完成したのは2001年11月のことで、切手発行時にはまだ競技場は出来上がっていませんでしたから、正確には、完成予想図を取り上げたというべきかもしれませんが…。

 さて、2002年ワールドカップの日韓共催は1996年5月に決定されましたが、その後、韓国の経済低迷によって、日本単独開催が現実の問題として検討されるようになります。1997年後半、韓国はアジア通貨危機に巻き込まれて経済危機に陥り、 IMFの管理下に入ったためです。

 しかし、その後は、日本を中心としたIMF経由の金融支援や金大中政権による財閥解体などの構造改革によって、大量の失業者は発生したものの、経済は急速に回復し、なんとか、韓国の開催返上は避けられる見通しとなりました。

 ただし、経済危機からの脱却は、対米輸出に大きく依存したものであったため、2001年9月に米国で同時多発テロが発生し、対米輸出が大幅に減少すると、韓国経済は再び失速。この結果、韓国でのスタジアム建設も大きく滞ることになります。

 ワールドカップの韓国での大会開催都市は、日本と同じ10ヵ所。国内の大都市(ソウル特別市と国内6ヶ所の広域市)を網羅していましたが、これは、地域対立を煽らないようにとの配慮から、人口の少ない江原道を除いて全国に万遍なく配置した結果でした。もっとも、当時の韓国の国家規模は、人口では日本の約4割、GDP(国内総生産)では日本の約6分の1しかありません。したがって、日本と同じスケールでスタジアムを建設し、整備するのは、韓国経済が好調なときであっても国力に比して大きな負担であり、ましてや、経済状況が落ち込んでいる時には、客観的に考えれば無謀な計画といって良いでしょう。

 しかし、2001年9月に同時多発テロ事件が生きた時点では、すでに大会開催まで1年を切っており、チケットの販売も始まっており、もはや、開催地の変更は不可能な状況でした。

 このため、日本政府は、韓国での大会開催は韓国経済回復の起爆剤になる(=結果的に、日本へのマイナスの影響も減じられる)との判断から、30億ドルを韓国に融資。この資金によってスタジアム建設が続けられ、日韓共催も実現にこぎつけたという事情がありました。

 こうした経緯を考えると、ともかくも切手に描かれたスタジアムが幻に終わらずに済んで、おそらく、関係者も安堵したに違いないでしょうな。もっとも、収集家としては、かつてのES細胞の切手の時のように、回収騒動が起こるなどの事件があれば、それはそれで楽しめたんですけれど…。

 そういえば、昨日の試合では、開始早々、韓国側応援席の2階から「歴史を忘れた民族に未来はない」と書かれた巨大な横断幕が掲げられたそうです。横断幕は日本語ではなく韓国語で書かれていたということなので、日本人にではなく韓国人に向けて、「日本からの過去の支援を忘れて、愚かな反日行動に走れば国家の自滅だ」と呼びかけるためのものだったんでしょう(棒読み)。今回ご紹介したようなエピソードは、それこそ、韓国現代史においては山のようにあるのですから、

 なお、このあたりの事情については、拙著『韓国現代史』でもいろいろとまとめておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


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