内藤陽介 Yosuke NAITO
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 チリ・911事件から40年
2013-09-11 Wed 11:15
 “911”というと、2001年の米国同時多発テロ事件を思い出す人が多いと思いますが、もともとは、1973年9月11日にアウグスト・ピノチェトが起こした反アジェンデ・クーデターの方が有名でした。というわけで、きょうはその40周年ということで、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

       生命・アジェンデ・死

 これは、2008年にチリが発行したサルバドール・アジェンデ生誕100年の小型シートで、チリ出身の画家、ロベルト・マッタの作品「生命 アジェンデ 死」が取り上げられています。

 マッタは、1911年、サンティアゴ生まれ。1929年から1931年まで、サンティアゴ・カトリック大学で建築を学んでいましたが、中退してヨーロッパ各地を放浪。1933年、パリに渡り、ル・コルビュジエの建築事務所に職を得ました。その後、1937年頃に、ルネ・マグリットやサルバドール・ダリ、アンドレ・ブルトン、ル・コルビュジエなどと出会い、シュルレアリスムのメンバーに加わりましたが、1939年、第2次大戦が勃発すると、マルセル・デュシャンの助言により、イヴ・タンギーと共にニューヨークへ亡命。米国における“抽象表現主義”の祖というべき存在になりましたが、1948年にフランスに戻り、以後、フランス国籍を取得してパリを拠点に活動しました。

 思想的には左派リベラルの立場で、1961年、 スペイン内戦に着想を得た「質問」でマルツォット賞を受賞。さらに、1962-63年には革命後のキューバを訪問し、 1968年にはハバナで開催された文化会議の議長を務めました。

 1970年、祖国チリでアジェンデが大統領に当選し、史上はじめて自由選挙により社会主義政権が発足すると、チリ出身の左派系文化人を代表する存在となっていたマッタは、アジェンデ直々の招待により、大統領就任式に出席のためチリを訪問しています。それだけに、1973年のクーデターでアジェンデが殺害(自殺説もありますが)されたことには大きな衝撃を受け、今回ご紹介の切手に取り上げられた「生命 アジェンデ 死」を発表。ピノチェトによる軍事クーデターに対する抗議の意を示しました。

 さて、クーデターの後、チリは16年の長きにわたり、ピノチェトの軍事独裁下に置かれることになりました。もっとも、いまになってみれば、日本の革新知事たちがそうであったように、アジェンデ政権というのも、実は放っておけば政策的な行き詰まりでそう長くはもたなかったように思うのですが、当時のアメリカとピノチェトはそう考えなかったんでしょうねぇ。逆に、アジェンデにとっては、その悲劇的な幕切れのゆえに“英雄”としてラテンアメリカ史に名を残すことになったのは、政治家としてある意味で幸せなことだったのかもしれないと思えてなりません。

 なお、ピノチェト政権は1990年3月11日に退陣を余儀なくされますが、ピノチェト本人はその後も1998年に病気療養のため渡英するまでチリ政界で隠然たる力を維持し続けます。この間、マッタは1995年に 高松宮殿下記念世界文化賞・絵画部門受賞を受賞していますが、この頃になると、宮様の名前を冠した賞の戦功に際しても、彼の政治的な立場が問題視されることはなかったようです。ちなみに、マッタがローマ近郊の病院で亡くなったのは2002年のことで、ピノチェトが亡くなったのは2006年のことでした。


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