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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ハイチ住民、国連を提訴
2013-10-11 Fri 13:43
  ハイチに展開した国連平和維持活動(PKO)のネパール軍部隊が深刻なコレラ流行を引き起こしたとして、感染による死者の遺族らが、きのう(9日)、国連に対して、コレラ根絶の費用と患者への補償として22億ドル(約2150億円)をハイチ政府と被害者に支払うよう求め、ニューヨークの米連邦地裁に集団提訴しました。という訳で、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

       ネパール・PKO部隊

 これは、1998年にネパールが発行した“ネパール軍のPKO参加40周年”の記念切手です。

 ネパールが国連に加盟したのは1955年のことで、PKOのルーツといわれるスエズ動乱への第一次国際連合緊急軍(UNEF I)派遣は翌1956年のことです。さすがにこの時はネパール軍は派遣されていませんが、早くも1958年のレバノンでの停戦監視にはネパール軍も派遣されています。以後、ネパール軍は現在までに37のPKO活動に累計9万7182人の要員を派遣し、現在までに59人の犠牲を出しました。

 今回、問題になったハイチのPKOは、2004年に創設されたMINUSTAH(国連ハイチ安定化ミッション)と呼ばれるもので、もともとは、ジャン・ベルトラン・アリスティド大統領と反政府勢力が激しく対立していたハイチで、2004年2月、かつてハイチ警察の幹部であったギ・フィリップが反政府武装勢力を率いて蜂起し、ハイチ国内が事実上の無政府状態に陥ったことを受けて創設されたもので、ハイチの治安回復と警察機構の再建支援、選挙などを含む民主的政治プロセスの回復支援、難民帰還をはじめとした人権擁護活動などが主な活動でした。
 
 MINUSTAHの尽力により、2006年には大統領選挙が行なわれ、ルネ・ガルシア・プレヴァルが当選しています。その後、プレヴァル政権下で治安情勢は徐々に安定しつつありましたが、2008年4月には国際的な食糧の高騰の影響で物価が暴騰したことをめぐり、大規模なデモが発生。またもや情勢が不安定しつつある中で、2010年1月に大地震が発生したことで、緊急の復旧・復興とハイチの安定化を支援するため、MINUSTAHの要員が増員されています。

 この時増員された3500人のうちのネパール軍部隊の宿営地が、コレラの発生源とみられており、米疾病対策センターも、ハイチのコレラはネパールから来たPKO部隊が持ち込んだ可能性が高いとの報告を発表していました。

 今回の訴訟に関して、原告側の弁護士は「ハイチは過去100年間、コレラと無縁だったが、国連の部隊が来て以来、世界で最悪のコレラ感染国になってしまった」と主張しています。果たして、過去100年間、本当にハイチでコレラが発生したことがないかどうかは疑問ですが、2010年10月以降のコレラの流行により、ハイチでは65万人以上が感染し、8300人以上が死亡したことは紛れもない事実ですので、“世界で最悪のコレラ感染国”の一つであるのは間違いなさそうです。

 なお、ハイチ大地震をめぐる関係各国の思惑については、拙著『事情のある国の切手ほど面白い』でも1章を設けてご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。
 

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