内藤陽介 Yosuke NAITO
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 グレナダ侵攻30年
2013-10-25 Fri 23:15
 1983年10月25日、カリブ海の島国グレナダでのクーデターに際して、米軍および東カリブ諸国機構(OECS)参加国軍が侵攻した“グレナダ侵攻”が起こってから、今日でちょうど30年です。というわけで、こんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

       グレナダ・革命1周年(演説)

 これは、1980年、グレナダが発行した“革命1周年”の小型シートで、聴衆を前に演説するモーリス・ビショップ首相が描かれています。

 1974年に英国から独立したグレナダでは、首相のエリック・ゲーリーとその一族が外国資本と癒着して政治を私物化し、貧困と失業が深刻な社会問題となっていました。このため、1979年、国民の不満が爆発してクーデターが発生。ゲーリー政権は崩壊し、マルキストのモーリス・ビショップによる人民革命政府が樹立されました。今回ご紹介の小型シートは、その時の様子を描いたもので、ゲーリー政権に嫌気した国民が熱狂的に彼を支持する様子が描かれています。

 ところが、革命政権は議会を解散し、重要産業の国有化や集団農場制の導入など、グレナダの社会主義化を強行。外交面では、非同盟・中立路線を掲げて東側諸国、特に、キューバとの友好関係を強化しました。このため、米国はビショップ政権を露骨に敵視。西側との経済交流も大幅に低下したこともあって、革命後も経済状況はほとんど改善されない状況が続きました。

 このため、革命政権に対するグレナダ国民の支持も急速に低下し、政治状況も不安定化。1983年10月14日、副首相のバーナード・コードによるクーデターが発生し、ビショップは軍によって軟禁されます。これに対して、ビショップ支持派は各地でデモを起こし、一時はビショップを解放しました。しかし、10月19日、フォートルパート(現フォートジョージ)の軍総司令部でハドソン・オースティン将軍ひきいる軍事クーデターが発生。ビショップは再び逮捕されて処刑され、オースティンを首班とする革命軍事評議会軍が政権を掌握しました。

 この機会をとらえ、10月25日、米国は「グレナダ在住の米国市民が危険にさらされている」という理由で、東カリブ諸国機構(OECS)加盟国6ヶ国(セントクリストファー・ネイビス、アンティグア・バーブーダ、ドミニカ国、セントルシア、セントビンセント・グレナディーン諸島、バルバドス)で結成されたカリブ平和軍と共同出兵しました。これがいわゆるグレナダ侵攻です。

 侵攻した米軍7300名とカリブ平和軍353名に対して、グレナダ側はグレナダ兵1500名とキューバ人722名、このほか、東側諸国出身の約60名の顧問しかおらず、米軍は12月15日までにグレナダ全島を制圧しました。この結果、革命評議会は崩壊し、コードとオースティンはビショップ殺害の容疑で逮捕され、英国での裁判の結果、1986年、死刑判決を受けています。(のち終身刑に減刑され、オースティンは2008年に、コードは2009年に出所しました)

 ちなみに、ソ連を含む東側諸国は、ソ連軍のアフガニスタン侵攻に抗議して西側諸国が1980年のモスクワ五輪をボイコットしたことへの報復として、1984年のロス五輪をボイコットしていますが、表向きの理由は「米軍によるグレナダ侵攻に抗議して」ということになっています。


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