内藤陽介 Yosuke NAITO
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 マラソンはモナスからスタート
2013-10-28 Mon 11:47
 きのう(27日)、ジャカルタで初めての国際マラソン大会が開催されました。高温多湿なジャカルタの気候を配慮して、日の出より約30分早い午前5時、日本を含む世界50カ国1万人の参加者が、ピンクにライトアップされた独立記念塔(モナス)前からスタートしたそうです。というわけで、きょうは、マラソンの出発地点、モナスを描いたこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

       モナス・寄附金つき切手     モナス(実物)

 これは、モナス建設中の1962年5月20日、建設費用調達のために発行された寄附金つき切手で、モナスの完成予想図が描かれています。右側には、実際のモナスの写真を貼っておきました。塔の下を歩く人々や背後の建物などと比べると、塔の巨大さがお分かりいただけるかと思います。切手の完成予想図と実物の塔の形状が若干違うのは、まぁ、ご愛嬌でしょう。

 ジャカルタの中心部、ムルデカ(独立)広場の中心部にそびえたつモナスは、スカルノ直々の提案により建設されました。設計は、建築家のスダルソノとフレデリッヒ・シラバンがデザインを担当し、ローセノが構造を担当しました。定礎式は1961年8月17日に行われましたが、完成したのは、スカルノ失脚後の1975年のことです。

 塔の外装は白い大理石で、高さは137メートル。頂上部には高さ14メートル、直径6メートル、重さ14.5トン(35キロの純金メッキを含む)の青銅製の炎をかたどったレリーフがあり、独立戦争中のインドネシア国民の闘志を象徴しているそうです。

 モナスを最初に見た時に、僕は、平壌の主体思想塔を思い出したのですが、よくよく考えると、モナスの完成は1975年で、主体思想塔は1982年のことですから、主体思想塔の方がモナスをモデルにしたということはありそうです。ちなみに、北朝鮮の国家イデオロギーとなっている主体思想は、じつは、インドネシアとも浅からぬ因縁があります。

 主体思想は、1950年代末、いわゆる中ソ対立が本格化し、北朝鮮が中ソ両国から等距離を取り、自らの独自路線を採らざるを得なくなったことで生まれてきたわけですが(彼らの言う“主体”とは、“客体”の対義語ではなく、大国におもねる“事大”の対義語です)、1965年4月、バンドン会議10周年記念会議に参加した金日成は、インドネシアのアリ・アルハム社会科学院で講演を行い、「思想における主体、政治における自主、経済における自立、国防における自衛――これが、わが党が堅持している立場」であると語り、これが主体思想であると初めて公言しました。金日成が、モスクワや北京ではなく、第三世界のインドネシアで主体思想を公式に宣言したことは、この「思想」の性格を考える上できわめて象徴的であったといえましょう。

 ちなみに、この時の金日成の外遊には、金正日も同行していますので、モナスの建設中に現地を訪問した体験が、後の主体思想塔建設のヒントにつながったという可能性もあるのではないかと僕は考えています。このあたりの事情については、拙著『蘭印戦跡紀行』の続編として、ジャカルタについての本を作る機会があれば、ぜひまとめてみたいですね。まぁ、そのためには、まずは『蘭印戦跡紀行』がそれなりの営業成績を残さないといけないので、皆様、なにとぞよろしくお願いいたします。


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