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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ラフモン以前のタジキスタン切手
2013-11-08 Fri 11:54
 中央アジアのタジキスタンで任期満了に伴う大統領選が投開票され、現職のエモマリ・ラフモン大統領が8割を超える得票で圧勝し、4選を決めました。今後、7年の任期を満了すると、1992年の最高会議議長の就任以来、2020年まで28年間の超長期政権となる見通しです。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

       タジキスタン最初の切手

 これは、1992年5月20日に発行されたタジキスタン最初の切手で、同国で出土した黄金の騎馬像が取り上げられています。

 現在のタジキスタン共和国の領域は、かつて、タジク・ソビエト社会主義共和国としてソ連邦の一共和国でしたが、1990年、ゴルバチョフ政権下の新連邦条約(これにより、ソ連を構成する各主権共和国は独立した共和国として共通の大統領、外交、軍事政策下に連合することになりました)により、主権宣言を行い、同年11月30日、タジキスタン共産党中央委員会第一書記のカハル・マフカモフがタジク・ソビエト社会主義共和国の初代大統領に選出されました。

 これに対して、翌1991年8月、モスクワでソ連保守派のクーデターが失敗すると、同月31日、最高会議の代議員たちは、大統領の退任と共産党の解散を主張ちしていた野党と連帯し、マフカモフを退陣に追い込みます。これを受けて、9月9日、タジキスタン共和国の独立が宣言され、11月には、ラフモン・ナビエフ(マフカモフの前任として1985年までタジキスタン共産党中央委員会第一書記)が新生タジキスタン共和国の初代大統領に選出されました。

 旧ソ連時代のタジク・ソビエト社会主義共和国では、ホジェンド(北西部ソグド州の州都)地方やクリャーブ(南部ハトロン州の東部)地方の出身者が政府と軍の要職を占めており、ゴルノ・バダフシャン自治州のパミール人やガルム地方の民族集団、イスラム勢力などは不遇をかこっていましたが、共産党一党独裁の下、彼らの不満は抑え込まれていました。

 それが、新国家の誕生とともに一挙に噴き出すかたちで、1992年春、ナビエフ政権への抗議行動が発生。5月には、政府側の警備兵と反政府勢力の間で戦闘が発生し、いわゆるタジキスタン内戦に突入します。今回ご紹介の切手は、まさに、そうした緊迫した状況の下で発行されたモノです。

 内戦の勃発に対して、ナビエフ政権は野党勢力を取り込んだ連立政権を作ることで乗り切ろうとしましたが、ナビエフくみしやすしと見た反政府勢力の攻撃は収まらず、1992年9月、ナビエフは退陣に追い込まれました。

 混乱の拡大を憂慮したロシアとウズベキスタンが事態収拾に乗り出し、ホジェンド派とクリャーブ派からなる人民戦線を軍事支援。人民戦線は1992年末に反政府勢力を圧倒し、連立政権をも解体して、クリャーブ出身のエマモリ・ラフモノフを指導者とする新政権を樹立しました。その後、ラフモノフは共和国最高会議議長を経て1994年11月6日、タジキスタン共和国大統領に就任。以後、今日にいたるまで権力を維持し続けているというわけです。なお、大統領の現在の姓は“ラフモン”となっていますが、これは、2007年にそれまでの“ラフモノフ”からロシア語風の接尾辞を取り、タジク語の原型に戻したためです。 

 さて、今回の選挙については、野党イスラム復興党が、有力な対抗馬として、人権活動家の女性を擁立を試みたものの、最終的に、彼女は出馬断念に追い込まれるなど、選挙の公正さについては選挙監視に当たった欧州安保協力機構の派遣団からも疑問の声が上がっているようです。まぁ、強権的ではあっても国民生活が豊かであれば、国民の不満もある程度は鎮めることができるのでしょうが、現状では、タジキスタンは旧ソ連諸国の中で最貧国なわけで、はたして、2020年まで国民が我慢できるかどうか、注目したいところですな。


 ★★★ ラジオ出演のご案内 ★★★

 11月10日(日)14:00から、TBSラジオで放送の番組「爆笑問題の日曜サンデー」の「サンデーマナブくん」のコーナーに、『年賀状の戦後史』の著者として内藤が出演し、「年賀状」とその歴史についてお話しします。聴取可能な地域の方は、ぜひ、お聞きいただけると幸いです。(番組HPはこちらです)


 ★★★  絵葉書と切手でたどる世界遺産歴史散歩  ★★★

 2014年1月11日・18日・2月8日のそれぞれ13:00-15:00、文京学院大学生涯学習センター(東京都文京区)で、「絵葉書と切手でたどる世界遺産歴史散歩」と題する講座をやります。(1月18日は、切手の博物館で開催のミニペックスの解説)

 新たに富士山が登録されて注目を集めるユネスコの世界遺産。 いずれも一度は訪れたい魅力的な場所ばかりですが、実際に旅するのは容易ではありません。そこで、「小さな外交官」とも呼ばれる切手や絵葉書に取り上げられた風景や文化遺産の100年前、50年前の姿と、講師自身が撮影した最近の様子を見比べながら、ちょっと変わった歴史散歩を楽しんでみませんか? 講座を受けるだけで、世界旅行の気分を満喫できることをお約束します。

 詳細はこちら。皆様の御参加を、心よりお待ちしております。


 ★★★ 予算1日2000円のソウル歴史散歩 ★★★   

 毎月1回、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で予算1日2000円のソウル歴史散歩と題する一般向けの教養講座を担当しています。次回開催は12月3日(原則第1火曜日)で、以後、1月7日、2月4日、3月4日に開催の予定です。時間は各回とも13:00~14:30です。講座は途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


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