内藤陽介 Yosuke NAITO
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 勤労感謝の日
2013-11-23 Sat 09:34
 きょう(23日)は勤労感謝の日です。という訳で、きょうは“働く人”を取り上げた切手の中からこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

       スカルノ帰還加刷     バティック実演

 これは、1949年、独立戦争時のインドネシア共和国が臨時政府のジョグジャカルタ帰還を記念して発行されたローカル加刷切手です。加刷の台切手にはジョグジャカルタを象徴するものとしてバティックの制作作業にいそしむ女性が取り上げられています。右の画像は、ジョグジャカルタの空港到着ロビーで行われていたバティック制作の実演風景です。

 日本軍の撤退後、インドネシア共和国の独立を宣言したスカルノら民族主義者に対して、旧宗主国のオランダはこれを認めず、インドネシアに進駐したオランダ軍部隊は、独立を妨害するために、インドネシア人の誘拐や殺害、放火など多くの事件を起こし、両者の対立は、なし崩し的に独立戦争へと転化していきました。

 首都ジャカルタの治安が極端に悪化したことから、1946年1月4日、インドネシア共和国政府はジョグジャカルタを臨時首都としてジャカルタから遷都。大統領スカルノ、副大統領ハッタら政権中枢はジョグジャカルタに退避し、首相兼外相のシャフリルがジャカルタに残って英蘭(日本軍の武装解除を担当するため各地に進駐したのは英連邦軍でした)と交渉を進めます。

 さて、インドネシア独立戦争は、1948年1月17日には、いったん、ジャカルタ沖に停泊する米国軍艦レンヴィル上で停戦協定(レンヴィル協定)が締結。同協定では、インドネシア共和国の領土はジャワ島の中部と西端部、マドゥラ島のみに限られており、共和国にとっては屈辱的な内容でしたが、戦況が圧倒的にオランダ優位で進んでいたこともあって、ともかくも“独立”を確保するためには、共和国側もこれを飲まざるを得ないというのが実情でした。

 しかし、当然のことながら、協定の内容に対するインドネシア内の不満も根強く、特に、インドネシア共産党(PKI)をはじめとする左派勢力は徹底抗戦を唱えて、1948年9月18日、ジャワ島東部のマディウンで政府機関を襲撃し、革命政府樹立を宣言します。この反乱は1ヶ月ほどで鎮圧されたものの、混乱に乗じて一挙に共和国を壊滅に追い込もうと考えたオランダは、同年12月11日、和平会談の決裂を宣言。12月19日、“(第二次)警察行動”と称して、共和国領内への全面攻勢を開始しました。

 共和国臨時首都のジョグジャカルタでは、マグオ空港がオランダ空軍による空襲を受けて破壊され、12月23日には首都中枢部が陥落。スカルノ以下共和国政府要人が逮捕されます。このため、共和国側はスマトラに臨時政府を樹立し、各地でゲリラ戦を展開。1949年3月1日にはスハルト(後の大統領)指揮下の共和国軍がジョグジャカルタ奪還作戦を敢行しました。

 この作戦は、結果的に成功しませんでしたが、この頃になると、オランダの“汚い戦争”に対する国際社会の批判と和平圧力が強まりました。かくして、1949年7月6日、スカルノらはジョグジャカルタに帰還し、7月13日にはスマトラの臨時政府を解消して、政府機能を復活。ちなみに、今回ご紹介の切手は、これを記念して発行されたものです。

 その後、8月23日から11月2日まで開催されたハーグ円卓会議により、オランダはインドネシア共和国を正式に承認し、独立戦争はようやく終結しました。

 さて、拙著『蘭印戦跡紀行』では、独立戦争時の臨時首都であり、ジャワ島の古都でもあるジョグジャカルタについても1章を設けて解説しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


 ★★★  絵葉書と切手でたどる世界遺産歴史散歩  ★★★

 2014年1月11日・18日・2月8日のそれぞれ13:00-15:00、文京学院大学生涯学習センター(東京都文京区)で、「絵葉書と切手でたどる世界遺産歴史散歩」と題する講座をやります。(1月18日は、切手の博物館で開催のミニペックスの解説)

 新たに富士山が登録されて注目を集めるユネスコの世界遺産。 いずれも一度は訪れたい魅力的な場所ばかりですが、実際に旅するのは容易ではありません。そこで、「小さな外交官」とも呼ばれる切手や絵葉書に取り上げられた風景や文化遺産の100年前、50年前の姿と、講師自身が撮影した最近の様子を見比べながら、ちょっと変わった歴史散歩を楽しんでみませんか? 講座を受けるだけで、世界旅行の気分を満喫できることをお約束します。

 詳細はこちら。皆様の御参加を、心よりお待ちしております。


 ★★★ 予算1日2000円のソウル歴史散歩 ★★★   

 毎月1回、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で予算1日2000円のソウル歴史散歩と題する一般向けの教養講座を担当しています。次回開催は12月3日(原則第1火曜日)で、以後、1月7日、2月4日、3月4日に開催の予定です。時間は各回とも13:00~14:30です。講座は途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


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 日本の兵隊さん、本当にいい仕事をしてくれたよ。
 彼女はしわくちゃの手で、給水塔の脚をペチャペチャ叩きながら、そんな風に説明してくれた。(本文より)

 南方占領時代の郵便資料から、蘭印の戦跡が残る都市をめぐる異色の紀行。
 日本との深いつながりを紹介しながら、意外な「日本」を見つける旅。

 出版元特設ページはこちらです。また、10月17日、東京・新宿の紀伊國屋書店新宿南店で行われた『蘭印戦跡紀行』の刊行記念トークの模様が、YouTubeにアップされました。よろしかったら、こちらをクリックしてご覧ください。


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