内藤陽介 Yosuke NAITO
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 和食が無形文化遺産に登録
2013-12-05 Thu 10:40
 アゼルバイジャンのバクーで開かれているユネスコ(国連教育科学文化機関)無形文化遺産の政府間委員会で、きのう(4日)、「和食 日本人の伝統的な食文化」の登録が正式に決まりました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

       香港・寿司

 これは、1990年、英領時代の香港で発行された“世界の料理(International Cuisine)”と題する6種セットの1枚で、“日式菜”、すなわち和食の代表として寿司が取り上げられています。寿司の切手としては古典的な1枚なので、ご存じの方も多いかもしれません。

 “世界の料理”切手では、このほか、フランス料理やタイ料理、インド料理、それに中華料理などが取り上げられています。その意図が、香港では世界のあらゆる料理が味わえることをアピールすることで、“グルメ天国”香港への外国人観光客を誘致しようという点にあるのは明らかです。

 ところで、香港における“食”の多様性ということは、そのまま、香港社会そのものの多様性を示すことになります。

 香港社会は中国系が98パーセントと圧倒的多数を占めているとはいえ、イギリス人をはじめとする欧米人、インド系(貿易商としてやってきたパル-シー教徒、グジャラート人、マルワル人、シンド人、軍事・警察要員としてやってきたシーク教徒など)、主としてメイドとして働いているフィリピン人などのエスニック・グループも社会的に無視できない存在です。これらの少数派と中国系との融和が香港社会にとって重要な課題であることはいうまでもありません。

 その真意はどうあれ、“返還”を控えた1990年代に入って、香港に“民主化”の置き土産を残していこうとした英国の香港政庁は、民主主義の前提である多様な価値観の共存を、理念ではなく、よりリアルなかたちで人々に実感させるため、香港にもマイノリティのエスニック集団がいて、彼らの権利を十分に尊重する必要があることをさまざまな機会を通じてアピールしていましたが、“世界の料理切手”もまた、こうした文脈にそって、香港社会の多様性を“食”という側面から表現したものとみてよいでしょう。

 ちなみに、1997年7月以降の中国香港の切手においては、このように、さまざまなマイノリティ集団を含むという意味での社会の多様性が強調されることはほとんどなく、“中国の香港”という側面が強調されています。香港でしばしば大規模なデモが行われているのも、強引な中国化に対する香港の人々の不安と不満の表れであることは言うまでもありません。

 なお、このあたりの事情については、拙著『香港歴史漫郵記』でも、いろいろと書いて見ましたので、よろしかったら、ぜひご覧いただけると幸いです。


 ★★★  絵葉書と切手でたどる世界遺産歴史散歩  ★★★

 2014年1月11日・18日・2月8日のそれぞれ13:00-15:00、文京学院大学生涯学習センター(東京都文京区)で、「絵葉書と切手でたどる世界遺産歴史散歩」と題する講座をやります。(1月18日は、切手の博物館で開催のミニペックスの解説)

 新たに富士山が登録されて注目を集めるユネスコの世界遺産。 いずれも一度は訪れたい魅力的な場所ばかりですが、実際に旅するのは容易ではありません。そこで、「小さな外交官」とも呼ばれる切手や絵葉書に取り上げられた風景や文化遺産の100年前、50年前の姿と、講師自身が撮影した最近の様子を見比べながら、ちょっと変わった歴史散歩を楽しんでみませんか? 講座を受けるだけで、世界旅行の気分を満喫できることをお約束します。

 詳細はこちら。皆様の御参加を、心よりお待ちしております。


 ★★★ 予算1日2000円のソウル歴史散歩 ★★★   

 毎月1回、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で予算1日2000円のソウル歴史散歩と題する一般向けの教養講座を担当しています。次回開催は1月7日(原則第1火曜日)で、以後、2月4日と3月4日に開催の予定です。時間は各回とも13:00~14:30です。講座は途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


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