内藤陽介 Yosuke NAITO
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 岩のドームの郵便学(12)
2013-12-19 Thu 14:42
 ご報告が遅くなりましたが、『本のメルマガ』520号が先月25日に配信となりました。僕の連載「岩のドームの郵便学」は、今回は、第3次中東戦争の話を取り上げました。その中から、きょうはこんなモノをご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      イスラエル・タクシー郵便(1967)

 これは、1967年の第3次中東戦争直後、東エルサレム宛の郵便が再開された際の第一便としてタクシーで運ばれたカバーです。

 シリア=イスラエル国境で緊張が高まっていた1967年4月、シリア、イスラエル両国の空軍が空中戦を展開し、シリアのミグ戦闘機6機が撃墜される事件が発生。これを機に、軍事的緊張は一挙に高まり、アラブの盟主として君臨していたエジプト大統領・ナセルにイスラエルへの実力行使を求めるアラブ諸国の世論が沸騰します。当初、慎重姿勢を保っていたナセルも、同年5月14日、アラブ諸国からの要請を拒否しきれずに、シナイ半島に兵力を進駐させ、第二次中東戦争の終結以来駐留を続けていた国連緊急軍に撤兵を要求。同月22日、チラン海峡を封鎖しました。

 アラブ諸国はナセルの決断を歓迎し、5月30日にはヨルダンとエジプトとの間で相互防衛条約が調印されたほか、エジプトとシリア、ヨルダンの間では軍事同盟が結成されます。さらに、イラク、クウェート、スーダン、アルジェリアの各国も有事の際の派兵を約束。イスラエルは周囲を完全に包囲されました。

 このため、イスラエルはアラブ諸国軍に対する戦闘準備を急ぎ、先制攻撃を計画。当初、米国はイスラエルの先制攻撃に反対し、問題の政治的解決を求めていましたが、最終的には、和平解決のための具体的行動をとる用意がないことをイスラエルに通告。これを受けて、1967年6月5日、イスラエルはアラブ諸国軍に対する先制攻撃を開始しました。

 いわゆる第三次中東戦争の勃発です。

 第三次中東戦争の勝敗は、開戦後まもなく、イスラエル空軍が、エジプト、ヨルダン、シリア、イラク各国の空軍基地を壊滅状態に追い込んだことによって、早々に決せられました。イスラエル軍は早くも6月7日には東エルサレムを占領し、同月10日にはゴラン高原のシリア軍が潰滅。この間、6月8日には国連安保理の勧告を受けて、エジプトが無条件停戦に応じ、シリアも10日には停戦に応じました。イスラエル側が、この戦争を誇らしげに「6日戦争」と呼ぶ所以であす。

 今回ご紹介のカバーは、停戦直後の6月14日、戦闘によって途絶していたテルアビブ=東エルサレム間の郵便がタクシーを使って再開された際の記念の第1便で、封筒の余白には、東エルサレム中心部への輸送ルートを示す地図(岩のドームの場所もしっかり記されている)とともに、イスラエル軍がヨルダン支配下にあった東エルサレムをわずか47時間で占領したことを誇示する文言が印刷されています。

 ちなみに、東エルサレムを占領したイスラエルがヨルダン郵政の郵便局を接収し、自前の郵便局を開設して、イスラエル郵政としてこの地で郵便サービスを開始したのは、7月5日のことでした。


 ★★★  絵葉書と切手でたどる世界遺産歴史散歩  ★★★

 2014年1月11日・18日・2月8日のそれぞれ13:00-15:00、文京学院大学生涯学習センター(東京都文京区)で、「絵葉書と切手でたどる世界遺産歴史散歩」と題する講座をやります。(1月18日は、切手の博物館で開催のミニペックスの解説)

 新たに富士山が登録されて注目を集めるユネスコの世界遺産。 いずれも一度は訪れたい魅力的な場所ばかりですが、実際に旅するのは容易ではありません。そこで、「小さな外交官」とも呼ばれる切手や絵葉書に取り上げられた風景や文化遺産の100年前、50年前の姿と、講師自身が撮影した最近の様子を見比べながら、ちょっと変わった歴史散歩を楽しんでみませんか? 講座を受けるだけで、世界旅行の気分を満喫できることをお約束します。

 詳細はこちら。皆様の御参加を、心よりお待ちしております。


 ★★★ 予算1日2000円のソウル歴史散歩 ★★★   

 毎月1回、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で予算1日2000円のソウル歴史散歩と題する一般向けの教養講座を担当しています。次回開催は1月7日(原則第1火曜日)で、以後、2月4日と3月4日に開催の予定です。時間は各回とも13:00~14:30です。講座は途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


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