内藤陽介 Yosuke NAITO
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 昆明
2014-03-02 Sun 21:40
 中国雲南省の省都・昆明市の昆明駅で、昨晩(1日夜)、刃物を持った集団が通行人らを襲撃する無差別殺傷事件が発生し、29人が死亡、130人以上が死亡しました。公安当局は容疑者4人を射殺し、1人を拘束。「新疆分裂勢力による計画的かつ組織的な重大暴力テロ事件」としています。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

       雲南加刷

 これは、1903年、昆明(=雲南府)のフランス郵便局で使用されるために発行された切手で、“YUNNANSEN”の地名と額面の“2大元”の文字が加刷されています。加刷の台切手として使われているのは、航海の神と商業の神を並べてデザインしたフランス植民地共通デザインの切手で、国名表示の部分はインドシナとなっています。

 1899年、広東省の雷州半島東側付け根にある湾の一帯(現在の広東省湛江市)を占領し、“広州湾”の租借に成功したフランスは、翌1900年、この地をハノイのインドシナ総督の管轄下に置き、フランス領インドシナ(現在のベトナム、ラオス、カンボジアにほぼ相当)の飛び地のような扱いとします。

 さらに、広州湾を租借して、華南への進出の足がかりを確保したフランスは、1900年以降、治外法権を援用するかたちで、インドシナ郵政総局の管轄下に、蒙自、雲南府(昆明)、海口、広州、北海、重慶の各地に郵便局を設置していきました。

 雲南府局の開局は1900年のことで、当初は、フランス領インドシナから距離的に近いこともあってインドシナの切手をそのまま使っていましたが、その後、1903年になって、今回ご紹介したような独自の加刷切手が発行されています。

 さて、今回の事件については、中国の公安当局は早々に“新疆分裂勢力”が犯人であると断定していますが、現時点では、容疑者の民族など具体的な情報は公表されていません。仮に、ウイグルの民族問題が絡んだ事件であったとすると、2009年7月にウルムチで発生した“ウイグル騒乱(当局発表で197人が死亡)”に次ぐ規模となりますが、新疆から遠く離れた一地方都市の昆明がなぜ、テロの標的になったのか、いまいち動機がよくわかりません。また、雲南省にはそれなりの数のウイグル人が住んでいますが、事件前の2日ほど、ウイグル人と思しき人物の姿が街中では見られなくなっていたという地元のタクシー運転手の証言もあり、謎は深まるばかりです。

 いずれにせよ、5日から北京で開催予定の全国人民代表大会は、これまでの北京市に代わり、今回から公安省が警備を主導することになっており、それに伴い、以前は北京や天津など周辺の6省市だった警戒範囲も、新疆ウイグル自治区や西部地域まで拡大されています。今回の事件をきっかけに、公安当局が厳戒態勢を中国全土に拡大する可能性も否定できないだけに、今後の推移が注目されるところです。


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