内藤陽介 Yosuke NAITO
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 イキケの英雄
2014-04-03 Thu 14:11
 きのう(2日。現地時間では1日)、南米チリの北部、イキケの北西100キロ、深さ20.1キロの地点でマグニチュード8.2の大地震が発生。さらに、きょう(3日。現地時間2日)もイキケの南19キロ、深さは約40キロの地点でマグニチュード7.6の余震が発生し、大きな被害が出ています。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、被災者の方には心よりお見舞い申し上げます。というわけで、きょうはイキケに関連する切手として、この1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

       チリ・イキケ海戦75年

 これは、1954年にチリで発行された“イキケ海戦75周年”の記念切手です。

 1879年4月5日、南米大陸・太平洋岸の資源地帯を巡って、チリがペルーとボリビアの同盟に対して宣戦布告。いわゆる“南米の太平洋戦争”が勃発します。

 開戦当初、チリは2隻の艦隊をバルパライソからペルー沖へ派遣し、当時はペルー領だったタラパカ州イキケの海上封鎖を行います。これに対して、5月21日、イキケの封鎖を破るために南下してきたペルー艦隊2隻が、イキケ湾口でチリ艦隊2隻と激突したのが、イキケの海戦です。

 両国海軍の軍艦4隻による激しい海戦は3時間以上続き、チリ側のコルベット艦“エスメラルダ(艦長:アルトゥーロ・プラット中佐)”とペルー側の砲塔装甲艦“ワスカル”(艦長:ミゲル・グラウ大佐)”の3時間以上にも及ぶ激戦の末、エスメラルダは撃沈され、乗員197名中135名が亡くなりました。戦闘の間、プラット艦長はみずからワスカルに乗り込んで白兵戦で戦おうとしたものの、砲声のために命令が伝わらず2名詞化後に続かなかったこともあって銃撃で倒され、壮絶な戦死を遂げました。なお、人的な被害としてはチリの方が多かったのですが、この戦闘により、ぺルー側は主力艦1隻を座礁で失っており、制海権はチリ側に有利となりました。

 さらに、艦長の壮絶な戦死はチリ国民の戦意を大いに高揚させる効果をもたらし、チリ国軍への入隊志願者は数千人増加。最終的に、チリが戦争に勝利し、イキケを含むタラパカ州を獲得するうえで、大きな原動力となりました。こうしたこともあって、現在なお、プラット艦長はチリ海軍最大の英雄とされており、今回ご紹介の切手にも肖像が取り上げられたというわけです。
 
 さて、日本同様、地震国として知られるチリでは、多数の犠牲者を出した過去の地震や津波を教訓に建築基準を徹底させ、沿岸地域の住民に対する津波の危険性の周知活動や避難訓練にも力を入れています。こうしたこともあって、今回の地震でも、建物などの被害は大きかったものの、現地時間の2日までに確認された死者は6名にとどまり、しかも、瓦礫などの下敷きになって亡くなったのは2名だけで、残る4名の直接の死因は心臓発作だったのは、不幸中の幸いといえましょう。また、住民の多くは平静を保っており、刑務所から脱走した293人の囚人のうち131人が自主的に戻っているなど、秩序も保たれているようです。

 こうしたニュースを聞くと、19世紀のイキケの英雄、プラット艦長に対して、21世紀のイキケの英雄はほかならぬイキケ市民ではないかとも思えますね。一日も早い復旧・復興をお祈りしております。
 

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