内藤陽介 Yosuke NAITO
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 緑の地球
2006-04-22 Sat 22:05
 今日(4月22日)はアースデイ。「地球に感謝し、美しい地球を守る意識を共有する日」だそうです。というわけで、“緑の地球”(とはいっても、アースデイの趣旨とは全く関係なくって、緑色で地球が印刷されているというだけのことなのですが…)を描く切手の中から、こんな1枚のご紹介です。

オタワ会議13セント

 画像(クリックで拡大されます)は、1932年7月12日、オタワ会議を記念してカナダで発行された3種セットの切手の1枚(13セント)で、イギリスを象徴する女神ブリタニアを中心に“英連邦”の部分を濃く塗った地球を描くことで“大英帝国”を表現するデザインとなっています。

 1929年の世界恐慌で打撃を受けたイギリスは、1931年に金本位制を停止し、本国・自治領・植民地といった“大英帝国”の結びつきを強化し、排他的な貿易ブロックを形成しようとしました。その具体的な話し合いのために、1932年7月21日から8月20日にかけて、カナダのオタワにイギリス本国と自治領・植民地の代表(カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、アイルランドの各自治領とインド、南ローデシアの植民地)が集まり、英連邦内の新たな経済政策が決められたのが、オタワ会議です。

 会議の結果結ばれたオタワ協定により、イギリスは、連邦以外の国の製品に対しては相対的に高い関税を賦課し、連邦諸国内の製品の関税は低くするという特恵制度が徹底され、世界経済のブロック化が急速に進展して行きます。この辺の話は、中学・高校の歴史の授業でさんざん聞かされた方も多いでしょう。

 ご存じの方も多いかもしれませんが、テーマティク・フィラテリスト(切手や郵便物でストーリーを組み立てた作品を作る人間)としての僕の原点は、“昭和の戦争”のコレクションです。(その概要については、新潮新書の拙著『切手と戦争』をご覧いただけると幸いです)

 “昭和の戦争”のコレクションでは、その序章にあたる部分では“世界恐慌”を避けては通れません。とはいえ、恐慌そのものに関するマテリアルというのは、なかなかコレといったものがないので、恐慌に対する各国の反応というかたちで恐慌を表現するしかないのですが、そのときに、オタワ会議の切手はそのものズバリの1枚として重宝しています。ただし、『切手と戦争』では、ページ数の関係から、世界恐慌そのものを割愛して、いきなり柳条湖事件から始めたので、この切手も出番がありませんでしたが…。

 学生時代、コレクションを作り始めた頃は、1ドルがまだ200円以上していたことに加え、懐具合も非常に寒かったので(現在が冬の旭川並みなら、当時は真冬のアラスカ並み、といったところでしょうか)、僕にとってのこの切手は決して安くはない切手でした。そのくせ、センターの良くない(目打と呼ばれるミシン目に対して、切手の印面が偏っている)切手が多くて、綺麗な状態のものを手に入れるのに苦労したのも、現在となっては懐かしい思い出です。

 *イベント告知
 4月29日(土)14:30から、東京・浅草の都立産業貿易センター6階で開催のスタンプショウ会場にて、最新作『一億総切手狂の時代:昭和元禄切手絵巻 1966-1971』の刊行を記念して、ミニ講演と即売サイン会をやります。スタンプショウは入場無料ですので、よろしかったら、ぜひ遊びに来てください。
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