内藤陽介 Yosuke NAITO
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 廣州駅前で無差別襲撃
2014-05-06 Tue 21:34
 中国南部の大都市・廣東省廣州市の廣州駅前で、きょう(6日)、刃物を持った4人組が通行人に切りつける事件が発生し、6人が負傷したそうです。というわけで、廣州関連のマテリアルの中から、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

       廣州解放・試刷

 これは、1949年11月4日、中国共産党(以下、中共)支配下の廣東郵政管理局が発行した“廣州解放”の記念切手の試刷シートで、異なる額面の切手(図案はすべて海珠橋ですが)5種類が1枚のシートに黒一色で印刷されています。

 1949年10月1日、毛沢東が北京で中華人民共和国の成立を宣言した時点では、共産党政権は中国大陸の大半を征圧していたものの、重慶や廣州には依然として国民党の勢力が残っており、人民解放軍第4野戦軍が廣州に進駐し、香港との境界にまで迫ってきたのは10月15日のことです。

 切手に取り上げられた海珠橋は廣州市内の珠江に掛かる橋で、今回の事件現場からはほぼ真南に5キロほどの場所にあります。現在の行政区域でいうと、越秀區の起義路と海珠區の江南大道北を結んでいます。開通は1929年ですが、人民解放軍の進駐前日の10月14日、国民党が廣州を撤退する際に爆破されました。現在の橋は1950年に再建された後、2012年
2月からの改修工事を経て昨年(2013年)9月1日に再開通したものです。当然のことながら、切手には1949年の爆破前の姿が取り上げられています。なお、切手の原画は廣州在住の画家・馬次航が作成し、香港の永発印刷所で印刷されました。

 当時、香港では中共は国境を越えて進駐してくるのではないかとの懸念が広がっていました。しかし、中共は、大陸での政治と香港でのビジネスを別の次元のものと割り切っており、香港が英領であり、自由港であるがゆえに、彼らの資金源になりうることを十分に理解していました。

 すなわち、1949年7月、中共は“向ソ一辺倒”を表明し、ソ連への忠誠を誓って1950年2月には中ソ友好同盟相互援助条約を調印しました。中共側の目論見では、条約によりソ連から多額の援助を引き出すことが期待されましたが、実際に彼らがソ連から得られたのは3億米ドルの借款でしかありませんでした。このため、中共としては、ソ連以外に自らがコントロールできる資金源として香港との貿易に期待を寄せており、そのためにも、香港をあえて英領にとどめておくことで、西側陣営に楔を打ち込み、東南アジアにおける政治工作の拠点として活用しようと考えたのです。

 なお、このあたりの事情については、拙著『香港歴史漫郵記』でも詳しくご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


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 5月15日13:00から、よみうりカルチャー北千住にて、よみうりカルチャーと台湾文化部の共催による“台湾文化を学ぶ講座”の一コマとして、「切手が語る台湾の歴史」という講演をやります。

 切手と郵便はその地域の実効支配者を示すシンボルでした。この点において、台湾は非常に興味深い対象です。それは、最初に近代郵便制度が導入された清末から現在に至るまで、台湾では一貫して、中国本土とは別の切手が用いられてきたからです。今回の講演では、こうした視点から、“中国”の外に置かれてきた台湾(史)の視点について、切手や郵便物を題材にお話しする予定です。

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