内藤陽介 Yosuke NAITO
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 サライェヴォ事件100年
2014-06-28 Sat 12:10
 1914年6月28日に第一次世界大戦の発端となったサライェヴォ事件が起こってから、きょうでちょうど100年です。というわけで、今日はこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      墺太利・サライェヴォ事件100年

 これは、ことし(2014年)5月14日にオーストリアが発行したサライェヴォ事件100周年の小型シートで、オーストリア=エステ大公のフランツ・フェルディナンドとゾフィー妃の暗殺場面を背景に、在りし日の夫妻の肖像が取り上げられています。

 フェルディナンド大公は、ハプスブルク皇帝フランツ・ヨーゼフの甥で、当初は、帝国の皇位継承とは無関係とみられていましたが、皇太子のルドルフ1世が1889年に亡くなったため、皇位継承者として急浮上します。

 大公にはボヘミアの伯爵家出身でテシェン公家の女官であったゾフィー・ホテクという恋人がいましたが、皇室は、チェコ人の女官のような身分の低い女性と結婚するのに反対し、大公と激しく対立します。結局、ゾフィーが皇族としての特権をすべて放棄し、将来生まれる子供には皇位を継がせないことを条件に2人の結婚は承諾されるのですが、結婚後もゾフィーに対する冷遇は続き、劇場などでも大公との同席は許されませんでした。

 一方、当時のハプスブルク帝国においては、ボスニア・ヘルツェゴヴィナの情勢不安が深刻な問題となっていました。

 オスマン帝国の支配下に置かれていたボスニア・ヘルツェゴヴィナは、1878年のベルリン会議でオーストリアに占領されることになり、1908年からは正式にオーストリア=ハンガリー二重帝国領に編入されました。これに伴い、1879年以降、この地域ではハプスブルク家の紋章を取り上げた切手が使用されています。

 これに対して、セルビア人をはじめとするこの地域のスラブ系住民は、ハプスブルク家の支配に反発し、セルビアや他の南スラヴ諸国への統合を望んでおり、社会的に不安定な状況が続いていました。

 こうした中で、1914年、ハプスブルク帝国は大公夫妻にボスニア・ヘルツェゴヴィナの中心都市であったサライェヴォを訪問させ、セルビア人に対する宥和姿勢を演出しようとしました。その日程は、大公夫妻の結婚記念日にあたる6月28日に設定されましたが、この日はセルビアにとって重要な祝日である聖ヴィトゥスの日であるとともに、1389年にセルビアがオスマン帝国に敗北を喫したコソボの戦いの日でもありました。このため、ハプスブルクの支配を嫌うセルビア民族主義者は、“侵略者の手先”である大公のサライェヴォ訪問に憤激。この機会をとらえて、秘密組織黒手組のガブリロ・プリンチプ(小型シートの余白・左下の人物です)が夫妻を暗殺したというわけです。

 さて、7月18日・8月29日・9月19日の3回、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、第一次大戦100年の企画として、「切手を通して学ぶ世界史」と題する講座を行います。講座では、今回取り上げたサライェヴォ事件のみならず、ハプスブルク帝国・ロシアのロマノフ朝・ドイツ帝国の欧州三大帝国の崩壊についても、当時の切手や郵便物等を使ってわかりやすく解説いたします。名古屋エリアの方は、ぜひ、遊びに来ていただけると幸いです。 


 ★★ 講座「切手を通して学ぶ世界史:第一次世界大戦から100年 」のご案内 ★★ 

       中日・講座チラシ    中日・講座記事

 7月18日・8月29日・9月19日の3回、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、第一次大戦100年の企画として、「切手を通して学ぶ世界史」と題する講座を行います。

 講座では、ヨーロッパ、中東、日本とアジアの3つの地域に分けて、切手や絵葉書という具体的なモノの手触りを感じながら、フツーとはちょっと違った視点で第一次世界大戦の歴史とその現代における意味を読み解きます。

 詳細は、こちらをご覧ください。

 * 左の画像は講座のポスター、右は講座の内容を紹介した5月20日付『中日新聞』夕刊の記事です。どちらもクリックで拡大されますので、よろしかったらご覧ください。
 

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