内藤陽介 Yosuke NAITO
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 おかげさまで140万PV
2014-08-09 Sat 06:30
 おかげさまで、昨晩、カウンターが140万PVを超えました。いつも、閲覧していただいている皆様には、この場をお借りして、改めてお礼申し上げます。というわけで、額面“140”の切手といえば、やはりこれでしょうか。(画像はクリックで拡大されます)

        翁140円

 これは、1976年6月25日に発行された額面140円の普通切手で、観世家所蔵の能面(翁)が取り上げられています。当時の料金体系では、この額面は、定形外郵便物の50-100グラム、航空郵便の第3地帯宛料金等に相当していました。

 儀式などに際して面をつけて舞ったり、演じたりするのは人類において普遍的に見られる現象ですが、我が国において、老人男性をかたどった“翁”の面がいつごろからつくられるようになったのかは定かではありません。

 記録によると、欽明天皇(在位539-71)の時代、疫病や飢饉が発生した時、66番の物まねを66の面を作って舞ったところ、天下が治まったという伝承があります。このことから、神楽の“しめすへん”を取り申楽が生まれたといわれますが、村上天皇(在位946-67)の時代には、66番の舞をすべて奉納するのは長すぎるので、稲経の翁=翁、代経の翁=三番叟、父の助=父の尉を抜粋して、“式三番”としたとされており、翁の面をつけて舞う曲が初期のころからつくられていたことがうかがえます。

 また、後の能楽の遠いルーツともいうべき伎楽には、不老不死の桑葉を求めてさまよう老人が次第に老いてゆく姿をあらわした「採桑老」という曲があり、ここでも翁の面が用いられていることから、これが、翁の面のルーツとなったとする見解もあります。

 ちなみに、世阿弥の『申楽談儀』には、翁の面と申楽にまつわる故事として、次のような記述があります。

  近江は敏満寺の座、久しき座なり。山科は、山科といふ所の悴侍なりしが、敏満寺が女と嫁して、申楽に志して、山科の明神、春日にておはすか、こもりて進退を祈る。烏、社檀の上より物を落す。見れば翁面にてまします。この上はとて、申楽になる。嫡子をば山科に置き、おととをば下坂(しもさか)に置き、三男をば日吉に置く。それより三座の流れとなる。しかれども山科、総領なれば、日吉の神事、今に正月朔日より七日に至るまで、山科独(ひとり)して翁をす。かの面なり。この能は、昔の山科、夫婦連れて大晦日にこもりし時、三歳になる子頓死しければ、末代まで子々孫々におきて、正月朔、申楽を勤むべきと祈念しければ、蘇生せし、その願なり。

 このような歴史的な経緯もあって、能楽の演目としての「翁」には、能が成立する以前の申楽の形式が色濃く残っています。すなわち、他の演目のような物語性はなく、天下泰平・五穀豊穣・国土安穏を祈る神事としての色彩が強いことから、「能にして能にあらず」とも評されています。

 また、「翁」で用いられる面も他の能面とは構造が大きく異なっています。具体的には、①一般的な能面が面全体がつながった状態であるのに対して、翁の面は、下顎が切れていて、上下を紐で結ぶ“切り顎”と呼ばれる構造になっている、②一般的な能面が描き眉であるのに対して、翁の面は白い毛が植えられている、③一般的な能面では目の部分は眼球の中央部に穴があいているのみだが、翁の面は眼の全体がくりぬかれている、といった特徴があり、今回ご紹介の切手に取り上げられた面には、そうした特徴が明瞭に観察されます。

        
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