2014-10-08 Wed 10:24
スウェーデン王立科学アカデミーは、きのう(7日)、ことしのノーベル物理学賞を名城大の赤崎勇終身教授、名古屋大の天野浩教授、米カリフォルニア大サンタバーバラ校の中村修二教授(米国籍)の3氏に贈ると発表しました。受賞の理由は、赤崎・天野両氏が長年不可能だった青色発光ダイオード(LED)の開発に成功したこと、中村氏がその量産技術を開発し、世界で初めて製品化したことです。というわけで、今日はこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
![]() これは、1999年にドイツで発行されたフラウンホーファー研究機構50年の記念切手で、各色のLEDが描かれています。一番左が、今回、日本人3人の受賞理由となった青色LEDです。 LEDは電気をかけると発光する半導体の結晶で、1962年、米ゼネラル・エレクトリック社の研究員だったニック・ホロニアックが発明しました。従来の白熱電球がフィラメントを加熱し熱から光に変えるのに対して、LEDは電気を直接光に変えるためエネルギーの効率が格段に高いのが特長です。 光の三原色のうち、青を除くLEDは1960年代に実現しましたが、青色は材料となる窒化ガリウムの半導体結晶を作るのが困難で、多くの研究者が開発を断念していました。こうしたなかで、赤崎・天野両氏が結晶を作ることに成功し、1989年に世界で初めて発光させました。この成果を踏まえ、中村氏は日亜化学工業の技術者として窒化ガリウムの結晶をサファイアの基板に均一に薄く成長させる技術を編み出し、青色LEDを実用化しました。 3氏の業績により、LEDに三原色がそろったことで、白色の照明や大型ディスプレーなどが実現。LEDの普及により大幅な省エネが実現したほか、青色LEDなどを利用した殺菌技術や、青色LEDを発展させた青色半導体レーザーの開発により大量の情報が記録できる次世代光ディスク「ブルーレイ」の読み取りが可能になるなど、その恩恵は多岐にわたっています。 今回ご紹介の切手の題材となったフラウンホーファー研究機構は、ドイツ・ミュンヘンに本部を置き、ドイツ全土に56の研究所を持つ研究機関です。切手にLEDが取り上げられたのは、同機構のハインリッヒ・ヘルツ研究所(HHI)によるLED電球を使った可視光データ通信の開発が高い評価を受けていることによるのではないかと思われます。 ★★★ インターネット放送出演のご案内 ★★★ ![]() インターネット放送・チャンネルくららにて、10月第2週より、内藤がレギュラー出演する新番組「切手で辿る韓国現代史」が毎週水曜日に配信となります。とりあえず、10月4・5日は、その前宣伝として内藤のインタビューが配信となりました。前篇・後篇、それぞれ、青字をクリックしていただけるとYoutube にて無料でご覧になれますので、よろしかったら、ぜひ、ご覧ください。(画像は収録風景で、右側に座っているのが主宰者の倉山満さんです) ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★ 10月から、毎月1回(原則第1火曜日:10月7日、11月4日、1月6日、2月3日、3月3日、3月31日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。(詳細はそれぞれ講座名をクリックしてください) ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。 初回開催は10月7日で、講座は途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 『朝鮮戦争』好評発売中! ★★★ お待たせしました。約1年ぶりの新作です! ![]() 【出版元より】 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る! 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各電子書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 *8月24日付『讀賣新聞』、韓国メディア『週刊京郷』8月26日号、8月31日付『夕刊フジ』、『郵趣』10月号、『サンデー毎日』10月5日号で拙著『朝鮮戦争』が紹介されました! ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 スポンサーサイト
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