内藤陽介 Yosuke NAITO
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 日本国宝展スタート
2014-10-16 Thu 12:12
 国宝約120件を公開する“日本国宝展”が、きのう(15日)から、東京・上野公園の東京国立博物館で始まりました。同館での国宝展開催は14年ぶり4度目のことで、会期は12月7日までだそうです。というわけで、きょうは国宝ネタの中からこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      韓国・広隆寺弥勒菩薩

 これは、1995年、韓国で発行された“韓日国交正常化30周年”の記念切手で、日本の広隆寺・弥勒菩薩半跏思惟像が取り上げられています。

 いわゆる“国宝第1号”として知られる広隆寺・弥勒菩薩は広隆寺にある仏像の中でも最も古いもので、霊宝殿の中央に安置されています。同じく広隆寺にあるもう一体別の弥勒菩薩像と区別して“宝冠弥勒”と呼ばれることもあります。

  『日本書紀』には、603年、聖徳太子が「私のところに尊い仏像があるが、誰かこれを拝みたてまつる者はいるか」と諸臣に問うたところ、渡来人系の豪族・秦河勝が仏像を譲り受け“蜂岡寺”を建てたという趣旨の記述がありますが、この蜂岡寺が広隆寺の前身(ただし、寺の所在地が現在地の京都府太秦に移ったのは平安遷都前後のことと考えられています)で、この話に登場する仏像が切手に取り上げられた弥勒菩薩像といわれています。

 なお、本像は、1951年6月9日に国宝の指定を受けましたが、この時同時に国宝の指定を受けた物件は他にもいくつかあります。その際、本像に対して、文部大臣から交付された指定書の番号が“彫刻第1号”になっていることから、広隆寺側は本像を“国宝第1号”として大々的に宣伝し、それが世間でも定着することになったわけで、かならずしも国宝第1号イコール“最初の国宝(として唯一の存在)”というわけではありません。
 
 さて、今回ご紹介の切手に取り上げられた弥勒菩薩像は、韓国の国宝第83号とくらべて、①宝冠が無紋で王冠形、②右膝を大きく誇張し、裳が二重に巻かれている、③左脛に衣紋が無い、などの類似点があります。このため、韓国の第83号が広隆寺の像のルーツだと主張する韓国人も多く、今回ご紹介の切手も、そうした考え方に基づいて、古代における日本と朝鮮半島の交流を示す事例として、題材が選ばれています。
 
 もちろん、古代日本の仏教文化において朝鮮半島が重要な役割を果たしていたことは事実でしょうが、弥勒菩薩像に関する限り、韓国の国宝第83号の制作年代は特定できておらず、広隆寺の像が第83号そのものを模倣して作られたと断定するのは無理があります。また、第83号が金銅像であるのに対して、広隆寺の像は7世紀の作とされる木造で、さらに、韓国には818年以前の木造仏は残されていなわけで、両者を結びつけて考えるのは、実は無理があるのだということは留意しておいてもよさそうです。


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      チャンネルくらら写真

 インターネット放送・チャンネルくららにて、10月8日より、内藤がレギュラー出演する新番組「切手で辿る韓国現代史」が毎週水曜日に配信となります。青字をクリックし、番組を選択していただくとYoutube にて無料でご覧になれますので、よろしかったら、ぜひ、ご覧ください。(画像は収録風景で、右側に座っているのが主宰者の倉山満さんです)
 
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 10月から、毎月1回(原則第1火曜日:10月7日、11月4日、1月6日、2月3日、3月3日、3月31日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。(詳細はそれぞれ講座名をクリックしてください)

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 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

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 *8月24日付『讀賣新聞』、韓国メディア『週刊京郷』8月26日号、8月31日付『夕刊フジ』、『郵趣』10月号、『サンデー毎日』10月5日号で拙著『朝鮮戦争』が紹介されました!


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