内藤陽介 Yosuke NAITO
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World Wide Weblog
 世界の国々:タンザニア
2014-10-22 Wed 12:04
 アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2014年10月22日号が、先週、刊行されました。僕が担当しているメイン特集「世界の国々」のコーナーでは、今回はタンザニアを取り上げました。その記事の中から、こんなモノをご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      タンガニーカ・ザンジバル連合共和国

 これは、1964年、現在のタンザニアの直接の前身であるタンガニーカ・ザンジバル連合共和国の切手で、同国の地域概念を示す地図が描かれています。

 現在のタンザニア国家の大陸部分にあたるタンガニーカの地域は、第一次大戦までは、現在のブルンジ、ルワンダとともに、ドイツ領東アフリカとしてドイツの支配下に置かれていました。第一次大戦でドイツが敗れると、旧ドイツ領東アフリカは解体され、英委任統治領タンガニーカとベルギー委任統治領のルワンダ=ウルンディに分割されます。

 1927年、英国は東アフリカのウガンダ、ケニア、タンガニーカ、ザンジバルの4地域を包括する関税同盟を結成し、同盟の域内では共通通貨として東アフリカ・シリングの使用が開始されました。これに伴い、ザンジバルを除く大陸の3地域では郵便組織も共通となり、ケニヤ・ウガンダ・タンガニーカ表示の切手がこれら3地域で使用されています。
 
 第二次世界大戦が勃発するとタンガニーカからも多くの兵士が英連邦軍に参加して出征したことから、タンガニーカでも民族意識が高揚。タンガニーカ・アフリカ人民族同盟による独立運動が展開され、1961年12月9日、独立国家としてのタンガニーカが誕生し、ジュリウス・ニエレレが初代首相(1962年以降大統領)に就任しました。

 一方、ザンジバルは、もともとアラビア半島・オマーンの支配下にあった土地がイギリスの保護領になったという経緯があり、保護領時代もアラブ系スルタン(地方君主)の支配が継続。1963年の独立後もスルターンの地位は維持されたため、人口の多数派を占めるアフリカ系は不満を持っていました。また、独立後の総選挙では、選挙区の区割りの関係から、最大得票数を得たアフリカ系主体のアフロ・シラジ党(ASP)の議席数より、国民党(ZNP。アラブ主体)=ザンジバル・ペンバ人民党(ZPPP。親アラブのシラジ人主体)連合の議席数が上回るという結果になり、このこともアフリカ系の不満を増大させる要因となっていました。

 こうした背景の下、1964年1月12日、これに不満を持つASP青年団のジョン・オケロは“自由の戦士”と称する若者300人を集めて暴動を起こしました。

 “自由の戦士”は直ちに首都の警察署と憲兵隊を制圧。スルターンは亡命を余儀なくされ、島内では5万人ものと言われたアラブ系ないしはアジア系住民のうち1万2000人が犠牲となりました。いわゆるザンジバル革命です。

 革命が起きた当時、対岸のタンガニーカにいたASPの指導部は、“自由の戦士”の暴走に驚愕。ASP議長のカルメはザンジバルに戻ってザンジバル人民共和国の成立を宣言し大統領に就任しましたが、混乱を収束させられませんでした。

 このため、カルメは、1964年4月、オケロを追放し、治安回復のためタンガニーカに警官隊投入を要請。4月26日、タンガニーカ・ザンジバル連合共和国を成立させ、ザンジバル国家そのものを消滅させることで事態を収拾するという荒業に打って出ました。今回ご紹介の切手は、こうした事情の下で発行されたものです。

 その後、新国家は、タンガニーカとザンジバル、それにアフリカ南部で栄えたアザニア文化の名前をあわせて“タンザニア連合共和国”と命名され、旧タンガニーカと旧ザンジバルは完全に対等の連合関係ということで、ザンジバルには大幅な自治権を与えらる体制となっています。

  さて、今回の『世界の切手コレクション』の「世界の国々」では、旧タンガニーカの時代から現在のタンザニア国家ができあがっていくまでの歴史的な経緯だけでなく、キリマンジャロ山の切手や現地の伝統的な木彫の切手などもご紹介しております。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧いただけると幸いです。

 なお、本日発売の10月29日号では、「世界の国々」はラオスにフォーカスを当てておりますが、こちらについては、来週水曜日に、このブログでもご紹介する予定です。


 ★★★ トークイベントのご案内 ★★★

 ・11月1日(土) 14:30- 全国切手展<JAPEX>
 東京・浜松町で開催される全国切手展<JAPEX>会場内で、拙著『朝鮮戦争』のトークイベントを予定しております。よろしかったら、ぜひ遊びに来てください。なお、詳細は主催者HPをご覧いただけると幸いです。


 ★★★ インターネット放送出演のご案内 ★★★

      チャンネルくらら写真

 インターネット放送・チャンネルくららにて、10月8日より、内藤がレギュラー出演する新番組「切手で辿る韓国現代史」が毎週水曜日に配信となります。青字をクリックし、番組を選択していただくとYoutube にて無料でご覧になれますので、よろしかったら、ぜひ、ご覧ください。(画像は収録風景で、右側に座っているのが主宰者の倉山満さんです)

 
 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 10月から、毎月1回(原則第1火曜日:10月7日、11月4日、1月6日、2月3日、3月3日、3月31日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。(詳細はそれぞれ講座名をクリックしてください)

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 *8月24日付『讀賣新聞』、韓国メディア『週刊京郷』8月26日号、8月31日付『夕刊フジ』、『郵趣』10月号、『サンデー毎日』10月5日号で拙著『朝鮮戦争』が紹介されました!


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