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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 オランダ宛の捕虜郵便
2014-10-30 Thu 14:39
 国賓として来日中のオランダ国王夫妻を迎えての宮中晩餐会が、きのう(29日)、皇居・宮殿で行われ、アレキサンダー国王は、先の大戦中、日本軍に抑留されたオランダ人捕虜の問題を「忘れることはできない」としたうえで、「両国が和解に向け全力を尽くし、新しい信頼関係が生まれました」と述べられました。というわけで、今日はこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      泰俘虜葉書・タイプ1A    泰俘虜葉書・タイプ1A(オランダ宛・裏面)

 これは、先の大戦中、泰俘虜収容所で使用されたタイプ1と呼ばれる葉書の使用例で、キンサイヨークの第6分所に抑留されていたオランダ軍の大尉がからハーグ宛に差し出し、その後、ヴィッテ・ラフに転送されたものです。

 第2次大戦中の1943年、日本軍は泰緬鉄道の建設にオランダを含む連合国の捕虜を動員するため、“泰俘虜収容所”を設け、タイとビルマにまたがって収容所を設置しました。“泰俘虜収容所”は、鉄道の建設工事が終了した後も存続し、さまざまなタイプの葉書が作られ、捕虜たちに支給されました。

 今回ご紹介しているタイプ1の葉書は、表面(宛名面)はクリーム色、裏面(通信面)は灰色の厚手の用紙に印刷されており、表面には、「郵便はがき」、「俘虜郵便」、「泰俘虜収容所」の表示と検閲担当者の印を押す欄がオレンジ色で印刷され、差出人の氏名、国籍、階級、収容所名と宛名欄は黒で印刷されています。一方、裏面には、大日本帝国陸軍(IMPERIAL JAPANESE ARMY)の表示の下、以下のような文面があらかじめ印刷されています。

 私は(収容所名)に収容されています。
 健康状態は大変良好です。
 病気で入院しています。
 賃金をもらって働いています。
 働いていません。
 (    )によろしくお伝えください。

 葉書を差し出す捕虜は、2行目と3行目、4行目と5行目に関してはどちらかを選択するようになっていますが、僕が調査した限りでは、「病を得て病院にいます」ならびに「働いていません」を選択した事例は見たことががありません。

 今回ご紹介の葉書については、差出の日時は不明ですが、赤十字経由で欧州に送られ、ベルリンで当時オランダを占領していたドイツ当局の検閲を受けてから(そのことを示すAbの印が押されています)、宛先へ届けられました。裏面には1943年12月17日受取との書き込みもあります。

 なお、キンサイヨークに泰俘虜収容所第6分所が開設されたのは1943年1月21日のことで、当時、泰緬地域から差し出された捕虜郵便が欧州に到着するまでは1年近くかかることも珍しくなかったことを考えると、収容所の開設後まもない時期に差し出されたものではないかと思われます。

 ちなみに、泰緬鉄道については、拙著『タイ三都周郵記』でも1章を設けてご紹介しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


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