内藤陽介 Yosuke NAITO
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 来年、朝露共同で祝賀行事
2014-11-25 Tue 23:28
 北朝鮮の朝鮮中央通信は、きょう(25日)、金正恩第1書記の特使として崔竜海労働党書記が今月17-24日にロシアを訪問したことについて報じ、ラブロフ外相との間で、来年(2015年)の“解放70周年”に、両国共同で祝賀行事を行うことで合意したと明らかにしました。というわけで、今日はこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      北朝鮮・解放5周年カバー

 これは、1950年8月30日に平壌の市内便で、6月20日に北朝鮮で発行された“815解放5周年”の記念切手のうち、朝ソ両国の国旗と解放塔を描く1ウォン切手が貼られています。

 ナチス・ドイツとの血みどろの戦争を体験したソ連は、第二次大戦後、周辺を藩屏となる衛星国や友好国で固めることで自国の防衛を図るという世界戦略を立てていましたが、極東戦略に関しては、朝鮮半島(の少なくとも北半部)を勢力圏内に組み込むことによって、自国の安全保障度を高めるとともに、ヤルタ協定で承認された満州の権益を安泰なものとすることを基本としていました。このため、ソ連は、1945年8月6日、米国が広島に投下した原爆第一号の威力によって戦局の帰趨を見極めるや、早くも8日には日本に対して宣戦を布告し、満州への進撃を開始します。

 そして、8月10日、朝鮮北端の都市・雄基に突入したのを皮切りに、同月15日の日本側の無条件降伏発表後も南侵を続け、同21日には元山を占領。さらに26日にはチスチャコフ大将指揮下の第25軍が平壌に入城し、ソ連軍民政部を設置して事実上の軍政を実施しました。

 同年9月2日、日本が降伏文書に調印すると、連合国軍最高司令官のマッカーサーは、一般命令第一号を発して、朝鮮半島に関しては、北緯38度線以北はソ連極東軍司令官が、同以南は合衆国太平洋陸軍部隊最高司令官が、それぞれ、駐留日本軍の降伏を受理するものとされます。これをうけ、ソ連占領軍は、大戦中、ソ連極東方面軍で訓練を積んでいた金日成らを帰国させ、北朝鮮における衛星国の建設に着手しました。

 さて、今回ご紹介のカバーに貼られている切手に朝ソ両国の国旗と解放塔が描かれているのは、まさに、こうした事情を反映したものです。

 解放塔は、ソ連赤軍による“北朝鮮解放”を記念して平壌・牡丹峰の麓に建設された塔で、頂点の星が造形上の特徴となっています。ソ連の衛星国として出発した北朝鮮としては、朝鮮の解放と北朝鮮国家の建国は、ソ連のおかげであるというのが当時の公式見解であり、「(ソ連によってではなく)原爆が落ちて日本は戦争に負けた」との趣旨の発言をした人物が処罰されることさえありました。解放塔は、そうしたソ連の“恩恵”を可視化するものとして、この切手を皮切りに、しばしば、北朝鮮の切手に取り上げられています。

 さて、今回の朝鮮中央通信が報じているように、来年、朝露両国による“解放70周年”の共同祝賀行事が行われるとして、現在の北朝鮮国家では、朝鮮の解放は“ソ連のおかげ”ではなく、金日成の抗日闘争の成果であるというのが絶対譲れないイデオロギーになっていますからねぇ。当然、ロシア側としては、共同祝賀行事をやるのであれば、“朝鮮解放”は自分たちの実績であると強調したいわけで、そのあたり、どのように折り合いをつけるつもりなのか、『朝鮮戦争』の著者としては、ちょっと気になるところです。


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