内藤陽介 Yosuke NAITO
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 “和平占中”の終了を悼む
2014-12-12 Fri 22:44
 次期行政長官の選挙制度をめぐる大規模デモ“和平占中”が2ヶ月ほど続いていた香港ですが、きのう(11日)、アドミラリティ(金鐘)にあったデモ隊の最大拠点の強制排除が行われ、249人が逮捕されました。逮捕者の大半はきょう(12日)早朝までに釈放されましたが、デモを主導した学生2団体は再占拠を呼びかけない方針を示しており、和平占中は事実上終了しました。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      香港・立法局大楼(田型)
 
 これは、1987年、英領時代の香港で発行された20ドルの普通切手で、エリザベス女王の肖像の下に立法局大楼が描かれています。単片でも良かったのですが、たまたま手元にカラーマークつきのコーナーブロックがありましたので、そちらを持ってきました。

 立法局大樓は日本の議事堂に相当する建物ですが、切手に描かれている建物は、もともとは最高法院(日本の最高裁判所に相当)大楼として用いられていました。

 英領香港の立法局が最高法院の建設を決議したのは、ヴィクトリア朝時代の1898年2月28日のことで、当時の英国を代表する建築家、アストン・ウェブとイングレス・ベルが設計を担当しました。建設工事が始められたのは1900年のことで、以来12年の歳月をかけて、1912年1月15日、香港上海銀行本店の正面に、花崗岩2階建て、新古典様式の堂々たる建築が造られました。

 建物の1階は回廊が取り囲んでおり、柱と柱の間は小さなアーチが埋められています。一方、2階にはバルコニーがあり、建物の中央にはドームがついているのが最大の特徴です。屋根には、公正な裁判を象徴するものとして、目隠しをして、右手に権力の象徴である剣、左手に公正の象徴である天秤を持つ正義の女神、テーミスの像が鎮座していますが、これは、ロンドンの中央刑事裁判所、オールドベイリーの屋根にある像のレプリカです。また、ドームの頂にはブロンズ製の王冠がつけられていますが、これは、エドワード7世が1902年の戴冠式で使用したものを模しています。

 さて、この建物は、1985年までは最高法院として用いられていましたが、同年9月、英国が返還後の香港への置き土産として香港の立法評議会に間接選挙を導入したことにより、立法局(返還後は立法會)として用いられるようになりました。

 ちなみに、英領時代末期の1992年10月、最後の香港総督となったクリストファー・パッテンは立法評議会の選挙方式について、全議席を実質的に直接選挙とする民主化案を提示して中共と激しく対立。パッテンは中国の圧力に屈せず、1994年6月末の立法評議会で民主化案を原案通り可決させました。これを受けて、1995年9月、英領香港最後の立法評議会選挙が行なわれ、民主派が圧勝しましたが、その直後、中国は1997年7月1日の時点で選挙の結果はすべて無効とし、新たに選挙をやり直して“臨時立法会”を組織することを宣言。1995年の選挙で選ばれた立法評議会議員が、そのまま、香港特別行政区立法会議員になるという基本法の規定を破棄してしています。

 ちなみに、現在の香港の立法會は、2011年に新築された添馬艦発展工程の新たな建物を議事堂として用いていられるようになっており、切手に取り上げられている建物は、2015年以降、ふたたび終審法院として活用すべく、改修が進められています。

 なお、英領時代の香港の歴史的建造物については、拙著『香港歴史漫郵記』でもいろいろとご紹介しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。 


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