内藤陽介 Yosuke NAITO
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
World Wide Weblog
 スマトラ島沖地震から10年
2014-12-26 Fri 11:18
 2014年12月26日のスマトラ島沖地震から、きょうでちょうど10年になります。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      スマトラ沖地震追悼

 これは、2005年にインドネシアで発行されたスマトラ島沖地震の犠牲者を悼む寄附金つき切手(左側は切手ではなく、タブ)です。

  いわゆるスマトラ沖地震は、2004年12月26日午前7時58分(インドネシア西部時間)、スマトラ島北西沖のインド洋で発生したマグニチュード9.1の地震です。マグニチュード9.1というのは、1900年以降では、チリ地震に次いで2番目に大きい規模で、東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震の約1.4倍に相当するエネルギーだといえば、そのすさまじさもお分かりいただけるかと思います。

 特に、震源地に近かったスマトラ島北部アチェ州の被害は甚大で、都市としてのバンダ・アチェはほぼ壊滅。現在までに確認されている数字で、死者は13万1029人、負傷者は最大で10万人、行方不明者は3万7603人とされています。

 さて、アチェでは、1976年12月4日、ハッサン・ディ・ティロが自由アチェ運動(GAM:Gerakan Ache Merdeka、英語名はASNLF :Acheh-Sumatera National Liberation Front)を結成し、アチェ・スマトラ国の独立を宣言。以後、ジャカルタの中央政府からの独立を主張してスハルト政権に対するゲリラ戦が展開されていました。

 1998年5月、スハルトが退陣に置きこまれると、後継のハビビ政権はアチェに対する宥和政策を取り、スハルト時代の人権弾圧を謝罪。民主化や地方分権化へのプロセスの中で、アチェ州特別自治法の制定作業が進められたこともあって、武力闘争は一時小康状態になりましたが、年末以降再び国軍が投入され衝突が激化。1999年、GAMは再びアチェの独立を宣言しています。

 さらに、2001年7月に大統領ワヒドの罷免を受けて、メガワティが副大統領から大統領に昇格すると、翌8月、新政権はアチェ州特別自治法を制定。2002年の同法施行により、アチェ特別州は“ナングロ・アチェ・ダルサラーム”州と改称されてその特別な地位が認められ、ジャカルタ政府とGAMの和平協定が成立しましたが、早くも2003年には和平は破綻。同年8月、メガワティはアチェ州に対する軍事非常事態宣言を布告し、国軍によるGAM 掃討を目的とする大規模な軍事作戦を発動しています。

 その後、軍事非常事態宣言は2004年5月に解除され、民間非常事態に移行されたものの、国軍とGAM との武力抗争は続いていましたが、2004年12月のスマトラ沖地震に伴う大津波でアチェが壊滅的な被害を受けたことで、状況が一変。アチェだけで16万人もの死者・行方不明者を出すという惨憺たる状況の下では、独立よりも、まずは生活を再建することがアチェの人々にとっての優先課題となり、2005年8月、フィンランド大統領のマルッティ・アハティサーリの仲介により、インドネシア政府とGAMの和平協定が成立しました。

 なお、スマトラ沖地震が発生すると、日本政府は即日、国際緊急援助隊の医療チームの派遣を決定。12月28日にはインド洋に派遣されていた海上自衛隊の護衛艦「きりしま」など3隻をタイ近海に派遣し、捜索・救助および遺体の収容に当たらせています。

 年が明けて2005年元日、当時の小泉純一郎首相は、「5億ドルの無償供与、津波早期警戒メカニズムを構築するための協力、自衛隊の追加派遣を検討」など最大限の支援を行うとの談話を発表。1月4日には海上自衛隊の輸送艦「くにさき」・護衛艦「くらま」・補給艦「ときわ」の3隻に加え、航空自衛隊の輸送機2機、陸上自衛隊第7師団など計800-900人のアチェ派遣が決まり、先遣隊が現地に向かいました。

 こうした迅速な対応に加え、その後もJICAや民間ボランティアが現地の救援と復興支援に尽力したことで、アチェの人々の間では日本と日本人に対する評判がすこぶる良いものとなっています。

 このあたりの事情については、拙著『蘭印戦跡紀行』でもご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


 ★★★ インターネット放送出演のご案内 ★★★

      チャンネルくらら写真

 毎週水曜日、インターネット放送・チャンネルくららにて、内藤がレギュラー出演する番組「切手で辿る韓国現代史」が配信されています。青字をクリックし、番組を選択していただくとYoutube にて無料でご覧になれますので、よろしかったら、ぜひ、ご覧ください。(画像は収録風景で、右側に座っているのが主宰者の倉山満さんです)

 
 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 毎月1回(原則第1火曜日:1月6日、2月3日、3月3日、3月31日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 次回開催は1月6日で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『朝鮮戦争』好評発売中! ★★★ 

        朝鮮戦争表紙(実物からスキャン) 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各電子書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

 *8月24日付『讀賣新聞』、韓国メディア『週刊京郷』8月26日号、8月31日付『夕刊フジ』、『郵趣』10月号、『サンデー毎日』10月5日号で拙著『朝鮮戦争』が紹介されました!


 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★

 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。
スポンサーサイト

別窓 | インドネシア | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
<< 泰国郵便学(34) | 郵便学者・内藤陽介のブログ |  Merry Christmas!>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
copyright © 2006 郵便学者・内藤陽介のブログ all rights reserved. template by [ALT-DESIGN@clip].
/