内藤陽介 Yosuke NAITO
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 すべてのフランス人に告ぐ
2015-01-10 Sat 22:50
 フランスのオランド大統領は、きのう(9日)のテレビ演説で、7日の銃撃事件をはじめ一連のテロ事件等に屈しない姿勢を示すため、パリで11日に大規模な行進を行うことを明らかにし、“すべてのフランス人”に対して、フランスは決してこれらの脅威に屈しないとの意思を示すため、日曜日(11日)朝に反テロリズムの大規模なデモを行うので、ぜひ参加してほしいと訴えました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ドゴール・すべてのフランス人に

 これは、1964年、フランスが解放20周年に際して発行した記念切手のうち、ドゴールの有名な演説「すべてのフランス人に」の文章を大きく印刷した切手です。今回のオランドの演説でも“tous les Français(すべてのフランス人)”という、ドゴール“ À tous les Français (冒頭のÀは~に、~への意味の前置詞)”を思わせる表現が使われており、彼が、ドゴールの歴史的な演説を意識していることは明らかだろうと思います。

 さて、切手に取り上げられたドゴールの演説は、第二次大戦中の1940年6月18日、ドイツの侵攻を逃れてロンドンに亡命したドゴールがBBCを通じてロンドンから発したもので、タイトルの下に書かれた「フランスは戦闘には負けたが、戦争には負けていない」との文言がとくに有名です。教科書的には、この演説により、ドゴールは、祖国の自由と民主主義を守るため、ナチス・ドイツに屈せずに戦う意思を示し、それゆえ、第二次大戦後、彼の率いる自由フランスは戦勝国としての立場を確保したということになっています。

 当然のことながら、テロによる言論の圧殺は絶対に許されるべきではなく、その意味で、テロに屈しないという姿勢を示し、「民主主義や自由の価値を掲げるため、すべてのフランス人に集まってほしい」と大統領が呼びかけるのは理に適ったことでありましょう。ただし、今回の事件をきっかけに、フランス国内では反イスラム感情が噴出し、“報復”と称して、事件とは何ら無関係の善良なムスリムたちをターゲットに、モスクやレストランが襲撃されるなどの事件が相次いで起こっています。こうした報復もまた“民主主義や自由の価値”とは相いれないものであることは言うまでもありません。

 過去の植民地支配の経緯もあり、第二次大戦後のフランスはアフリカの旧仏領地域から多くの移民を受け入れてきたわけですが、今回の一件は、あらためて、“すべてのフランス人”の意味を問い直すきっかけになったと言ってよいでしょう。

 なお、明日のデモ行進には、英独伊など欧州各国首脳に加え、フランスがイスラム過激派の掃討作戦を続けるマリ、ニジェール両国の大統領らアフリカ首脳も駆けつける予定だそうです。このうちのマリを軸に、フランスとアフリカの関係については、拙著『マリ近現代史』でもいろいろご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


 ★★★ イベント「みんなで絵手紙」(2月8日)のご案内 ★★★

      狛江絵手紙チラシ・表     狛江絵手紙チラシ・裏

 2月8日(日) 10:00-17:00に東京・狛江のエコルマホールにて開催のイベント「みんなで絵手紙 見て、知って、書いて、楽しもう」のトークイベントに内藤陽介が登場します。内藤の出番は13:30-14:15。「切手と絵・手紙」と題してお話しする予定です。是非、遊びに来てください。主宰者サイトはこちら。画像をクリックしていただくと、チラシの拡大画像がごらんになれます。


 ★★★ 講座「切手と郵便物に刻まれた“終戦”」(2月20日)のご案内 ★★★ 

       ミズーリの消印

 2月20日13:00~14:30、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、「切手と郵便物に刻まれた“終戦”」と題する講座を行います。

 2015年は第二次世界大戦の終戦から70周年にあたります。終戦の年の1945年はあらゆる意味で社会が激変した年ですが、その影響は切手や郵便物にもさまざまな痕跡を残しています。今回の講座では、当時の切手や郵便物を読み解いていくことで、一般の歴史書では見落とされがちな終戦の諸相を、具体的なモノの手触りとともに明らかにしてみたいと思っています。

 詳細は、こちらをご覧ください。(画像は、日本の降伏文書調印が行われた米軍艦ミズーリ号から降伏文書調印日に差し出された郵便物の一部分です) 

 
 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 毎月1回(原則第1火曜日:2月3日、3月3日、3月31日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 次回開催は2月3日で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


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        朝鮮戦争表紙(実物からスキャン) 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

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 *8月24日付『讀賣新聞』、韓国メディア『週刊京郷』8月26日号、8月31日付『夕刊フジ』、『郵趣』10月号、『サンデー毎日』10月5日号で拙著『朝鮮戦争』が紹介されました!


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