内藤陽介 Yosuke NAITO
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 パリ解放以来の人出
2015-01-12 Mon 11:41
 昨日(11日)、仏週刊紙「シャルリーエブド」襲撃など一連の事件で犠牲になった17人を追悼する大規模な反テロ行進がパリ中心部の共和国広場から東部ナシオン広場までの約3キロで行われ、オランド仏大統領や、メルケル独首相、キャメロン英首相ら50ヵ国以上の首脳をはじめ、現地報道によると、160万人以上が行進に参加しました。これは1944年8月のパリ解放以来の人出だそうです。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      フランス・パリ解放絵葉書

 これは、1944年8月29日に行われたパリ解放の記念パレードの絵葉書に、凱旋門を描く1フラン切手を貼って、11月26日の記念印を押したモノです。

 第二次大戦中、パリはドイツの占領下に置かれていましたが、1944年8月15日、連合軍のパリへの接近に連動して、まず、パリ地下鉄、フランス国家憲兵隊、警察がストライキに突入。翌16日の郵便局員のスト突入を経て、18日にはゼネストに発展し、19日以降、共産党を中心とするレジスタンス派の武装蜂起が発生しました。

 これに対して、翌20日、ドゴールは連合軍最高司令官アイゼンハワーと会見。パリを解放するのは共産党を中心とする国内レジスタンス派ではなく、ドゴール(の自由フランス)であることを内外に誇示するため、連合軍によるパリ一番乗りの栄誉をフランス第2機甲師団に与えるよう要請。アイゼンハワーはこれを受け入れ、第2機甲師団による“パリ解放”が決定されました。

 一方、パリを失うことの政治的ダメージを憂慮したヒトラーは、焦土作戦によるパリの破壊を命じていましたが、パリのドイツ軍司令官フォン・コルティッツ将軍はこの命令を無視。8月24日にルクレール率いるフランス第2機甲師団がパリに到着すると、翌25日、フォン・コルティッツは降伏文書に調印しました。

 これを受けて、同日16時頃、ド・ゴールがパリ入城。一部のドイツ軍部隊が降伏命令を無視して抵抗を続けるなか、陸軍省の建物を訪問。パリ市庁舎に入ります。

 市庁舎では、バルコニーから共和政宣言をしたらどうかとのレジスタンスの提案を退け、「共和政はいまだかつて存在しなくなったことがない。自由フランス、国民解放委員会が相次いでこれを体現してきた。ヴィシーは常に無効であったし、いまも無効である。私自身は共和国(臨時)政府議長なのだ。共和政を宣言すべき理由があろうか」といって、パリ解放を宣言しました。

 翌26日、ド・ゴールは早速、シャンゼリゼ通りで第2機甲師団を中心とするパレードを行いましたが、この時点では、依然として市内になおドイツ軍の狙撃兵が残っており抵抗を続けていたため、銃弾が飛来して市民が慌てて地面に伏せるようなこともあったそうです。

 その後、事態が落ち着いた29日になって、あらためて米第28歩兵師団主催のパレードが行われ、米軍と自由フランス軍の車両がパリの街中を進んで行きました。今回ご紹介の葉書はこの時の様子を撮影したもので、いわゆる“(フランス史上最大といわれる)パリ解放時の人出”も、このときのようすを指しています。

 なお、パリ解放といえば、興奮した市民が“対独協力者”とみなされた女性を丸刈りにして、市中引き回しにするということもありましたな。一連の事件をきっかけに、フランス国内では反イスラム感情が噴出し、“報復”と称して、事件とは何ら無関係の善良なムスリムたちをターゲットに、モスクやレストランが襲撃されるなどの事件が相次いで起こっているというニュースに接すると、かつての女性の丸刈り同様の理不尽なリンチが繰り返されることのないように…と思わずにはいられません。

 
 ★★★ イベント「みんなで絵手紙」(2月8日)のご案内 ★★★

      狛江絵手紙チラシ・表     狛江絵手紙チラシ・裏

 2月8日(日) 10:00-17:00に東京・狛江のエコルマホールにて開催のイベント「みんなで絵手紙 見て、知って、書いて、楽しもう」のトークイベントに内藤陽介が登場します。内藤の出番は13:30-14:15。「切手と絵・手紙」と題してお話しする予定です。是非、遊びに来てください。主宰者サイトはこちら。画像をクリックしていただくと、チラシの拡大画像がごらんになれます。


 ★★★ 講座「切手と郵便物に刻まれた“終戦”」(2月20日)のご案内 ★★★ 

       ミズーリの消印

 2月20日13:00~14:30、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、「切手と郵便物に刻まれた“終戦”」と題する講座を行います。

 2015年は第二次世界大戦の終戦から70周年にあたります。終戦の年の1945年はあらゆる意味で社会が激変した年ですが、その影響は切手や郵便物にもさまざまな痕跡を残しています。今回の講座では、当時の切手や郵便物を読み解いていくことで、一般の歴史書では見落とされがちな終戦の諸相を、具体的なモノの手触りとともに明らかにしてみたいと思っています。

 詳細は、こちらをご覧ください。(画像は、日本の降伏文書調印が行われた米軍艦ミズーリ号から降伏文書調印日に差し出された郵便物の一部分です) 

 
 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 毎月1回(原則第1火曜日:2月3日、3月3日、3月31日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 次回開催は2月3日で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


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 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

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 *8月24日付『讀賣新聞』、韓国メディア『週刊京郷』8月26日号、8月31日付『夕刊フジ』、『郵趣』10月号、『サンデー毎日』10月5日号で拙著『朝鮮戦争』が紹介されました!


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