内藤陽介 Yosuke NAITO
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 世界の国々:ベラルーシ
2015-02-10 Tue 17:22
 アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2015年2月11日号が、先週刊行されました。僕が担当しているメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回はベラルーシを取り上げています。その記事の中から、こんなモノをご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

       ベラルーシ・ソ連混貼カバー

 これは、ベラルーシ独立宣言直後の1991年11月9日、ソ連切手とソ連切手に加刷した暫定切手が貼られたミンスク市内便(書留便)です。

  ドニエプル川中流域、現在の国名でいうとロシア・ベラルーシ・ウクライナにまたがる地域は、古来、ルーシと呼ばれていました。

 13-16世紀のモンゴルの支配を受けていた時代、ルーシの地には方角を色で呼ぶ語法が持ち込まれ、南部の赤ルーシ(現在のウクライナ西部)、西部の白ルーシ(現在のベラルーシ。狭義にはベラルーシ東部・ロシアとの隣接地域)、北部の黒ルーシ(モスクワ周辺)などの地名が生まれましたが、“白ルーシ”以外は、いつしか死語となりました。ちなみに、ベラルーシという国名は“白ロシア”を意味するベラルーシ語で、ロシア語をカタカナ表記にすると“ベロルシア”になります。

 このうち、白ルーシの地は長らくロシアとポーランドの両国が支配を争っていましたが、18世紀末、列強諸国によりポーランドが分割され消滅すると、ロシアの支配下に置かれます。そして、帝政ロシアの支配下で、ベラルーシは次第にロシアと同化していきました。

 1917年のロシア革命で帝政ロシアが崩壊すると、翌1918年3月、ベラルーシ人民共和国の樹立が宣言されましたが、同国はほどなく消滅し、1919年には白ロシア・ソヴィエト社会主義共和国(BSSR)が創設されます。
 
 その後、ポーランド・ソヴィエト戦争により、1920年、BSSRは東西に分割され、西部はポーランドに編入されました。一方、東部ではBSSRが存続し、1922年末に発足したソヴィエト社会主義共和国連邦(ソ連)に参加します。

 1939年9月、第二次大戦が勃発し、独ソ両国がポーランドを分割占領すると、これに伴い、西部ベラルーシはソ連に占領され、BSSRに編入されました。さらに、1941年6月、独ソ戦が勃発すると、ベラルーシはドイツ軍に占領されました。その後、住民の3分の1が犠牲になるという壮絶な戦いの末、1944年、ドイツ軍はベラルーシから撤退。1945年7-8月のポツダム会談の結果、ソ連=ポーランド国境は西に移動し、ベラルーシ全域がBSSRとしてソ連の一部となりました。

 ところが、1985年にソ連でペレストロイカ政策が始まり、翌1986年にはチェルノブイリ原発の事故でベラルーシが甚大な被害を被ったこともあり、ベラルーシでもモスクワからの自立を志向するナショナリズムが台頭。1988年にはベラルーシ人民戦線が結成されます。

 その後、1990年7月には、ベラルーシ共和国最高会議が国家主権宣言を行い、翌1991年8月、前年の国家主権宣言を“憲法的法律”とする立法が行われ、ベラルーシは、事実上、ソ連から独立しました。9月15日には国名が白ロシア・ソヴィエト社会主義共和国からベラルーシ共和国に変更されるとともに、新国旗・新国歌も採用されます。そして、同年12月8日、ベラルーシ最西部のベロヴェーシの森で、ロシア、ウクライナ、ベラルーシの三国首脳がソ連の解体に合意。同年末、ソ連が正式に消滅したことを受けて、ベラルーシも完全な独立国となりました。

 さて、『世界の切手コレクション』2月11日号の「世界の国々」では、帝政ロシア時代から現在のルカチェンコ政権にいたるベラルーシ近現代史の概説を中心に、幻に終わったベラルーシ人民共和国の不発行切手、民族衣装の切手、ナチス占領時代の加刷切手の使用例などもご紹介しております。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧いただけると幸いです。

 なお、本日発売の2月18日号(通常は水曜日発売なのですが、今週は祝日と重なるため、火曜日発売となりました)では、「世界の国々」はソロモン諸島を特集していますが、こちらについては、来週、このブログでもご紹介する予定です。 
  

 ★★★ 講座「切手と郵便物に刻まれた“終戦”」(2月20日)のご案内 ★★★ 

       ミズーリの消印

 2月20日13:00~14:30、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、「切手と郵便物に刻まれた“終戦”」と題する講座を行います。

 2015年は第二次世界大戦の終戦から70周年にあたります。終戦の年の1945年はあらゆる意味で社会が激変した年ですが、その影響は切手や郵便物にもさまざまな痕跡を残しています。今回の講座では、当時の切手や郵便物を読み解いていくことで、一般の歴史書では見落とされがちな終戦の諸相を、具体的なモノの手触りとともに明らかにしてみたいと思っています。

 詳細は、こちらをご覧ください。(画像は、日本の降伏文書調印が行われた米軍艦ミズーリ号から降伏文書調印日に差し出された郵便物の一部分です) 

 
 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 毎月1回(原則第1火曜日:3月3日、3月31日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 次回開催は3月3日で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


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        朝鮮戦争表紙(実物からスキャン) 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

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 *8月24日付『讀賣新聞』、韓国メディア『週刊京郷』8月26日号、8月31日付『夕刊フジ』、『郵趣』10月号、『サンデー毎日』10月5日号で拙著『朝鮮戦争』が紹介されました!


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