内藤陽介 Yosuke NAITO
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
World Wide Weblog
 メキシコのバードマン
2015-02-24 Tue 23:56
 ことしで87回目となるアカデミー賞の発表が、きのう(23日)行われ、メキシコ出身のアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の作品、「バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」が作品賞など4つの賞に選ばれました。というわけで、メキシコの“バードマン”といえば、この切手でしょうか。(画像はクリックで拡大されます)

       日本人メキシコ移住100年(メキシコ)

 これは、1997年に発行された「(日本人)メキシコ移住100年」の記念切手で、メキシコ在住の日系人画家、ルイス・ニシサワが制作した原画は、太陽の周囲にメキシコ神話の鷲騎士とジャガー騎士を配したデザインとなっています。切手は、日本メキシコ両国で、ほぼ同じデザインで発行されましたが、今回はメキシコ側の切手を持ってきました。

 日本とメキシコとの関係は、江戸時代初期の1609年、前フィリピン総督ドン・ロドリゴの船団がメキシコ(当時はヌエバ・エスパーニャと呼んだ)への帰途、台風に遭い、上総国岩和田村(現・千葉県御宿町)に漂着し、日本側がこれを救助したことから始まりました。また、1613年、スペインとの通商を開くために派遣された支倉常長一行は、スペインとの往復に、メキシコのアカプルコ、ベラクルスを経由しています。しかし、1639年、わが国はいわゆる鎖国に入ったため、ヌエバ・エスパーニャとの関係も途絶してしまいました。

 さて、幕末に欧米と結んだ不平等条約の改正を悲願としていた明治政府は、1871年には日清修好条規(平等条約)を、1876年は日朝修好条規(日本に有利な“逆不平等条約”)を結び、次の段階として、アジア以外の国と対等条約を結ぶべく、メキシコに白羽の矢を立てます。一方、当時のメキシコ政府も、東アジアとの貿易のために日本か清朝と交流を持ちたいと考えていました。

 こうした思惑が一致して、1888年11月、米国ワシントンDCで両国特命全権公使(日本側は陸奥宗光、メキシコ側はマティアス・ロメロ)の間で、日墨修好通商条約が結ばれました。

 この条約は、わが国にとって、外国から絶対的主権を承認された最初の本格的な平等条約で、外国人に対する裁判権・租税課税権・両国民の自由な居住権等を認めたものでした。一方、メキシコ側にとってもアジア諸国と結んだ最初の条約となります。

 こうした経緯を経て、1891年、外務省に移民課を創設した外務大臣の榎本武揚は、翌1892年に予定されていた退官後、メキシコに入植地を開拓する目的で“日本植民協会”を組織し、1895年には墨国移住組合を設立します。そして、1897年3月24日、日本からのメキシコ移民団の第1団が横浜から出港し、同年5月10日にサン・ベニート港(現在のプエルト・マデロ)に上陸しました。今回ご紹介の切手は、ここから起算して発行されたものです。

 ところで、アステカ文明では、鷲騎士団とジャガー騎士団が2大戦士団となっており、生贄になった戦士の心臓は“太陽の鷲”に捧げられていました。このため、鷲および鷲騎士団は、太陽に糧を与え、太陽の運行に同行する存在とみなされ、ジャガーとの組み合わせは、まさに、アステカ皇帝の象徴でした。じっさい、アステカの皇帝は、鷲の羽毛の上に座り、ジャガーの皮に背をもたせかけて、政務をとっていました。今回ご紹介の切手の絵も、そうした故事を踏まえた内容となっています。


 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 毎月1回(原則第1火曜日:3月3日、3月31日、4月7日、6月2日、7月7日、8月4日、9月1日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 次回開催は3月3日で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『朝鮮戦争』好評発売中! ★★★ 

        朝鮮戦争表紙(実物からスキャン) 本体2000円+税

 【出版元より】
 「韓国/北朝鮮」の出発点を正しく知る!
 日本からの解放と、それに連なる朝鮮戦争の苦難の道のりを知らずして、隣国との関係改善はあり得ない。ハングルに訳された韓国現代史の著作もある著者が、日本の敗戦と朝鮮戦争の勃発から休戦までの経緯をポスタルメディア(郵便資料)という独自の切り口から詳細に解説。解放後も日本統治時代の切手や葉書が使われた郵便事情の実態、軍事郵便、北朝鮮のトホホ切手、記念切手発行の裏事情などがむしろ雄弁に歴史を物語る。退屈な通史より面白く、わかりやすい内容でありながら、朝鮮戦争の基本図書ともなりうる充実の内容。

 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各電子書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

 *8月24日付『讀賣新聞』、韓国メディア『週刊京郷』8月26日号、8月31日付『夕刊フジ』、『郵趣』10月号、『サンデー毎日』10月5日号で拙著『朝鮮戦争』が紹介されました!


 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★

 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。
スポンサーサイト

別窓 | メキシコ | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
<< 世界の国々:ナミビア | 郵便学者・内藤陽介のブログ |  ウクライナ政変から1年>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
copyright © 2006 郵便学者・内藤陽介のブログ all rights reserved. template by [ALT-DESIGN@clip].
/