内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ミャンマーで全土停戦合意
2015-03-31 Tue 23:30
 1948年の独立以来、政府と少数民族武装勢力(16組織)との対立が続いているビルマ(ミャンマー)で、きょう(31日)、「全土停戦」協定(案)の合意が成立し、関係者が文書に調印しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

       ビルマ・ユニオンデー(1972)

 これは、1972年にビルマで発行された“ユニオン・デー25周年”の記念切手で、独立記念塔を背景に、ビルマ連邦を構成する主要民族が描かれています。

 ビルマは、8大部族(カチン族、カヤ―族、カイン族、チン族、モン族、ビルマ族ラカイン族シャン族)とそのサブグループとしての135民族で構成される多民族国家ですが、人口の半数以上はビルマ族が占めています。

 第2次大戦中の1943年8月1日、ビルマではバーモを中心とする親日政府が独立を宣言しましたが、1945年、日本軍の撤退とともに、英国はビルマを再占領して軍政を施行。さらに同年10月には、インドのシムラに避難していた英ビルマ政庁が復帰し、英国による植民地支配が復活します。

 このため、アウンサンを総裁とするパサパラ(反ファシスト人民自由連盟、AFPFL)は、ビルマの完全独立達成のため、イギリス側と交渉を開始。1947年1月、ロンドンでのアウンサン=アトリー協定の締結にこぎつけ、イギリス政府にビルマ独立を認めさせました。

 この間、ビルマ国内では、独立“ビルマ”の範囲をめぐって、さまざまな対立がありました。

 すなわち、英領ビルマは、大きく分けて、“辺境地区(高原・山岳地帯を中心とした地域で、英領ビルマ政庁による間接統治がなされていた行政区域)”と“管区ビルマ(平野部を中心とした地域で、英領ビルマ政庁が直接的に統治責任を負った行政区域)”の2つの部分から成り立っていましたが、このうち辺境地区のカレン族(上記のカヤー族の一民族)などは、アウンサンのビルマ行政参事会代表団とは別にロンドンに代表団を派遣し、カレン族の独立国家樹立を目指していました。その背景には、長年の民族的対立に加え、ビルマ族が、植民地支配下で比較的優遇されていたカレン族を潜在的なスパイと見なして、彼らを弾圧したという事情があります。

 このため、ロンドンから帰国したアウン・サンは、1947年2月12日、シャン州の州都タウンジーの東方にあるパンロン(ピンロンとも)で、辺境地域(管区ビルマ外)の少数民族の代表らと会談。独立後、少数民族に自治権を与えることを約束し、辺境地域と管区ビルマを合わせた“英領ビルマ”の全域を、連邦制国家として独立させるとのパンロン協定の調印に成功します。

 今回ご紹介の切手の題材となった“ユニオン・デー”は、このパンロン協定調印の記念日で、1948年の独立後も、ビルマにとって最も重要な記念日として位置付けられてきました。

 しかし、この協定に調印した少数民族の代表は、シャン、カチン、チンの3民族に限られており、カヤー、カレン、モン、アラカンからは、カヤーとカレンから数名のオブザーバーしか認められていませんでした。このため、“連邦制”に反対するカレンは、1947年4月の制憲議会選挙をボイコットします。これに対して、連邦政府は、独立後、パンロン協定で保障された諸民族の自治権を事実上剥奪するとともに、シャンやカレンに認められていた独立後10年目以降の連邦からの離脱権を剥奪。このため、少数民族による独立闘争が展開されるようになったわけです。

 さて、今回の停戦合意は各組織指導者の承認(署名)を受けて成立することになっており、ティンセイン政権としては、今年11月に予定されている総選挙に向け、“民主化”の成果を内外にアピールしたいという思惑があります。しかし、実際には、現在なお、カチン州やシャン州の一部では政府軍による空爆を交えた戦闘が続いているだけでなく、シャン州のコーカン地区では、ことし2月に武装組織が国軍の拠点を攻撃し(その背後には黒幕として中国がいると見られています)、戒厳令が発令されるなど、現実には和平への道のりは相当に困難というのが大方の見方です。

 いずれにせよ、停戦が実現すれば、ビルマ現代史上の重大事件となることは間違いないわけで、今後の推移に注目したいところです。


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