内藤陽介 Yosuke NAITO
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 世界の国々:モルディヴ
2015-04-01 Wed 12:47
 アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2015年4月1日号が、先週刊行されました。僕が担当しているメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回はモルディヴを取り上げています。その記事の中から、こんなモノをご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

       モルディヴ・野戦局カバー

 これは、1960年5月25日、モルディヴのガン島に置かれていた英軍基地内の野戦郵便局から差し出されたカバーです。
 
 第二次大戦中の1941年8月、イギリスは保護国だったモルディヴ南端のアッドゥ環礁(シーヌ環礁とも)のガン島に東洋艦隊の基地を設置します。大戦中、シンガポールが日本軍によって占領されていたこともあり、ガン島の海軍基地は英軍にとって軍事的な重要拠点となっていました。

 ところで、大戦中のモルディヴでは戦時統制の一環として海外との交易はスルターン政府が独占していましたが、大戦終結後も、貿易の独占により利権を得ていた政府関係者は貿易の自由化を拒否したため、住民は不満を募らせすことになります。このため、1953年、独立運動の指導者だったアミン・ディディは、英国の保護下に残ったまま、スルターンを廃位し、自らを大統領とする(第一)共和政を宣言。重要産業の国有化などを進めようとしました。しかし、新政権の急進左派的政策は経済的混乱を招き、1年も経たないうちに政権は崩壊。1954年にはムハンマド・ファリド・ディディがスルターンとなり、君主制が復活します。

 一方、1956年、いわゆる第2次中東戦争(スエズ動乱)が起こり、英仏はスエズ運河地帯から撤退。さらに、セイロンでも親ソ派のバンダラナイケ政権が、駐留英軍の撤退を要求するという状況になりました。

 このため、ヨーロッパとアジアの間に新たな補給基地を確保する必要に迫られた英国は、第二次大戦中に海軍基地として利用していたモルディヴ南端のガン島に着目。1956年末、年2000ポンドの賃料で100年間、ガン島を基地として使用する協定をモルディヴ政府と締結します。

 ところが、この協定が非同盟派のインドやセイロンを刺激することを恐れたモルディヴ議会は、1957年、協定の批准を否決するとともに、締結時のディディ首相を解任。後継首相となったイブラヒム・ナシールは、ガン島の貸与期間の短縮や、リース料の増額を要求し、協定の見直しを求めました。

 すでに、英国は飛行場建設のために数百人規模でモルディヴ人を雇用し、ガン島に移住させていたため、彼らはナシール政権に反発しましたが、政府はガン島住民に英軍基地で働くことを禁止して反対派を抑え込もうとします。さらに、政府が住民のカヌーの建造に新たに課税することを決めると、1959年1月、アッドゥ環礁の住民は暴動を起こし、英国の支援の下、“アドゥアン人民共和国”の独立を宣言しました。

 これに対して、アドゥアン人民共和国の独立を認めないモルディヴ政府は、アドゥ環礁の経済封鎖で対抗しようとしたものの、実際に島民が英軍基地の雇用で潤っているのを見た島々は人民共和国への参加を相次いで表明。1959年3月、彼らを加えてのスヴァディヴ連合共和国が結成されました。

 一方、英国は秘密裏にモルディヴ政府とも交渉を進めていましたが、1960年、モルディヴ政府が無条件で基地使用を認めたことで、スヴァディヴ連合共和国の独立を否認する声明を発表。これを受けて、1962年、モルディヴ政府はアッドゥ環礁に艦隊を派遣して“叛乱”を鎮圧。さらに、翌1963年、英軍が「スルターンの支配を受け入れない者は基地で雇わない」との方針を発表すると、アドゥ環礁は独立を撤回し、スルターン政府に合流せざるを得なくなりました。

 その後、英国はモルディヴの主権を認め、1965年7月26日、モルディヴは主権国家として正式に独立し、国際連合にも加盟を果たしています。

 さて、 『世界の切手コレクション』4月1日号の「世界の国々」では、モルディヴの近現代史について概観した長文コラムのほか、同国独自の鰹節やサンゴ礁の切手などもご紹介しております。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧いただけると幸いです。

 なお、本日発売の4月8日号では、「世界の国々」はアフリカのブルキナ・ファソを特集していますが、こちらについては、来週、このブログでもご紹介する予定です。


 ★★★ イベントのご案内 ★★★

 ・4月4日(土) 09:30- 切手市場
 於 東京・日本橋富沢町8番地 綿商会館
 詳細は主催者HPをご覧ください。新作の『日の本切手 美女かるた』を中心に、拙著を担いで行商に行きます。 会場ならではの特典もご用意しております。ぜひ遊びに来てください。

 ・4月25日(土) 11:00-12:00 スタンプショウ
 於 東京都立産業貿易センター台東館(浅草) 特設会場
 出版記念のトークを行います。入場は完全に無料ですので、ぜひ、遊びに来てください。スタンプショウについての詳細はこちらをご覧ください。

 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 毎月1回(原則第1火曜日:4月7日、6月2日、7月7日、8月4日、9月1日)、よみうりカルチャー(読売・日本テレビ文化センター)荻窪で下記の一般向けの教養講座を担当します。(下の青い文字をクリックしていただくと、よみうりカルチャーのサイトに飛びます)

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 次回開催は4月7日で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『日の本切手 美女かるた』 3月25日発売! ★★★ 

         日の本切手 美女かるた・表紙 税込2160円

 【出版元より】
 “日の本”の切手は美女揃い!
  ページをめくれば日本切手48人の美女たちがお目見え!
 <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。

 出版元のサイトはこちら、内容のサンプルはこちらでご覧になれます。ネット書店でのご購入は、アマゾンboox storee-honhontoYASASIA紀伊國屋書店セブンネットブックサービス丸善&ジュンク堂ヨドバシcom.楽天ブックスをご利用ください。


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