内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ラオスとコリア
2015-07-12 Sun 22:45
 北朝鮮を訪問中のラオスのセンヌアン国防相らラオス人民軍幹部が、昨日(11日)、北朝鮮側の人民武力部長(国防相)として朝鮮人民軍の朴永植大将と会談したことが公表されました。北朝鮮の人民武力部長については、今年5月、当時の人民武力部長だった玄永哲が粛清されたとみられていたものの、北朝鮮当局はこの件について対外的にノーコメントの立場を取っていましたが、今回の一件で、人民武力部長の交代が公式に確認されたことになります。というわけで、きょうは、この事実を明らかにするきっかけとなったラオス人民軍にちなんで、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ラオス人民軍60年(カイソーン・ポムウィハーン)

 これは、2009年にラオスで発行されたラオス人民軍創建60周年の記念切手のうち、前線で指揮を執るカイソーン・ポムウィハーンを取り上げた1枚です。

 旧仏領インドシナのうち、現在のラオスの地では、第2次大戦末期の1945年3月、日本軍によっていわゆる明号作戦が発動され、同年4月、日本の影響下でシーサワーンウォン王がラオス独立を宣言しました。

 ところが、戦後、インドシナ支配の復活をもくろむフランスが再進駐して第一次インドシナ戦争が勃発すると、シーサワーン・ウォンは独立を撤回。これに不満を持つ民族主義者はラオ・イサラ(自由ラオス)を結成しましたが、フランスはシーサワーン・ウォンに内政の自治権を与えて懐柔するとともに、ラオ・イサラを攻撃。このため、ラオ・イサラの指導者たちはタイに亡命政府を樹立して抵抗を続けました。

 その後、ラオ・イサラの指導者はシーサワーン・ウォンと妥協し帰国する者と、あくまでも妥協を拒否する強硬派に分裂し、後者のスパーヌウォン王子らは1950年8月、北東部のサムヌア省を拠点に左派のネーオ・ラーオ・イサラ(ラオス自由戦線)政府を樹立。1951年にはホー・チ・ミン率いるヴェトミン等とインドシナ合同民族統一戦線を結成し、抗仏闘争を展開します。その際、自由戦線側の軍事組織として、1950年に創設されたのがパテート・ラーオで、これが、現在のラオス人民軍の直接の母体となりました。
 
 ところで、パテート・ラーオの創設以前、ラオス内にはさまざまな軍事勢力がありましたが、その中で、インドシナ戦争の中軸を担ったヴェトナムが後押ししていたのが、ヴェトナム人の父親を持ち(母親はラオス人)、ハノイ大学で学び、ヴェトナムで半植民地運動に参加して1949年にはインドシナ共産党に入党していたカイソーン・ポムウィハーンでした。カイソーンは、後にラオス人民革命党の書記長となり、1975年12月2日、王政が廃止されてラオス人民民主共和国が建国されると、初代首相を兼任し、1992年に亡くなるまで、独裁者としてラオスに君臨するようになります。

 それに伴い、パテート・ラーオの創設以前、カイソーンが1949年1月20日に創設された(とされる)ラーサウォン隊で司令官を務めていたことがクローズアップされ、同隊こそがラオス人民解放軍の前身であるというのが、ラオス国家の公式な歴史観となりました。今回ご紹介の切手も、ここから起算したため、2009年に“60周年記念”として発行されたというわけです。

 まぁ、北朝鮮でも、歴史的な事実としては朝鮮人民軍の創建は1948年2月8日であるにもかかわらず、金日成から金正日への権力世襲の過程で、満州での金日成の抗日武装闘争の経歴が誇張して宣伝されるようになった結果、1978年以降、朝鮮人民軍のルーツは“朝鮮人民革命軍”(金日成の抗日遊撃隊)であるとして、建軍記念日も朝鮮人民革命軍が結成されたとされる1932年4月25日(ただし、これは北朝鮮当局がそう主張しているだけであって、資料的な裏付けはありません)に変更されていますからねぇ。独裁国家というのは、似たようなことを考えるものだと言えばそれまでですが。

 なお、1975年の革命以前、ラオス王国は韓国と国交があり、北朝鮮とは国交がありませんでしたが、革命後のカイソーン政権は韓国と断交し、北朝鮮と国交を樹立します。しかし、韓国との関係が完全に途絶したわけではなく、1988年のソウル五輪にはラオスは選手団を派遣しており、1995年には韓国とも国交を回復。現在、南北双方と国交関係があります。ちなみに、現在、ラオス最大の民間企業は、自動車販売などを手掛ける韓国資本のKOLAOグループです。

 
 ★★★ 全日本切手展+韓国切手展のご案内 ★★★ 

 7月17-19日(金ー日) 東京・錦糸町のすみだ産業会館で全日本切手展(全日展)ならびに日韓国交正常化50周年記念・韓国切手展が開催されます。詳細は、主催団体の一つである日本郵趣連合のサイト(左側の“公式ブログ”をクリックしてください)のほか、フェイスブックのイベントページ(全日展はこちら、韓国切手展はこちら)にて、随時、情報をアップしていきますので、よろしくお願いいたします。

      全日展チラシ  全日展チラシ(裏)

 *画像は全日展実行委員会が制作したチラシです。

 なお、内藤は、会期中の18日(土)11:00より、韓国切手展の展示解説を、16:00より「切手と郵便に見る韓国現代史と日本」と題する記念講演を行いますので、皆様、是非、遊びに来てください。
 
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