内藤陽介 Yosuke NAITO
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 インドネシア独立記念日
2015-08-17 Mon 11:41
 きょう(17日)は、インドネシアの独立記念日です。というわけで、この切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ジャワ・ワヤン(インドネシア加刷)

 これは、インドネシア独立戦争時、日本占領時代のジャワで発行されたワヤンの人形を描く5セン切手の日本語部分を抹消して“インドネシア共和国(REPOEBLIK INDONESIA)”と加刷した切手です。

 第2次大戦中、オランダ領東インド(蘭印)を占領した日本軍は、政治犯としてオランダに捕らえられていたスカルノやハッタらインドネシア民族主義指導者を解放。日本側は、石油資源の安定確保のため(そもそも、これこそが戦争の目的でしたから)、蘭印を直轄の軍政地域としました。しかし、戦局が悪化してきた1945年3月、インドネシアを親日国家として独立させるよう方針を転換。独立準備調査会を発足させ、スカルノやハッタらに独立後の憲法を審議させています。

 こうして、終戦間際の8月7日、スカルノらは独立準備委員会を設立。その第1回会議は18日に開催される予定でしたが、8月15日、日本の降伏が発表されたことで、日本の軍政当局の主導による独立準備は中止されてしまいます。そこで、2日後の8月17日、スカルノらインドネシアの民族主義者たちは、オランダ軍が再上陸してくる前に、機先を制してインドネシア共和国の独立を宣言しました。場所はスカルノの私邸、約1000名が立会ったそうです。

 その後、9月4日にスカルノを首班とするインドネシア共和国が成立。また、独立宣言後の8月22日には人民治安団が政府布告によって結成され、政府は日本軍政下で結成された旧ペタ(郷土防衛義勇軍)系の将兵、兵補らに参加を呼びかけます。さらに、10月になって日本軍の武装解除のため英軍やオランダ軍が本格的に進駐してくると、スカルノらはこれに対抗すべく人民治安軍を組織し、インドネシア独立戦争に投入していきました。

 一方、戦争に敗れた日本軍は、連合軍の命令により、東南アジアの各占領地域を現状維持のまま、上陸する連合軍部隊に引き渡すことになり、インドネシア独立派への武器引渡しは禁止されていました。しかし、一部の地域では、独立派の要請に対して武器庫を開放することもあったほか、旧日本軍の将兵の中には、“東亜解放”の理念を奉じて独立派に身を投じた人が約1000人いたそうです。そのうち、半数が戦死・行方不明となり、生き残った後も、日本に帰らず、インドネシアで生涯を終えた人も少なくありません。

 現在、インドネシア政府は、独立戦争を生き抜いた旧日本軍の将兵にはゲリラ勲章を授与しているほか、独立戦争中の戦死者・陣没者や独立戦争に参加した戦績のある元将兵については、没後、本人や遺族が希望しない場合を除き、ジャカルタのカリバタ英雄墓地をはじめ国内各地の英雄墓地に埋葬されることになっています。独立の英雄として英雄墓地に埋葬されることはインドネシアでは最高の栄誉とされており、その葬儀にはインドネシアの国防省代表、インドネシア国軍の葬儀委員、儀仗兵、軍楽隊が参加して、厳粛に執り行われます。

 なお、これまでも散々書いてきたことの繰り返しになりますが、インドネシア共和国が最終的に独立を達成したのは、当然のことながら、第一義的には、インドネシア国民(になった人々)がみずから血を流し、熾烈な対蘭独立戦争を戦った結果です。そのことは大前提として絶対に忘れてはなりません。

 その意味において、僕は、彼らの尊い犠牲を無視して「日本がインドネシアを独立させてやった」という類の議論をする人たちには絶対に与しません。ちなみに、インドネシア独立戦争に参加した旧日本軍の将兵は、制度上は“脱走兵”の扱いとされており、インドネシア独立戦争中の戦死者に対しては遺族年金が支給されていないばかりでなく、彼らが“英霊”として靖国に祀られることもありません。それどころか、“脱走兵”以外の旧日本軍は、正規の手続きに則って、オランダ軍とともに独立派と戦い、多くの戦死者を出しましたが、彼らは靖国に祀られています。この厳然たる事実をしっかりと受け止めていれば、それだけで、「日本がインドネシアを独立させてやった」などという発言が、いかに、インドネシア国民のみならず、彼らの独立のために戦った旧日本軍将兵を愚弄するものであるのか、お分かりいただけるでしょう。

 ただ、その一方で、日本による占領という体験が触媒となって、あるいは、独立戦争での旧日本軍将兵の活動が、結果的にインドネシアの独立を導くことになったということを、インドネシアの人たちが自らポジティヴに語ってくれるのであれば、その気持ちは素直に、ありがたく受け入れるべきだと思います。そうした彼らの友情を無視して、自分は「一般の日本人とは違う」という醜悪な思い込みから、ひたすら日本と日本人を貶めるために“日本軍によるアジア侵略”を嬉々として糾弾する日本人が少なからずいますが、そうした連中に対しては、心の底から軽蔑するという以外の感情しか沸いてきませんな。

 以前刊行した拙著『蘭印戦跡紀行』は、そんな思いから、僕がインドネシア各地で実際に見聞した“日本”の痕跡について、切手や郵便物、絵葉書などを交えながらまとめてみたものです。機会がありましたら、ぜひ、お手に取ってご覧いただけると幸いです。

 
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