内藤陽介 Yosuke NAITO
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 エーラーワン本来の姿
2015-08-18 Tue 12:50
 きのう(17日)夜、バンコク中心部のエーラーワン廟前で爆弾テロとみられる大きな爆発があり、これまでに外国人8人を含む少なくとも22人の死亡が確認され、多数が負傷する惨事となりました。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、被害を受けられた方には心よりお見舞い申し上げます。というわけで、きょうは“エーラーワン”に関連して、この1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ラオス・インドラ

 これは、1974年にラオスで発行されたインドラの切手です。本来であれば、タイの切手を持ってきたかったのですが、適当なモノが思い浮かばなかったのと、現在の国名でいうタイとラオスの地域は伝統的な文化・宗教という面ではほぼ一体化していますので、今回はご容赦ください。

 インドラは古代インド神話の最強の神で、馬車または白象に乗り、金剛杵を持って大地に雨を降らせ、恵みを与えるとされています。仏教へは“帝釈天”として取り込まれ、釈迦の修業時代から彼を助け、その説法を聴聞しました。ちなみに、現在のラッタナコーシン王朝を開いたラーマ1世は、1784年、王都バンコクの建設にあたって、インドラの降臨を仰いだとされており、それゆえ、バンコクの正式名称ではインドラの名前も登場しています。

 今回の事件現場の名前である“エーラーワン(サンスクリットではアイラーヴァタ)は、インドラの乗物とされる白い象のことで、神話では、冥界まで鼻を伸ばし、吸い上げた水を空に向けて吹き上げて雲を作り、インドラがそれを雨へと変えるとされています。タイやラオスなど東南アジアでは、今回ご紹介の切手にみられるように、3首の姿で描かれるのが一般的です。

 ところで、少しややこしいのですが、事件現場となっている“エーラーワン廟”は、旧エーラーワン・ホテル(現グランド・ハイアット・エラワン・バンコク)前に建てられたことからこの名がつけられましたが、廟の祭神はインドラではなく、ヒンドゥーの最高神とされるブラフマー(プラ・プロム)です。ブラフマーの乗物は象ではなく、水鳥ハンサですから、廟の中の像もエーラーワンには乗っていません。

 廟は、1953年に着工したエラワンホテルの建設工事に際して、当初、事故が多発したため、占星術に通じた海軍少将ルワン・スウィチャーンペートの勧めにより、敷地内に建立されたもので、以後、工事は順調に進み、無事、ホテルは開業にこぎつけました。このことから、エーラーワン廟のブラフマー像は「願い事がかなう神様」として、日々、多くの参拝者を集める場所となってきました。

 報道された画像を見る限り、ご本尊の像そのものには大きな打撃はなかったようですが、そういう場所に爆弾を仕掛けるなんて、何とも罰当たりな話です。犯人一味には厳しい神罰が下り、一日も早く、善男善女が集う、エーラーワン廟本来の姿に戻ってほしいものですな。

 なお、古代インドの神々と仏教の関係については、拙著『切手が伝える仏像』でもいろいろと解説しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。

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