内藤陽介 Yosuke NAITO
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 抗美援朝を忘れたか
2015-08-27 Thu 18:27
 韓国大統領府は、きのう(26日)、9月3日に北京で開催予定の“抗日戦争勝利70周年”の軍事パレードに、日本や欧米の主要国が首脳級の参列を見送る中、朴槿恵大統領が出席すると発表しました。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      抗美援朝カバー

 これは、1953年10月30日、満洲里から海拉爾宛に差し出された中国の国内便で“抗美援朝”のスローガンの入った封筒が使われています。すでに、同年7月27日には朝鮮戦争の休戦が成立していましたが、それ以前に作られていた封筒が余っていたため、休戦後もそのまま使用されたということなのでしょう。

 1950年6月25日、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の南侵によって始まった朝鮮戦争は、当初、奇襲攻撃の利を活かした朝鮮人民軍が優勢でしたが、同年9月の仁川上陸作戦により形成は逆転。韓国・国連軍は38度線を越えて北進し、北朝鮮は国家壊滅の危機にさらされます。このため、同年10月、中国は「唇滅べば歯寒し」として北朝鮮を支えるための“人民志願軍”を派遣しました。その際、中国国内で盛んに強調されたスローガンが、今回のカバーにもある“抗美援朝(米国に抵抗して挑戦を支援する)”です。

 ゲリラ戦に秀でていた中国側は人海戦術を展開し、銅鑼を鳴らし、ラッパを吹いて、歓声を上げながら波状攻撃を繰り返して国連軍を包囲分断。中国の参戦を予期していなかった国連軍は総崩れとなり、2週間ほどの間に、38度線以南まで後退し、計3万6000名もの損害が発生しました。さらに、12月31日、中国側は正月攻勢を発動。このため、韓国・国連軍は再び後退を余儀なくされ、翌1951年1月4日にはソウルを放棄し、平沢=丹陽=三陟を結ぶラインまで撤退を余儀なくされました。

 もっとも、作戦区域を急激に拡大したことで中国の補給も伸びきり、1951年2月、国連軍は中国・北朝鮮軍の撃退に成功。以後、攻勢に転じ、3月15日にはソウルの再奪還に成功し、月末までに38度線以南の要地を確保します。

 以後、戦況は38度線を挟んで一進一退の膠着状態に陥りますが、1953年7月27日の休戦協定成立までに、中国・北朝鮮側は、約39万の米軍兵士、66万の韓国軍兵士、2万9000の国連軍兵士を戦場から“抹消”したとされています。

 さて、朝鮮戦争は1953年に休戦協定が成立したものの、現在なお、南北朝鮮の両国間ならびに米朝間の平和条約は締結されておらず、戦争状態が継続しています。

 今回の大統領の軍事パレード出席について、韓国政府は「今回の軍事パレードと朝鮮戦争は無関係」としたうえで「抗日で共に戦った歴史」を強調していますが、韓国政府が自らの原点であるとしている大韓民国臨時政府を支援していたのは中国共産党ではなく、蔣介石の国民党政府ですから、そういうことであれば、何よりもまず、朴槿恵大統領は7月4日に台湾・新竹県の陸軍基地内で行われた“抗日戦争勝利70周年”の軍事パレードに出席しなければならなかったはずです。また、70年前に終了した日本統治時代の“被害”を決して忘れていないというのであれば、その後に起こった中国による直接的な武力による侵略も、当然、未来永劫、韓国人は語り継いでいくというのでなければ、筋が通りません。

 『朝鮮戦争』の著者である僕としては、今回の大統領の軍事パレード出席は、現在の韓国政府の歴史認識がどうこうという以前に、朝鮮戦争で韓国のために戦い、全体主義国家の侵略から自由主義世界を守るために犠牲となった世界各国の英霊の方々を、韓国の大統領が自ら足蹴にするような振る舞いのように見えてしまい、何とも暗澹たる思いになりますな。


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