内藤陽介 Yosuke NAITO
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 レーニン像復活の物語
2015-09-11 Fri 22:05
 ドイツ統一後の1991年にベルリン近郊の森に埋められていたレーニン像の頭部が掘り起こされ、市内の博物館で展示されることになったそうです。というわけで、きょうはこんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      アイスレーベンのレーニン像(縦型)

 これは、1960年に東ドイツで発行された“アイスレーベンのレーニン像”の切手です。

 東西冷戦の時代、東側諸国の各地にはおびただしい数のレーニン像が立てられていましたが、それらのレーニン像にはさまざまなバリエーションがあります。そのうち、レーニンのトレードマークともいうべき禿頭を露出しておらず、スーツにレーニン・キャップをかぶり、右手をズボンのポケットに突っ込み、左手でジャケットの襟をつかんでいるタイプは、1927年に彫刻家のマニザーが原型をつくったモノです。

 さて、第二次大戦中の1943年、レニングラード近郊のプシュキノはドイツ軍の占領下に置かれており、ドイツの占領当局は、この地にあったマニザー・タイプの像を鋳つぶそうとします。これを察知したアイスレーベン出身のドイツ人が、像をひそかに隠し、ドイツ敗戦まで保管していました。ちなみに、アイスレーベンは、旧東ドイツ地域のザクセン=アンハルト州の郡の一つで、マルティン・ルターの生誕の地にして終焉の地であったことにちなんで、1946年、ルター生誕400年を機に“ルターシュタット”の称号を与えられました。
 
 1945年7月2日、ソ連赤軍がアイスレーベンに進駐すると、この地の共産主義者は赤軍を歓迎して記念碑建立の計画を発表。これを受けて、アイスレーベンの出身者によるプシュキノでの“英雄的行為”がクローズアップされ、ソ連は“感謝のしるし”としてプシュキノにあった像と同型の、マニザー・タイプのレーニン像をアイスレーベンに贈りました。この答礼として、1949年に発足した東ドイツ政府は、プシュキノにドイツ共産党の党首だったテールマンの像を贈っています。

 こうしたことから、アイスレーベンの像は、“アイスレーベンのレーニン”で反ナチスのレジスタンスと東独=ソ連友好の象徴とされ、東ドイツの切手にも取り上げられたというわけです。まぁ、今回とは事情が異なりますが、これもまた、レーニン像復活の物語の一つといえましょうか。ちなみに、アイスレーベンのレーニンは東ドイツに設置された最初のレーニン像ということもあり、現在はベルリンの歴史博物館の収蔵品となっています。

 さて、今回、掘り起こされるレーニン像は、もともと1970年に設置されたものですが、1991年、130個に分解したうえで、これまで埋められていました。当局者の話によると、今回掘り起こされるのは頭部のみで、その他の部分は、今後も埋めたままになるそうです。まぁ、レーニンの一般的な漢字表記は列寧ですから、博物館の展示も仏頭ならぬ列頭ということになるのでしょうが、この字面だと、レーニンの頭部だけがずらっと並んだ風景が連想されて、ちょっと不気味ですな。


 ★★★ 講座「アウシュヴィッツの手紙」(10月16日)のご案内 ★★★ 

     ポーランド・アウシュヴィッツ解放30年   アウシュヴィッツの労務風景

 10月16日19:00~20:30、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、「アウシュヴィッツの手紙」と題する講座を行います。

 第二次大戦中、ポーランド南部のアウシュヴィッツ(ポーランド語名・オシフィエンチム)は、ナチス・ドイツの強制収容所が置かれ、ユダヤ人を中心に150万人以上が犠牲となった悲劇の地として知られています。今回の講座では、収容者の手紙を中心に、第二次大戦以前の状況を物語る郵便物・絵葉書、アウシュヴィッツを題材とした戦後の切手などもご紹介しつつ、さまざまな角度からアウシュヴィッツを考えてみたいと思います。

 申込方法など詳細は、こちらをご覧ください。(画像は、ポーランドが発行したアウシュヴィッツ解放30周年の記念切手、右側は収容者による労務風景を取り上げた戦後作成の絵葉書です) 

 
 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 10月から毎月1回(原則第1火曜日:10月6日、11月 3日、12月1日、1月5日、2月2日、3月1日)、よみうりカルチャー荻窪(読売・日本テレビ文化センター、TEL 03-3392-8891)で下記の一般向けの教養講座を担当します。(下の青い文字をクリックしていただくと、よみうりカルチャーのサイトに飛びます)

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 初回開催は10月6日で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『日の本切手 美女かるた』  好評発売中! ★★★ 

        税込2160円

 4月8日付の『夕刊フジ』に書評が掲載されました!

 【出版元より】
 “日の本”の切手は美女揃い!
  ページをめくれば日本切手48人の美女たちがお目見え!
 <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。

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