内藤陽介 Yosuke NAITO
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 河内憲兵隊検閲済のカバー
2015-09-15 Tue 23:11
 ヴェトナム最高指導者のグエン・フー・チョン共産党書記長が、きょう(15日)来日し、安倍首相と会談して、中国が南シナ海で岩礁を埋め立て、軍事拠点化を進めていることについて、「深刻な懸念を表明する」などとした共同ビジョン声明を発表しました。というわけで、ハノイから訪日の書記長に敬意を表して、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      河内憲兵隊検閲済カバー

 これは、第二次大戦中の1942年12月、フランス領インドシナ(仏印)のハノイから名古屋宛に差し出されたカバーで、現地で日本軍の憲兵隊による開封・検閲を受けています。カバーの左側には角型の“河内憲兵隊 検閲済”の印が、裏面には円型の“河内憲兵隊 検閲済”の印(下の画像です)が、それぞれ押されています。念のために申し上げておくと、ここでの河内はハノイのことです。

       河内憲兵隊検閲印(円形)

 第二次欧州大戦勃発後の1940年6月14日、ドイツ軍はパリに入城。同22日、フランスは降伏します。これにより、フランス北部と大西洋沿岸はドイツによって占領され、フランス南部は、親独ヴィシー政府が管轄することになりました。

 この結果、現在のヴェトナム・ラオス・カンボジアに相当する仏印は、いわば主なき状態に放り出されます。そして、この機に乗じて、日本はヴィシー政府に圧力をかけ、8月30日、フランスのアンリ大使との交渉で、北部仏印に関する協定をまとめることに成功しました。

 この協定に基づき、日本側は、極東におけるフランスの権益とインドシナの領土保全を認めた上で、ハノイ経由での援蒋物資の輸送を停止するため、9月23日、北部仏印に進駐し、ここを事実上の軍事占領下に置きます。

 今回ご紹介のカバーは、このカバーは、太平洋戦争勃発後の1942年12月に東洋綿花株式会社(現トーメン)のハノイ支店が差し出したものですが、上述のように、この地域の主権は日本軍の進駐後もフランス側にあったため、仏印当局の発行した切手が貼られ、フランス側の消印で抹消されています。その一方で、カバーはハノイ駐留の日本軍憲兵隊によって開封・検閲されており、フランス側がこの地域の主権を維持していたとはいっても、実際には、相当程度、日本軍の統制下に置かれていたという状況を見て取ることができます。

 なお、その後も、仏印は日本に対して好意的な中立を保つという状況が戦争末期まで続いていましたが、戦争末期になって、東南アジア各地からの撤退を余儀なくされた日本軍は、日本本土と中国戦線の交通が途絶することを恐れ、1945年3月、“明号作戦”を発動し、フランス植民地政府を武力によって解体。ヴェトナムラオスカンボジアに旧王族を担いだ親日政府を樹立しました。

 しかし、ほどなくして、1945年8月に日本軍が降伏すると、これらの地域では、独立を主張する現地の人々と、植民地支配を再開しようとするフランス当局の間で(第一次)インドシナ戦争が勃発することになります。

 
 ★★★ 講座「アウシュヴィッツの手紙」(10月16日)のご案内 ★★★ 

     ポーランド・アウシュヴィッツ解放30年   アウシュヴィッツの労務風景

 10月16日19:00~20:30、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、「アウシュヴィッツの手紙」と題する講座を行います。

 第二次大戦中、ポーランド南部のアウシュヴィッツ(ポーランド語名・オシフィエンチム)は、ナチス・ドイツの強制収容所が置かれ、ユダヤ人を中心に150万人以上が犠牲となった悲劇の地として知られています。今回の講座では、収容者の手紙を中心に、第二次大戦以前の状況を物語る郵便物・絵葉書、アウシュヴィッツを題材とした戦後の切手などもご紹介しつつ、さまざまな角度からアウシュヴィッツを考えてみたいと思います。

 申込方法など詳細は、こちらをご覧ください。(画像は、ポーランドが発行したアウシュヴィッツ解放30周年の記念切手、右側は収容者による労務風景を取り上げた戦後作成の絵葉書です) 

 
 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 10月から毎月1回(原則第1火曜日:10月6日、11月 3日、12月1日、1月5日、2月2日、3月1日)、よみうりカルチャー荻窪(読売・日本テレビ文化センター、TEL 03-3392-8891)で下記の一般向けの教養講座を担当します。(下の青い文字をクリックしていただくと、よみうりカルチャーのサイトに飛びます)

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 初回開催は10月6日で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『日の本切手 美女かるた』  好評発売中! ★★★ 

        税込2160円

 4月8日付の『夕刊フジ』に書評が掲載されました!

 【出版元より】
 “日の本”の切手は美女揃い!
  ページをめくれば日本切手48人の美女たちがお目見え!
 <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。

 出版元のサイトはこちら、内容のサンプルはこちらでご覧になれます。ネット書店でのご購入は、アマゾンboox storee-honhontoYASASIA紀伊國屋書店セブンネットブックサービス丸善&ジュンク堂ヨドバシcom.楽天ブックスをご利用ください。


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