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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 世界の国々:タジキスタン
2015-09-16 Wed 12:23
 アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2015年9月16日号が先週刊行されました。2週間ぶりに、僕が担当したメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回はタジキスタンの特集です。その記事の中から、この1点をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      ゴルノ・バダフシャン自治州カバー

 これは、タジキスタン内戦中の1993年、ゴルノ・バダフシャン自治州から差し出されたカバーです。

 旧ソ連時代のタジク・ソヴィエト社会主義共和国では、ホジェンド(北西部ソグド州の州都)地方やクリャーブ(南部ハトロン州の東部)地方の出身者が政府と軍の要職を占めており、ゴルノ・バダフシャン自治州のパミール人やガルム地方の民族集団、イスラム勢力などは不遇をかこっていましたが、共産党一党独裁の下、彼らの不満は抑え込まれていました。

 ところが、1991年9月の独立後、タジキスタンでは民族対立が一挙に噴き出し、1992年春、イスラム勢力やパミール人、ガルム人などによるナビエフ政権への抗議行動が発生。5月には、政府側の警備兵と反政府勢力の間で戦闘が勃発し、いわゆるタジキスタン内戦に突入します。

 反政府勢力の攻撃を受け、1992年9月、ナビエフが退陣に追い込まれると、事態を憂慮したロシアとウズベキスタンはホジェンド派とクリャーブ派からなる人民戦線を軍事支援。人民戦線は1992年末に反政府勢力を圧倒し、クリャーブ出身のエマモリ・ラフモノフを最高会議議長とする新政権を樹立しました。

 こうした状況の下で、ゴルノ・バダフシャン自治州南部など反政府勢力が実行支配していた地域では、ドゥシャンベの中央政府の発行した切手とは別の切手が使用されることもありました。今回ご紹介の書留便は、アフガニスタンとの国境に位置する州都ホログから差し出されたもので、反政府側の正刷切手とドゥシャンベ政府側の切手にアラビア文字の額面を加刷した暫定切手を貼ってロシア宛に差し出されています。内戦期の反政府勢力が発行したとする“切手”は多いのですが、その実逓使用例は意外と少ないので、個人的にはお気に入りのマテリアルです。

 さて、ラフモノフ政権は反政府勢力の民族浄化を行うなど強硬姿勢で臨み、1993年3月頃までに、国土の大半を掌握。ただし、大量の難民がアフガニスタンに流入し、タジク野党連合(UTO)を結成し、タジキスタン南部での抵抗を続けました。

 その後、1994年4月以降、国連・ロシア・イランの3者の仲介により、モスクワでラフモノフ政権とUTOの仲介に和平交渉がはじまり、交渉の進展を受けて、同年11月6日、憲法改正が行われ、ラフモノフは正式にタジキスタン共和国大統領に就任。さらに、同年12月16日、国連タジク監視団が創設され、停戦状況の監視と状況の報告、人道支援協力、CIS平和維持軍の協力による警備などを行った。こうした経緯を経て、1997年6月27日、和平協定が成立し、タジキスタン内戦はとりあえず終結しました。

 さて、 『世界の切手コレクション』9月16日号の「世界の国々」では、タジキスタン現代史を扱った長文コラムのほか、アジナ・テパ遺跡の仏教寺院で発掘された涅槃仏や高山植物、ノウルーズの祝祭の切手などもご紹介しております。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧いただけると幸いです。

 なお、本日発売の9月23日号では、「世界の国々」は日本にフォーカスをあて、僕が原稿を書いていますが、こちらについては、来週、このブログでもご紹介する予定です。


 ★★★ 講座「アウシュヴィッツの手紙」(10月16日)のご案内 ★★★ 

     ポーランド・アウシュヴィッツ解放30年   アウシュヴィッツの労務風景

 10月16日19:00~20:30、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、「アウシュヴィッツの手紙」と題する講座を行います。

 第二次大戦中、ポーランド南部のアウシュヴィッツ(ポーランド語名・オシフィエンチム)は、ナチス・ドイツの強制収容所が置かれ、ユダヤ人を中心に150万人以上が犠牲となった悲劇の地として知られています。今回の講座では、収容者の手紙を中心に、第二次大戦以前の状況を物語る郵便物・絵葉書、アウシュヴィッツを題材とした戦後の切手などもご紹介しつつ、さまざまな角度からアウシュヴィッツを考えてみたいと思います。

 申込方法など詳細は、こちらをご覧ください。(画像は、ポーランドが発行したアウシュヴィッツ解放30周年の記念切手、右側は収容者による労務風景を取り上げた戦後作成の絵葉書です) 

 
 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 10月から毎月1回(原則第1火曜日:10月6日、11月 3日、12月1日、1月5日、2月2日、3月1日)、よみうりカルチャー荻窪(読売・日本テレビ文化センター、TEL 03-3392-8891)で下記の一般向けの教養講座を担当します。(下の青い文字をクリックしていただくと、よみうりカルチャーのサイトに飛びます)

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 初回開催は10月6日で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『日の本切手 美女かるた』  好評発売中! ★★★ 

        税込2160円

 4月8日付の『夕刊フジ』に書評が掲載されました!

 【出版元より】
 “日の本”の切手は美女揃い!
  ページをめくれば日本切手48人の美女たちがお目見え!
 <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。

 出版元のサイトはこちら、内容のサンプルはこちらでご覧になれます。ネット書店でのご購入は、アマゾンboox storee-honhontoYASASIA紀伊國屋書店セブンネットブックサービス丸善&ジュンク堂ヨドバシcom.楽天ブックスをご利用ください。


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