内藤陽介 Yosuke NAITO
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 世界の国々:日本
2015-09-23 Wed 11:00
 アシェット・コレクションズ・ジャパンの週刊『世界の切手コレクション』2015年9月23日号が先週刊行されました。僕が担当したメイン特集「世界の国々」のコーナーは、今回は日本の特集です。その記事の中から、この1点をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      ルーマニア・雪舟

 これは、1956年にルーマニアが発行した「世界十大文化人」の切手のうち、雪舟を取り上げた1枚です。この切手と、ソ連で同時に同趣旨で発行された雪舟の切手が、個人名が特定できるかたちで日本人が外国の切手に取り上げられた最初の例となります。

 室町時代の画僧、雪舟は、1402年、備中国赤浜(現岡山県総社市赤浜)生まれ。幼年期に井山宝福寺で修行していた際の、涙でネズミを描いたエピソードは有名です。

 その後、京都の相国寺で禅と絵の修行を重ね、1467年、遣明使に随行して明国に渡り水墨画を学びました。このとき、現地の巨刹「天童山景徳寺」にて第一座という高位(ただし、これは遠路はるばるやってきた外国僧への儀礼的なもの)を授けられ、明国政庁からも礼部院中堂の壁画を依頼されています。

 1469年に帰国した後は、豊後国府内(現大分県大分市)に画房・天開図画廊を開いたほか、諸国を旅し、各地に画跡を残しましたが、1486年以降は山口の雲谷庵に留まり、多数の名作を残しました。遺作のうち「秋冬景山水図」「破墨山水図」「天橋立図」「山水長巻」「山水図」などが国宝に指定されているほか、重要文化財も12件あります。

 切手の題材となった世界十大文化人とは、1955年、“世界平和会議”によって選ばれたもので、雪舟の他には、ベンジャミン・フランクリン(アメリカの政治家・科学者。独立宣言起草委員の一人で、避雷針の発明者としても有名)、モーツァルト(音楽家)、ドストエフスキー(作家)、ハインリッヒ・ハイネ(詩人)、ピエール・キューリー(科学者)、ヘンリク・イプセン(劇作家)、レンブラント(画家)、バーナード・ショウ(作家)、カーリダーサ(古代インドの詩人)、です。

 雪舟は、水墨画の最高峰の画家であり、画聖とも呼ばれているくらいですから、世界十大文化人の一人に取り上げられても、それ自体はなんら不思議ではありません。ただし、世界十大文化人を選んだ世界平和会議が、東西冷戦が激化していった1949年に、“恒久平和の確保”をスローガンとして、全世界の左翼勢力によって設立された団体であることを考えると、選考にあたって、雪舟が中国大陸(当時、日本は大陸の共産党政権とは国交がなかった)と関係の深い画家であったことも考慮されたと考えるのが妥当でしょう。

 なお、切手に取り上げられた肖像は雪舟71歳の自画像の写しです。烏沙帽(中国の僧がかぶる帽子)をかぶっており、雪舟本人は、この作品により、自らが入明画家であることを誇示する意図をもっていたことがうかがえます。

 さて、 『世界の切手コレクション』9月23日号の「世界の国々」では、日本の建国神話伊勢神宮を扱った長文コラムのほか、ショートコラムでは、日本を題材としたまともな外国切手の特集として、今回ご紹介の切手のほか(以下、カッコ内は発行国)、トヨタ・カローラ(ニュージーランド)、広隆寺弥勒菩薩(韓国)、富士山(スイス)、東京タワー(インド)日露戦争(ロシア)寿司(香港)ソメイヨシノ(米国)の切手をご紹介しています。機会がありましたら、ぜひ、書店などで実物を手に取ってご覧いただけると幸いです。

 なお、本日発売の9月30日号では「世界の国々」は南アフリカにフォーカスをあて、僕が原稿を書いていますが、こちらについては、来週、このブログでもご紹介する予定です。


 ★★★ トークイベント「切手に見る美女たち」のご案内 ★★★ 

 10月8日(木) 18:30-20:30 東京・飯田橋の東京ボランティアセンター(JR飯田橋駅横・ラムラ・セントラルプラザ10階)で、日本ガルテン協会主催のリレー講座に内藤が登場。『日の本切手 美女かるた』の著者として「切手に見る美女たち」と題するトークを行います。

 参加費は、ガルテン協会会員の方2000円(一般3000円)で、お茶とお菓子がつきます。詳細は、NPO日本ガルテン協会(講座担当宛・電話 03‐3377-1477)までお問い合わせください。皆様のご参加をお待ちしております。  

 ★★★ 講座「アウシュヴィッツの手紙」(10月16日)のご案内 ★★★ 

     ポーランド・アウシュヴィッツ解放30年   アウシュヴィッツの労務風景

 10月16日(金) 19:00~20:30、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、「アウシュヴィッツの手紙」と題する講座を行います。

 第二次大戦中、ポーランド南部のアウシュヴィッツ(ポーランド語名・オシフィエンチム)は、ナチス・ドイツの強制収容所が置かれ、ユダヤ人を中心に150万人以上が犠牲となった悲劇の地として知られています。今回の講座では、収容者の手紙を中心に、第二次大戦以前の状況を物語る郵便物・絵葉書、アウシュヴィッツを題材とした戦後の切手などもご紹介しつつ、さまざまな角度からアウシュヴィッツを考えてみたいと思います。

 申込方法など詳細は、こちらをご覧ください。(画像は、ポーランドが発行したアウシュヴィッツ解放30周年の記念切手、右側は収容者による労務風景を取り上げた戦後作成の絵葉書です) 皆様のご参加をお待ちしております。

 
 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 10月から毎月1回(原則第1火曜日:10月6日、11月 3日、12月1日、1月5日、2月2日、3月1日)、よみうりカルチャー荻窪(読売・日本テレビ文化センター、TEL 03-3392-8891)で下記の一般向けの教養講座を担当します。(下の青い文字をクリックしていただくと、よみうりカルチャーのサイトに飛びます)

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 初回開催は10月6日で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『日の本切手 美女かるた』  好評発売中! ★★★ 

        税込2160円

 4月8日付の『夕刊フジ』に書評が掲載されました!

 【出版元より】
 “日の本”の切手は美女揃い!
  ページをめくれば日本切手48人の美女たちがお目見え!
 <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。

 出版元のサイトはこちら、内容のサンプルはこちらでご覧になれます。ネット書店でのご購入は、アマゾンboox storee-honhontoYASASIA紀伊國屋書店セブンネットブックサービス丸善&ジュンク堂ヨドバシcom.楽天ブックスをご利用ください。


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