内藤陽介 Yosuke NAITO
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 月明かりに照らされた美女
2015-09-27 Sun 23:18
 きょう(27日)は中秋節です。というわけで、現時点での僕の最新作『日の本切手 美女かるた』の中から、“月”にまつわる切手ということで、この1枚を取り上げました。(画像はクリックで拡大されます)

      橋姫

 これは、2008年に発行された“『源氏物語』一千年紀”のシートのうち、『源氏物語絵巻』の「橋姫」を取り上げた1枚です。

 光源氏の異母弟・八の宮は、かつては冷泉院の次の春宮(皇太子)候補でしたが、その話は立ち消えになり、本人には何の非もないのに、世間から疎まれる存在になっていました。また、彼には大君と中の君の2人の娘がいましたが、妻は中の君を産んですぐに死亡。俗世に関心を失った八の宮は出家を考えたものの、幼い娘を育てなければなりません。次第に家臣も去り、生活も不如意になっていく中で、彼は娘を育てながら、仏道の勤行に励んでいました。

 その後、八の宮の邸宅は火事で焼けてしまい、一家はやむなく宇治の山荘に移り住みますが、都を離れたことで、ますます世の中からは忘れられていきました。

 一方、宇治には八の宮と交流のある阿闍梨がいました。阿闍梨は冷泉院にも進講しており、折に触れ宇治の様子を院に話していました。院のそばで控える薫(光源氏の正妻・女三の宮と柏木の不義の子)は、そこから八の宮のことを知り、興味を持ちます。

 阿闍梨の仲介を経て、宇治に赴き八の宮に会った薫は、その人徳にすっかり感服し、以後、宇治へと通うようになりました。

 それから3年後のある秋の日、薫が八の宮の山荘に近づくと、箏と琵琶の優美な演奏が聞こえてきました。

 屋敷の者に尋ねると、そもそも、八の宮は2人の娘がいることを公にはしておらず、客人があるときは彼女たちも楽器を弾かないが、誰もいないときには、このように演奏を楽しんでいるとのこと。興味を惹かれた薫は、しばらく物陰に潜んで姉妹の演奏を聴いていましたが、その顔は良く見えません。そこへ、月明かりが射し込み、中の君が「扇ならで、これしても、月は招きつべかりけり(扇でなくて、いま手にしている琵琶の撥でも月を招きよせていいのね)」といいます。『和漢朗詠集』にある「月重山に隠れぬれば、扇をあげて之を喩ふ」を踏まえた物言いです。

 今回ご紹介の切手はこの場面を取り上げたもので、オリジナルの絵巻物では画面の右側に薫の姿が描かれていますが、切手ではトリミングでカットされています。

 月明かりに照らされた中の君の顔は「いみじくらうたげに 匂ひやかなるべし(たいそう可愛らしくつやつやしているのであろう)」、大君の顔は「今少し重りかによしづきたり(中の君よりももう少し落ち着いて優雅な感じがした)」。こうして、田舎に埋もれさせておくには惜しい風情の姉妹に、薫は心惹かれていくことになります。


 ★★★ トークイベント「切手に見る美女たち」のご案内 ★★★ 

 10月8日(木) 18:30-20:30 東京・飯田橋の東京ボランティアセンター(JR飯田橋駅横・ラムラ・セントラルプラザ10階)で、日本ガルテン協会主催のリレー講座に内藤が登場。『日の本切手 美女かるた』の著者として「切手に見る美女たち」と題するトークを行います。

 参加費は、ガルテン協会会員の方2000円(一般3000円)で、お茶とお菓子がつきます。詳細はこちらをご覧いただくか、NPO日本ガルテン協会(講座担当宛・電話 03‐3377-1477)までお問い合わせください。皆様のご参加をお待ちしております。  

 ★★★ 講座「アウシュヴィッツの手紙」(10月16日)のご案内 ★★★ 

     ポーランド・アウシュヴィッツ解放30年   アウシュヴィッツの労務風景

 10月16日(金) 19:00~20:30、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、「アウシュヴィッツの手紙」と題する講座を行います。

 第二次大戦中、ポーランド南部のアウシュヴィッツ(ポーランド語名・オシフィエンチム)は、ナチス・ドイツの強制収容所が置かれ、ユダヤ人を中心に150万人以上が犠牲となった悲劇の地として知られています。今回の講座では、収容者の手紙を中心に、第二次大戦以前の状況を物語る郵便物・絵葉書、アウシュヴィッツを題材とした戦後の切手などもご紹介しつつ、さまざまな角度からアウシュヴィッツを考えてみたいと思います。

 申込方法など詳細は、こちらをご覧ください。(画像は、ポーランドが発行したアウシュヴィッツ解放30周年の記念切手、右側は収容者による労務風景を取り上げた戦後作成の絵葉書です) 皆様のご参加をお待ちしております。

 
 ★★★ よみうりカルチャー荻窪の講座のご案内 ★★★

 10月から毎月1回(原則第1火曜日:10月6日、11月 3日、12月1日、1月5日、2月2日、3月1日)、よみうりカルチャー荻窪(読売・日本テレビ文化センター、TEL 03-3392-8891)で下記の一般向けの教養講座を担当します。(下の青い文字をクリックしていただくと、よみうりカルチャーのサイトに飛びます)

 ・イスラム世界を知る 時間は15:30-17:00です。

 初回開催は10月6日で、途中参加やお試し見学も可能ですので、ぜひ、お気軽に遊びに来てください。


 ★★★ 内藤陽介の最新刊  『日の本切手 美女かるた』  好評発売中! ★★★ 

        税込2160円

 4月8日付の『夕刊フジ』に書評が掲載されました!

 【出版元より】
 “日の本”の切手は美女揃い!
  ページをめくれば日本切手48人の美女たちがお目見え!
 <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。

 出版元のサイトはこちら、内容のサンプルはこちらでご覧になれます。ネット書店でのご購入は、アマゾンboox storee-honhontoYASASIA紀伊國屋書店セブンネットブックサービス丸善&ジュンク堂ヨドバシcom.楽天ブックスをご利用ください。


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