内藤陽介 Yosuke NAITO
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 体育の日
2015-10-12 Mon 16:44
 きょう(12日)は“体育の日”です。というわけで、スポーツ切手の中から、この1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      イスラエル・第3回マカビア競技大会

 これは、1950年にイスラエルが発行した第3回マカビア競技大会の記念切手です。

 20世紀初頭ユダヤ人が“国家なき民族”とされていた時代、世界各国のユダヤ人はそれぞれの居住国の代表としてオリンピックに参加していました。こうした中で、ロシアからオスマン帝国支配下のパレスチナに移住したヨゼフ・イェクティエリは、1912年のストックホルム五輪についてのパンフレットを見て、少なからぬユダヤ系アスリートがメダルを獲得していることに感銘を受け、ユダヤ人だけで国際スポーツ大会が開催できないかと考えました。

 その後、第一次大戦を経て英委任統治領パレスチナ(以下、英領パレスチナ)が発足すると、イェクティエリはユダヤ人の国際スポーツ大会の開催に向けて本格的な活動を開始します。シオニストだったイェクティエリは、当初、パレスチナがユダヤ人の“民族的郷土”であることを広く世界に印象付けるためにも、第1回のユダヤ国際スポーツ大会は、西暦129年に起きたバル・コクバの乱(ローマ帝国支配に対しておきたユダヤ属州での反乱で、以後、135年までユダヤ側はエルサレムの支配を回復しました)から1800年にあたる1929年の開催を目指していました。

 しかし、英領パレスチナ当局は、パレスチナへのユダヤ系移民の急増が在地のアラブ系住民との摩擦を引き起こし、社会状況を不安定にしている中で、シオニズムの政治宣伝臭が強い大会の開催はアラブ系住民を不必要に刺激するとして難色を示し、イェクティエリの計画をなかなか承認しませんでした。結局、1931年、親シオニストのアーサー・フォーカプが英国のパレスチナ駐在高等弁務官に任命され、ようやく、計画は承認され、1932年3月に第1回大会が開催されました。ちなみに、競技大会の冠となっている“マカビア”は、紀元前2世紀、シリアの支配下にあったユダヤの独立を達成するマカバイ戦争を指導したユダヤの英雄として旧約聖書外典の『マカバイ記』に登場するユダ・マカバイにちなむものです。

 第1回マカビア競技大会の成功で手ごたえをつかんだイェクティエリは、翌1933年、(英領)パレスチナ・オリンピック委員会を組織。同委員会は、当初、1936年のベルリン五輪に参加する予定でしたが、同年1月にドイツで発足したヒトラー政権の下で、英領パレスチナのユダヤ系選手の五輪参加は拒否されてしまいます。このため、イェクティエリらは、急遽、ユダヤ系アスリートのための代替措置として、テルアビブで第2回マカビア競技大会を開催することを決定。1935年4月、第2回大会が開催されました。

 この先例に倣い、3年後の1938年に第3回大会を開催することが計画されましたが、英領パレスチナ当局は、ナチス・ドイツによるユダヤ人迫害を逃れてパレスチナに流入するユダヤ人が急増し、当局としては移住制限に躍起になっている中で、第3回大会を開催すれば、相当数のユダヤ系不法移民が流入することをおそれ、大会の開催を認めませんでした。

 その後、1939-45年の第二次大戦、1948-49年の第一次中東戦争のため、第3回大会の開催は延び延びになり、1950年になってようやく開催されました。今回ご紹介の切手は、この時の第3回大会の開催に合わせて発行されたもので、1948年に建国宣言したイスラエル国家としては、最初のマカビア競技大会の記念切手となります。


 ★★★ 講座「アウシュヴィッツの手紙」(10月16日)のご案内 ★★★ 

     ポーランド・アウシュヴィッツ解放30年   アウシュヴィッツの労務風景

 10月16日(金) 19:00~20:30、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、「アウシュヴィッツの手紙」と題する講座を行います。

 第二次大戦中、ポーランド南部のアウシュヴィッツ(ポーランド語名・オシフィエンチム)は、ナチス・ドイツの強制収容所が置かれ、ユダヤ人を中心に150万人以上が犠牲となった悲劇の地として知られています。今回の講座では、収容者の手紙を中心に、第二次大戦以前の状況を物語る郵便物・絵葉書、アウシュヴィッツを題材とした戦後の切手などもご紹介しつつ、さまざまな角度からアウシュヴィッツを考えてみたいと思います。

 申込方法など詳細は、こちらをご覧ください。(画像は、ポーランドが発行したアウシュヴィッツ解放30周年の記念切手、右側は収容者による労務風景を取り上げた戦後作成の絵葉書です) 皆様のご参加をお待ちしております。


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        税込2160円

 4月8日付の『夕刊フジ』に書評が掲載されました!

 【出版元より】
 “日の本”の切手は美女揃い!
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 <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。

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