内藤陽介 Yosuke NAITO
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 講座「アウシュヴィッツの手紙」 本日開催!
2015-10-16 Fri 00:54
 かねてご案内の通り、本日(16日)19時より、愛知県名古屋市の栄中日文化センターで、「アウシュヴィッツの手紙」と題する講座を行います。 というわけで、きょうは、その予告編を兼ねて、いままで告知用の案内文に掲載してきた切手について、簡単にご説明します。

      ポーランド・アウシュヴィッツ解放30年

 これは、1975年にポーランドが発行した“アウシュヴィッツ(ポーランド語名はオシフィエンチム)解放25周年”の記念切手で、収容者に支給されていた縦縞の服装を背景に、解放を意味する敗れた鉄条網と1945(年)の文字が描かれています。

 ヨーロッパ各地から移送されてきた収容者たちは、アウシュヴィッツ駅の仮設降車場(1944年5月以降は、収容所の門前まで延伸された引き込み線の降車場)で家族離れ離れにされ、13歳以上の男性、女性(の大半)と13歳以下の子供、老人に分けられました。

 収容所の敷地内に入ると、前者のグループは、衣服と靴を脱ぐように命じられ、全身の毛を剃られて冷水のシャワーを浴びた後、収容者番号の刺青を腕に刻み込まれます。そして、デニム生地の縦縞の囚人服を与えられ、胸に逆三角形の標章と収容者番号を縫いつけるよう命じられました。今回ご紹介の切手では“AUSCHWITZ”の文字が入っている部分が、実際の服装では、収容者番号が入っていた部分です。

 逆三角形の標章は色によって収容者の身分を分類するもので、赤色は“政治犯”(捕虜、大学教授、弁護士、裁判官、医師、芸術家など社会的に影響力のあった者を含む)、緑色は刑事犯、黒色は反社会的分子(浮浪者や軽犯罪者、売春婦、ロマなど)、ピンク色は同性愛者、紫色は国際聖書研究会(現エホバの証人)の会員で、ユダヤ人の場合にはさらに黄色の三角形をつけることになっていました。したがって、この切手に描かれている服装は、ユダヤ人収容者ではなく、(おそらくポーランドの)政治犯のモノをイメージしていることがわかります。

 アウシュヴィッツの犠牲者数については諸説がありますが、1985年、歴史家のラウル・ヒルバーグが「100万人のユダヤ人が殺され、25万人以上の非ユダヤ人が死亡した」との研究成果を発表して以来、基本的にはこの数字をベースにして語られることが多いようです。いずれにせよ、事実関係として、アウシュヴィッツでの犠牲者の大半はユダヤ人でしたから、一般には、アウシュヴィッツといえば、ナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺の象徴と理解している人が圧倒的多数だろうと思います。

 ところが、戦後のポーランド当局がアウシュヴィッツを語る場合には、ユダヤ人の大量虐殺を否定するわけではないのですが、それ以上に、ナチス・ドイツに抵抗した多くのポーランド人が収容され、命を落とした場所であるということが強調されてきました。今回ご紹介の切手のデザインも、そうしたポーランドの歴史認識を反映したものといえましょう。

 ちなみに、大半の女性と13歳以下の子供、老人などのグループは肉体労働に適さないが故に“無用”と見なされて、剃髪された後、そのままシャワールームに似せたガス室に送られ、登録もされぬまま処刑されていきました。現在、アウシュヴィッツの犠牲者の数が諸説入り乱れてよくわからないのは、この段階で処刑された人々が多かったことも一因となっています。

 さて、今日の講座では、アウシュヴィッツの収容者の手紙類をご紹介していくことはもちろんですが、第二次大戦以前の状況を物語る郵便物・絵葉書、今回ご紹介しているような戦後の切手などもご紹介しつつ、さまざまな角度からアウシュヴィッツを考えてみたいと思っています。

 なお、申込方法など詳細は、こちらをご覧頂けると幸いです。皆様のご参加をお待ちしております。


 ★★★ <JAPEX> トークイベントのご案内 ★★★

   アウシュヴィッツの手紙・表紙  ペニーブラック表紙   

 東京・浅草で開催される全国切手展<JAPEX>会場内で、下記の通り、拙著『アウシュヴィッツの手紙』ならびに『英国郵便史 ペニー・ブラック物語』の刊行記念のトークイベントを予定しております。よろしかったら、ぜひ遊びに来てください。なお、詳細は主催者HPをご覧いただけると幸いです。

 ・10月30日 15:30~ アウシュヴィッツの手紙
 ・11月1日  14:00~ 英国郵便史 ペニーブラック物語


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