内藤陽介 Yosuke NAITO
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 サーマーニーとソモニ
2015-10-25 Sun 10:45
 中央アジア諸国歴訪中の安倍首相は、昨日(24日)、タジキスタンを訪問してラフモン大統領と会談し、農業分野や麻薬対策などでの支援で合意しました。日本の総理大臣がタジキスタンを訪問するのはこれが初めてだそうです。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      タジキスタン・サーマーン朝成立1100年祭

 これは、1999年にタジキスタンが発行した“サーマーン朝1100年”の小型シートで、タジキスタン地図を背景に、サーマーン朝最盛期の君主であるイスマーイール・サーマーンと、きのう、安倍首相と会談したラフモノフ(当時)大統領が描かれています。
 
 サーマーン朝は、873年にブハラを都として成立した王朝で、999年に滅亡するまで、最盛期にはマー・ワラー・ナフル(アム川とシル川の間の地域)とホラサーン(イラン東部)を支配しました。その支配地域は、現在の国名でいうと、タジキスタンならびにウズベキスタンのほぼ全域、カザフスタン南部、キルギスの一部、イラン東部にまたがる広大なもので、必ずしもタジキスタンに限定されるものではないのですが(なにより、その都であったブハラを統治しているのはタジキスタンではなく、ウズベキスタンです)、タジキスタンではサーマーン朝こそが彼らのルーツとされており、その最盛期であるイスマーイール・サーマーニーは、タジク人にとっての民族的英雄として尊敬を集めています。

 なお、イスマーイール・サーマーニーという表記はアラビア語風の発音をカタカナにしたもので、タジク語ではイスモイル・ソモニに近い発音となります。今回、安倍首相は首都ドゥシャンベの“イスモイル・ソモニ像”に献花したそうですが、日本の報道などでは、“イスマイリ・ソモニ像”と表記されています。アラビア語風のイスマーイールを優先するならサーマーニー、タジク語風のソモニを優先するならイスモイルと、どちらかに統一したほうが良かったと思うのですが…。

 一方、タジキスタンの現大統領、エマモリ・ラフモンは、ソ連時代の1952年、クリャーブ生まれ。クリャーブ州ダンガル地区ソフホーズの議長に就任。1991年のタジキスタン共和国独立後は、最高会議議員を経て、1993年、同議長に選出。翌1994年、タジキスタン共和国大統領に選出され、内戦の終結に尽力しました。なお、大統領の姓は、当初、ロシア語風にラフモノフとされていましたが、2007年、タジク語でのラフモンに変更され、現在に至っています。

 大統領就任当初のラフモノフ(ラフモン)は、中央アジアの中ではリベラルな指導者として野党に対しても穏健な態度を取っていましたが、次第に独裁傾向を強め、1999年と2003年の2度の憲法改正を通じて2020年まで大統領職に留まることを可能にしました。

 その過程で、1999年、内戦終結後の国民統合を図るため“サーマーン朝1100年祭”を大々的に開催し(ただし、サーマーン朝の成立1100年は、本来、1973年のはずですが…)、大統領を民族の英雄であるイスマイールと等置するプロパガンダが盛んに展開されるようになりました。今回ご紹介の切手もその一環として発行されたものです。なお、“サーマーン朝1100年祭”と前後して、1998年には国内最高峰の名前がそれまでのコミュニズム峰(これまた、わかりやすい政治的ネーミングですが)から、イスモイル・ソモニ峰に改称されたほか、2000年には、それまでのタジク・ルーブルに変えて、サーマーニーのタジク語名に由来する新通貨ソマニが導入されています。


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